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Apple、中国製メモリ採用を巡りトランプ政権に働きかけ

Apple、中国製メモリ採用を巡りトランプ政権に働きかけ

 Appleは、中国のCXMT製DRAM(実行メモリ向け)とYMTC製NAND型フラッシュ(ストレージ向け)を、米国外向け製品に採用する計画のようです。

 Appleがこの計画を認めるようトランプ政権に働きかけていると、関係者の話としてThe Wall Street Journalが伝えました。

 ティム・クックCEOらは、トランプ大統領や政権幹部に計画を直接説明したといいます。英Financial Timesは先行して、AppleがCXMT製DRAMの品質テストに着手済みだとも報じており、水面下の動きは検討段階を越えつつあるようです。

 Appleを突き動かしているのは、深刻化する世界的なメモリ不足です。調査会社TechInsightsによれば、メモリチップ価格はこの1年で約4倍に高騰。AIデータセンターが先端メモリを高値で大量に呑み込み、生産能力がそちらへ振り向けられた結果、スマートフォンや自動車向けの供給が細っています。Appleは実際、メモリ・ストレージ価格の上昇を理由にMacやiPadなどの値上げに踏み切っており、クックCEOも「値上げ以外に選択肢がなかった」旨を認めていました。

 Apple側は、中国サプライヤーの追加が世界的な供給逼迫を緩和し、米国消費者向けの値上げ圧力も抑えられると主張。さらに同社は、Micronが80%を超える粗利益率で品不足の恩恵を享受し、新規生産能力をAI顧客に偏重配分しているとも訴えているといいます。

 一方、米国唯一の大手メモリメーカーであるMicronは、この計画に強く反対しています。Sanjay Mehrotra CEOらはラトニック商務長官ら政権幹部に対し、米国のテック企業がCXMTなどの中国企業から調達すれば、販売地域を問わず米国のメモリ産業を損ねる恐れがあると訴えました。国家の手厚い補助を受けた中国勢の参入を許せば、かつて米国の鉄鋼業や製造業が衰退したのと同じ道をたどりかねない、という理屈です。

 調達先として名前が挙がる2社は、いずれも政治的に微妙な立場にあります。CXMTとYMTCは、中国人民解放軍との関係の疑われている企業一覧「1260Hリスト」に、米国防総省が掲載済み。YMTCに至っては商務省のエンティティリストにも載っており、米企業が取引するには輸出許可が必要となる場合があります。Appleが調達すること自体は直ちに違法ではないものの、政権の黙認なしに進めれば政治的な炎上は避けられません。Appleとしては、CXMTが今後エンティティリストに追加されない保証も取り付けたい考えのようです。

 なお、AppleがYMTC製NANDの採用を模索するのはこれが初めてではありません。2022年にも調達寸前まで進みながら、米議会の猛反発を受けて断念した経緯があります。

 低価格化を望む消費者、国内産業を守りたい政権、板挟みのApple。メモリ不足の出口は、政治という狭い門を通ることになりそうです。

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