日の丸チップの野望潰える――富士通・ドコモ・NECのベースバンドチップ開発会社、解散へ

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 ロイター通信や日本経済新聞が、日本企業が共同設立したスマートフォン向け半導体開発会社「アクセスネットワークテクノロジ」が解散されると報じました。3月までに清算されるとのこと。

 米Qualcommが圧倒的なシェアを握る世界市場で、2014年には7%のシェア獲得を目指すとされており、当初の報道ではNTT docomo、富士通、NEC、Panasonic、SAMSUNGの参加が伝えられていました。しかしPanasonicやキーマンとされていたSAMSUNGは参加せず、開発費の調達が難航していた模様です。ベースバンドチップの開発費は、年間100億円が投じられていたとのこと。(Qualcommは年間4000億~5000億円)

 この会社の出資は富士通が62.3%、NTT docomoが19.9%、NECが17.8%。従業員は富士通などの出身会社に戻るそうです。 

 この会社が開発していた、スマートフォンの通信を制御するベースバンドチップ「SAKURAチップ」は、富士通の「ARROWS(アローズ)」ブランドのスマートフォンに採用されていたものの、その他の国内外メーカーに採用例はなく、世界シェアはほぼゼロだったようです。

f05d-arrows-x-lte-fujitsu (『SAKURAチップ』初号機となったARROWS X F-05Dは、発熱・不具合に苛まれた)

 そもそも「ARROWS」は海外市場では販売されておらず(ただしフランステレコム向けのらくらくスマホ『STYLISTIC』ブランドは好評)、決算説明会によれば国内市場でも品質問題に悩まされ、販売台数が計画を下回り、製品在庫の廃却処分を行うなど、苦しい状況にあります。

 また、NECは現在ではスマートフォン事業から撤退しており、海外市場に強いメーカーがこの話に乗らなかった時点で、既に雲行きの怪しい話だったのかもしれません。

 2013年のベースバンドチップの世界シェアは、Qualcommが6割以上を獲得し、台湾MediaTek、Intel、Spreadtrum、Broadcomと続いています。

 日本メーカーの携帯向け半導体は、SONYのCMOSセンサーや東芝のフラッシュメモリがシェアを握っているものの、中核半導体の野望は潰えたということになります。

情報元: ロイター通信日本経済新聞, 富士通2013年度第3四半期決算説明会, Strategy Analytics

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