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レポート:中国家電量販店の中の「日本メーカー」。

中国の家電量販店「蘇寧易購」を覗いてみた

 中国人旅行客による「爆買い」に一時期ほどの勢いはないものの、都心の家電・カメラ量販店に行くと、今でも必ず中国人客を目にします。

 「そういえば、中国の家電量販店ってどんな感じなんだろう」と単純な疑問があったので、上海市虹口区にある「蘇寧易購」をのぞいてみました。店舗面積は、概ねビックカメラ有楽町店の半分くらい、といったところでしょうか。

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 ちなみに虹口は戦前に数万人単位の日本人が住んでいた地域で「ホンキュウ」と読まれていました。「口」の読みは日本語、北京語、上海語いずれも「コウ」ですが、何故「キュウ」なのかは謎です。広東語由来の英語なのかも知れませんが、実際知りません。気にしないことにしましょう。

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(虹口区東江湾路にある旧日本海軍陸戦隊本部庁舎、鉄塔はもと軍艦旗掲揚台)

スマホコーナーはメーカーが主役、TOP5は全て中国メーカー

 さて、量販店「蘇寧易購」に戻りましょう。1階部分のメイン商品は、やはりスマートフォン。当然と言えば当然ですが、キャリアではなくメーカーブースが並んでいます。

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 各メーカーとも、最新モデルの販促に力を入れているのが見て取れます。

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 売場づくりは、アップルがベースなのかな?という印象。わりとお金をかけていますね。

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 こちらは中国市場での失速が伝えられているサムスンのブース。カメラ機能のプロモーションはサムスンに限らず、男性タレントをモデルに起用した看板が多く見られました。主な訴求対象が女性なので、当然なのかも。

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 こちらは店内に掲示されていた売れ筋ベスト5。それぞれ、WEBサービスの方でユーザーがつけたコメントを3つずつ紹介しています。

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 OPPO、HUAWEIの2機種、VIVO、HONORという並び順は、ざっくりメーカー別シェアに均すと「まあ妥当かな」という印象。やはりHUAWEIが強いですね。それにしても、ベゼルレスディスプレイが主流になると、いずれも同じようなデザインになるのが少し寂しいなと感じたり。

編集部補足:中国国内ではHuaweiは高級、大人向けのイメージも強く、それ以外の層に訴求すべく、honor(栄耀)ブランドはメーカー名をあまり前面には出さずに宣伝することがあります。さらに今回のTOP5は、1位のOPPOと4位のVivoは同じくBBK傘下なので、「全部OVとHuaweiやんけ!」ということに。

カメラでは健在の日本勢

 日本がいまだ独占的な地位を保っているカメラ売場も1階にありました。とはいえ、什器ひとつに一切合切詰め込んでおり、レンズの販売はなし。おそらくカメラが趣味の中国人にとって、日本の家電・カメラ量販店は「夢の空間」なのかなー、とか思ったり。

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 なお、ニコンは棚こそあれどカメラの展示がありませんでした。日本でもけっこう大きく報じられた「ニコン中国工場撤退」が、ブランドイメージに大きな打撃を与えた可能性もありますね。ぶっちゃけ、いくら三菱財閥系とはいえ家電屋のパナソニックでも作れた1インチセンサー・コンデジを予約までとっておきながら発売できなかったのは、正直「このメーカーもうダメでは」感。

意外にもLG不在のテレビコーナー

 2階へ上がるとテレビ売場。日本だと今ではLGが一番いい席を割り振られていたりしますが、意外なことにLGがありませんでした。

 エスカレーターそばの特等席は、中国国内の人気メーカー「創維(Skyworth)」。

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 ほかの記事で詳しくお伝えしますが、とにかく日本国内メーカー基準で見ると、ひくほど安いです。

 「店長推薦」のポップは日本の影響っぽいですね。

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 日本ブランドのブースは、いちばん奥にありました。やけに人が多いSHARPブース。もう台湾勢なんだよなぁ……。

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(SHARPのテレビ、AQUOSではなく『ONE』ブランド)

 ぼくらのソニー・ブラビア。

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白物家電売り場では意外な面子が

 3階は白物家電売場。洗濯機売場には、「松下電器」「ハイアール」「シーメンス」と、「知っているけどなんか違う」ブランドが並びますが、ここで思わぬ顔に出くわしました。

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 三洋電機!お前生きていたのか(感涙)。

 2009年にパナソニックの子会社となり、白物家電部門は2011年に中国の家電超大手・ハイアールへ叩き売られた三洋。日本国内では「AQUA」のブランド名で冷蔵庫や洗濯機を展開していますが、「中国の経営力と日本の技術力」という極めて屈辱的な表現がブランド立ち上げの発表会で使用されていました。敗戦国か。

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 ともあれ、三洋ブランドがいまでも中国大陸で使用されているのは少し嬉しいですね。よくよくモノを見ると、縦型の安物は「SANYO」、ドラム式は「帝度」ブランドになっていたのは、見なかったことにします。

 4階にエアコン売場がありましたが、どうやらここが一番日本メーカーの存在感が強いところ。ダイキン、パナソニック、三菱、富士通と、国内主要メーカーが勢ぞろい。売場の8割を日本勢が占めていました。

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(『富士通将軍』)

 三菱は、電機ではなく重工が展開しているようです。

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 国内では軍需産業のイメージがある重工の名前が中国の売場で登場したのは、ちょっと意外。

総評

 こうやって見てみると、日本勢は1階スマホ売場に取扱なし、カメラ売場は日本勢ばかりだけど扱い自体少ない、2階テレビ売場は隅っこ、3階洗濯機・冷蔵庫売場はわりと日本勢がいる、エアコンは日本勢強い、という感じですね。

 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は1980年代の話でしたが、いまや「うちはアナログ産業の国なんで……」という時代遅れ枠なのかなと、少し寂しくなったり。

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