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スマホだけでも受信料?NHKのネット同時配信を考察

 安倍政権はNHKが全番組のインターネット同時配信を可能にする放送法改正案を、閣議決定しました。産経新聞などの国内メディアが報じています。NHKは早ければ2019年度中に同時配信を開始します。

 同時配信にあたって総務省は受信料・既存業務・ガバナンスの改革を条件としており、これに対しNHKは2020年10月に若干値下げ、さらに放送法改正の中で役員の忠実義務など統治体制強化も盛り込まれています。いよいよ同時配信の準備が整ってきた感があります。

 NHKの同時配信に対して異議を唱えているのが、実はライバルである民放。これまでNHKが潤沢な資金を元に映像放送技術を牽引してきたように、ネット同時配信においても牽引するというのは自然な流れではあるものの、本来であれば、NHKのような制約もなく民間企業である民放こそ、ビジネスチャンスとしてネット同時配信に積極的であるべきで、ねじれを感じますね。テレビCMの広告費からのビジネスモデル転換と視聴者の利便性を、民放はそろそろ本格的にやらなければならないはずなんですけどね。

 さて、気になるのは旧態依然の受信料制度がどうなるか。そもそもNHKの受信料制度を支える放送法の規定こそが憲法上にも定められている契約自由の原則に反していて無効であるとして、裁判で争われてきました。これが2017年末に最高裁にて、合憲であると判決、受信機設置者はNHKと契約義務があるとされています。

 ネット同時配信についてNHKは、すでにNHKと契約している世帯は追加負担を求めないとしています。このため既に契約して払っている人が受信料が上がってしまうということはありません。また、現時点では(ワンセグなしの)スマホ=受信機である、とはされていません。

 それでは、テレビを持っていないがスマホ・PCを持っているという人はどうなるのか?

 NHKとしては取りたいのが本音で、NHKの有識者委員会が発表したテレビ放送のインターネット同時配信を実現した場合に関する最終答申では、受信料型を目指し、スマートフォン/タブレット/PCなどを「2台目、3台目のテレビ」として取り扱うべきであると結論を出しています。

 答申は「スマートフォン/タブレット/PCを持っていて、インターネット同時配信を利用するための何らかのアクションもしくは手続きを取り視聴可能な環境を作った者を費用負担者にする」としており、おそらくNHKのBSデジタル放送と同じ手法が用いられると予想できます。つまりスマホの「NHKネット同時配信アプリ」のようなものの画面上に受信料契約を促すメッセージ・テロップを表示し、この表示を解除するようメッセージ・テロップの表示文に従いNHKに連絡、受信契約のある者であればそれを解除し、受信契約がなければ契約締結を迫る、といったものが想定されます。

 NHK有識者委員会の答申などから予測する限りでは、テレビを持っていなくとも、スマホ/タブレット/PCを持っていてNHKの受信アプリを使う人は、受信契約が必要ということになりそうです。逆に言えば、現時点では、法解釈上も改正放送法においてもスマホ/タブレット/PCを全て無条件に放送法上の受信機とはなっていないため、そうであるならば、たとえ(ワンセグ/フルセグ非対応の)スマホ/タブレット/PCを持っていようともNHKのネット同時配信を見ていない人は受信契約をする必要はない、ということになるのではないかと予想できます。

 しかし、NHKは契約業務を企業に業務委託しており、間違った説明や脅迫じみた言動で契約を迫る悪質な集金人が跋扈しているのも有名な話。たとえ受信アプリでNHKを見ていなければ契約義務はないのだとしても、現実にはインセンティブ・ノルマ目当ての集金人が「スマホ持ってるだけで絶対に契約が必要です!」と間違ったセールストークで契約を迫る事例が全国で多発するのだろうなぁと容易に予測できることから、暗澹とした気持ちになります。

 もちろん将来的に、スマホ/タブレット/PCを持っているだけでも即契約義務、といったNHKの欲望丸出しの方向に政治が舵を切る可能性もありえないわけではないので、今後も慎重に動向を見守りたいところです。

情報元産経新聞
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