ミニPC「minisforum TL50」レビュー。Googleフォト「無制限終了」対策の簡易NAS化も

掲載日時: 2021/05/31(月) 22:31

 簡易ネットワークストレージ化で Google フォトの容量対策にも使えちゃう?

 minisforumより拡張性に富むミニPC「TL50」を提供いただいたのでレビューしていきます。

豊富なインターフェイス

 minisforum TL50 の特徴はなんと言ってもインターフェイスの豊富さ。順に見ていきます。

 表側。マイク入力、イヤホン出力、 USB 3.2 Gen 1 x2 、 20USB Type−C (Thunderbolt 4 対応) とよく使うポートは一通り揃っています。何気にアレイマイクも内蔵しており、単体で音声も入力できます。

 裏側。電源は Type-C 接続です。 USB-PD による給電にも対応していますが、付属の AC アダプターは問答無用で 19V を出力する規格違反品なので注意が必要です。その他に有線 LAN x2 、 USB 2.0 x2 、 USB 3.2 Gen1 x2 、DisplayPort 、 HDMI 、ケンジントンロックを備えています。

 有線 LAN 用に搭載されている Intel I225-V は接続の不安定性や 2.5Gbps で正常に通信ができないなどの不具合が修正された最新の rev3 。安心して使うことができます。

 内蔵されている無線 LAN にも Intel AX200 を搭載し、最新の Wi-Fi 6 (802.11ax) に対応。 2×2 の MIMO に対応しており、最大 1.2GHz で通信できます。

 極めつけは、コンパクト PC としては異例のストレージの拡張性。多くのミニ PC が M.2 スロット単体もしくは 2.5 inch ドライブ 1 つしか搭載できないのに対し、 minisforum TL50 は 2 つも 2.5inch ドライブを搭載できます。

スペック

最新の 11 世代 Intel Core i5 を搭載

 Intel 最新の CPU である第 11 世代 Core i5 (Tiger Lake: i5-1135G7) を搭載。デスクトップ向けの Rocket Lake とは異なり Intel 最新プロセスの 10nm を採用し、省電力ながらも高い性能を実現しています。

 統合 GPU も最新の Intel Xe Graphics を搭載し、軽い PC ゲームならそのまま遊べてしまう性能を持っています。

 メモリは LPDDR4 3733MHz を搭載。基板上にはんだ付けされているので増設や交換は不可能ですが、高速なクロックとクアッドチャネル動作を実現しており、性能向上に一役買っています。

ベンチマーク

 PC なのでベンチマークをしてみましょう。まずは Cinebench R15 から。

 スコアは OpenGL が 98.91fps 、 CPU が 842cb と流石は最新 CPU と言ったところ、競合となる AMD Ryzen 5 4500U が 50fps 843cb なのを考えると GPU では大幅に上回っていると言えそうです。

 次に Cinebench R20 を見ていきます。スコアは 2163pts 。競合となる AMD Ryzen 5 4500U が 2200pts くらいなので、ちょっと負けていますがまあまあ高速です。

 最後に内蔵 SSD を見ていきましょう。ベンチマークには CrystalDiskMark を使用しました。

 Kingston 製 の M.2 2280 SSD は NVMe 接続ですが、 Core i5-1135G7 が PCI Express 4.0 に対応しているのに対し SSD が PCI Express 3.0 までの対応なこともあって、性能としてはそこそこといったところ。とはいえ十分に高速で、全く性能に不足は感じません。交換が可能なので、速度に不満を感じるようであれば交換するのが良いでしょう。

スペック表

OS Windows 10 Pro x64
CPU Intel Core i5-1135G7 2.4GHz (28W: 4.2GHz 4cores) 
GPU Intel Iris Xe Graphics (GT2: 1.3GHz 80EU)
RAM Micron LPDDR4 3733MHz
ストレージ 1 M.2 2280  512GB KINGSTON OM8PCP3512F-A02 NVMe SSD (PCI Express 3.0 x4)
ストレージ 2 SATA 3.0 6Gbps (7mm 厚 2.5 inch SSD / HDD 対応)
ストレージ 3 SATA 3.0 6Gbps (7mm 厚 2.5 inch SSD / HDD 対応)
有線 LAN 1 Intel I225-V (rev3) 2.5Gbps
有線 LAN 2 Intel I225-V (rev3) 2.5Gbps
無線 LAN Intel AX200 Wi-Fi 6 802.11ax 2.4GHz / 5GHz

NAS + 無線アクセスポイント として使ってみる

 実のところここまで読まれた方は、なんですまほん!!でデスクトップ PC を紹介しているの?と思われるかもしれません。実はこの PC 、その拡張性の高さからスマートデバイス向けの簡易ホームサーバーとして活躍できそうに思えたのです。

 TL50 は 2.5Gbps の有線 LAN ポートを 2 つ搭載し、 2.5 inch のドライブも 2 台搭載可能。つまりは、ルーターと有線 LAN で接続し、無線 LAN を 11ax 対応の無線アクセスポイントにして NAS として使うことも可能なのです。

 実際にやっていきます。まずは 2.5inch ドライブを載せていきます。取り付けは本体裏の四隅のネジを外し、付属の SATA ケーブルを接続してドライブを固定するだけ。非常に簡単です。

 個人的に “おっ” と思ったのはドライブの取り付け部分に金属製のインサートナットが使われているところ。ネジの締めすぎで筐体を破壊する心配もなく、しっかり固定することができます。販売価格を考えるとなかなか良くできています。

 SATA ケーブルは専用の特殊なタイプ。少々取り付けにコツがいりますが、自作 PC に比べればかなり楽です。

 取り付けが完了したら、 Windows のディスクの管理からミラーリング構成を構築します。

 ミラーとは全く同じ内容のデータを 2 つのディスクに書き込む方式で、片方のディスクが壊れてもデータを失わずに済む冗長構成を取ることができます。ここで 2 台搭載可能な拡張性の高さが活きてきます。

 あとはネットワーク共有設定をして NAS 化は完了です。アプリを使って写真を自動バックアップするようにすればスマホの写真も安全に保管することができます。

 あとはAndroid であれば SMBSync2FolderSync 、 iOS であれば PhotoSync 等のアプリを使うことでスマホの写真を簡単にバックアップしつづけることができます。筆者は FolderSync を Xperia 1 II で使っています。

 無線 AP 化は簡単で、設定からモバイル ホットスポットを有効化するだけ。後はスマートフォンやタブレットから接続するだけで Wi-Fi 6 アクセスポイントとして使うことができます。

 ただ、 Wi-Fi 6 ではつながるものの、速度を計測してみたところ思いの外速度が出ませんでした。無線アクセスポイントは無線 LAN ルータにやらせたほうが得策かもしれません。

 ユーザーから非常に重宝されてきたGoogle フォトの目玉仕様「無料で高画質 容量無制限」が6月で終了となり、他の手段に乗り換えるユーザーも多そうなところですが、その対策としてもこういう小技が使えそうでしょうか。

良い点悪い点。コスパ高し、ただし起動周りに不安も?

良い点

微妙な点

 これは筆者の個体だけかもしれませんが、起動時の挙動が若干不審です。届いた状態では全く起動せず問い合わせたところ、リセットボタンを 30 秒ほど押してみてくれ、とのことで、実際それでちゃんと起動しました。ただしその後も何度か同様の事象に見舞われており、正直面倒です。CMOSバッテリーがおかしいのか?流石にこんな状態では販売しないと思うので製品版では直っていると信じたいところ。

 あと、付属の AC アダプタは危険です。問答無用で 19V を出力するので、この PC 以外の製品に接続すると、繋いだ製品が壊れる可能性があります。ここはすぐにでも改善してほしいです。危ない。

総評

 総評としてはこの価格でよくここまで詰め込んだな……という印象でコスパの高い一品だと感じました。何よりサーバーとしても利用可能なレベルに豊富なインターフェイスと拡張性には驚かされます。

 実は実質 TL50 の AMD Ryzen 版とも言える HM50 も用意されており、 AMD 派であればこちらを検討してみるのも良いかもしれません。

 minisforum TL50 は現在 makuake にて税込み 73000 円にて販売中です。

追記:プロジェクトが終了しました。Minisform公式ストアはこちら

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