大手携帯会社によるSIMロック強要やMVNOへの回線貸出拒否、独禁法違反の可能性。

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 公正取引委員会は、大手携帯各社が特定のMVNO(格安SIM提供会社)への回線貸出を拒否することは、独占禁止法の不公正取引になる可能性があると認識していると日本経済新聞が報じました。

 回線貸出を拒否することのほか、電気や固定回線のセット割で原価割れするほどの割引を行うことや、提携先に競合携帯会社との提携をしないように求めることも、独占禁止法違反になる可能性があるとのこと。

 これは「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」の改定に伴うもの。これに関する資料を、公正取引委員会が公表しています。それらのいくつかの資料によると、改定後の指針には、SIMロックについても関わる項目があります。

 改定後の指針ではユーザーが他社と電気通信役務の契約を解約する場合において、不当に高額な違約金の支払を請求することや、移行禁止期間を設定すること、そして不当に端末に技術的制限を設定してその端末で他社との通信契約をすることを妨害することも、私的独占・取引妨害として禁止します。

 不当かどうかの線引きは、違約金については、顧客が解約までに享受した割引額等を勘案。端末の技術的制約については、特定の会社でしか動作しない措置、つまりSIMロックが例として挙げられています。

 このことから、携帯キャリアが端末製造メーカーに不当にSIMロックを掛けることを求める行為は、今後は公取委も介入し得るということになります。

 このガイドラインでは、不適切な行為を防止するための必要最小限度という条件で、技術的制約=SIMロックを容認しています。

 総務省のSIMロック解除義務化のガイドラインにおいて、SIMロック解除を拒否できる期間を設定できる妥当性は、不適切な行為の防止が挙げられています。なので携帯キャリアの設定する半年間というSIMロック解除拒否期間は、あくまで不適切な行為を防止するためというのが建前です。ですので、公取委の新ガイドラインが、現状のSIMロック解除拒否期間までを否定できるものでは必ずしもないという点には注意が必要です。

 ただ、公取委指針でSIMロックに関して私的独占・取引妨害になる可能性があると俎上に乗ったことは、遅すぎる感はありますが一応の前進です。たとえば今後、仮に大手キャリア以外の販路で、端末製造メーカーが独自に端末を販売するとして、そうした端末にキャリアがSIMロックを掛けさせるように強要する行為が発覚すれば、独禁法違反として公取委が介入することになります。

 携帯三社によって寡占化していた携帯市場ですが、電力セット割への監視や、市場の新たなプレイヤーであるMVNO・メーカーへの援護射撃を、腰の重い総務省のみならず政府として取り組む姿勢が垣間見えます。

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