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性能だけでなくセキュリティも低下……?
Pixel 11 シリーズが発売されしばらく経ちました。一部ゲームでのグラフィックスバグや前機種に比べての一部タスクでの性能低下など、様々な問題が報告されていますが、今回は Pixel シリーズが売りとしているセキュリティ部分でも退化している部分があることがわかりました。
Arm 系チップのセキュリティ機能「MTE」
Arm は ARMv8.5-A / ARMv9.0-A (ISA リビジョン、世代のようなもの) から MTE (Memory Tagging Extension) というソフトウェアのメモリ安全性を向上させるための機能をハードウェアで実装するようになりました。
一方で MTE への対応はソフトウェア側の対応も必要なことがあり、なかなか実現しませんでした。
Apple も iPhone 17 シリーズでやっと MTE 対応を果たしましたが、実は Pixel シリーズは Pixel 8, 9, 10 と古い世代から常に MTE への対応を果たしており、この部分では Apple よりもセキュリティ面で先行していたのです。
特に未認可のアプリを動作させる手段の多い Android においては、ソフトウェアのメモリ安全性を担保する MTE は欠かせない技術の一つでした。
Pixel 11 は MTE が無効状態で出荷
そんな MTE ですが、なんと最新機種である Pixel 11 シリーズでは無効化されて出荷されていることが判明しました。
何故無効化されているのかは公式な説明がまだありませんが、 Tensor G6 チップにエラッタ (チップレベルの不具合) があるのではないか、チップの設計的要因 (コスト削減等) により、 MTE を有効化するとパフォーマンスが大きく低下するためなのではないか、と囁かれています。
とはいえ、ハードウェア的には MTE に対応していることに変わりはなく、Android 17 QPR2 Beta 4 以降であればファームウェアレベルでは有効化することは可能なようです。しかし現時点では公式のソフトウェア的に検証されておらず、有効にするとどのようなことが起きるかも不明瞭な状況です。
上記に踏まえ、昨今の AI バブルにより本体価格が高騰していることから、セキュリティ重視のポストマーケット OS (カスタム ROM) である GrapheneOS は Pixel 11 を対応端末としない可能性を示唆しています。
GrapheneOS は Motorola と提携。 Snapdragon を採用へ
Pixel 11 の競合となる Android デバイスでも、MTE の実装状況は今だ限定的です。Qualcomm は Snapdragon 8 Elite Gen 5 でようやく MTE を実装したものの、非Elite 版では正常に機能しないとされており、 MediaTek は Dimensity 9300 以降が SoC として対応していますが、OEM が出荷ビルドで有効化している例はほとんどありません。
Samsung Exynos も One UI 9 でようやく開発者向け機能にトグル追加が示唆された段階です。実際に MTE を有効化できる状態で出荷してきた Android 端末は、事実上 Pixel 8 以降の Pixel のみでした。
GrapheneOS は Motorola との提携を発表しており、 MTE の利用できる Snapdragon 搭載 Motorola 向けスマートフォンに GrapheneOS 版を用意する準備があるとしています。
薄れる「Pixel を選ぶ理由」。開発者向けデバイスとしても失格か
MTE はまだ多くの Android デバイスで利用不能な状態であり、 Pixel 11 シリーズで利用不能だからといって、直接的に利用者が危険な状況に置かれることは特にありません。他社の端末と同じレベルになる、それだけの話です。
しかし、 Pixel は Google 純正のデバイスであり、 Nexus の系譜である「リファレンス端末」であることを忘れてはいけません。 Pixel が対応しないのであれば開発者は MTE を検証することすらできず、また他 Android デバイスメーカーにとっても対応するモチベーションを失わせる要因となり得ます。他方で iPhone 17 が MTE (MIE) に対応してきたこの現実は Android デバイス全般のセキュリティという側面において、将来的に深刻な影を落とすことになるかもしれません。











