
Geminiの失敗?
GoogleがAI部門の指揮系統を大きく組み替え、Google DeepMindを率いてきたデミス・ハサビス氏が日常業務のトップから退くことになりました。
Googleが8月5日に発表した内容によると、ハサビス氏はGoogle DeepMind会長とAlphabet最高科学責任者に就任。日々の運営から手を引き、汎用人工知能(人間並み以上の幅広い知的作業をこなすAI)や科学の将来、AI創薬企業Isomorphic Labsへと軸足を移します。
実務を引き継ぐのは、Google DeepMind最高技術責任者とGoogle最高AIアーキテクトを務めてきたコライ・カヴクチュオール氏。新たに上級副社長となり、スンダー・ピチャイCEOへ直接報告します。Geminiのモデル開発から先端AI研究、Geminiアプリ、開発者向け部門まで、いわば「Geminiのすべて」を預かる立場です。
Financial Timesは関係者の話として、今回の再編をAI開発の重心をロンドンから米シリコンバレーへ引き戻す動きだと報じています。カヴクチュオール氏は昨年、Google本社のあるマウンテンビューへ移り、共同創業者セルゲイ・ブリン氏の隣でGemini開発を率いているといいます。ブリン氏は正式な経営職にないものの、ChatGPT登場後はAI戦略への関与を強めてきました。
同紙はさらに、Google上層部がハサビス氏の商用面への関心の薄さに不満を抱いていたとも報道。AlphaFoldの無償公開が社内の緊張材料になったといいます。ユーザーや市場は、Geminiの開発が明らかにAnthropicやOpenAIに遅れを取っていることに対する更迭だと捉える動きがあります。ただ、Googleに近い人物は対立を否定しており「更迭」とまでは断定できません。
Geminiアプリの月間利用者は9億5000万人超。軽量モデルGemini Flashの需要も強く、オープンモデルGemmaの累計ダウンロード数は9億件を突破。数字だけ見れば、Geminiは好調にも見えます。
一方でコーディング分野と企業向けAIではAnthropicやOpenAIが先行し、Google社内には遅れへの懸念が残るとFTは指摘。研究者の流出も続き、27年間在籍したジェフ・ディーン氏は、サンジェイ・ゲマワット氏らと独立系の公益企業を立ち上げます。Googleは創業時の出資者兼クラウドパートナーとして協力する形です。Axiosによると、発表を受けてAlphabet株は4%超下落しました。
当のハサビス氏は、AGIが間近にあるとの認識から「大局」に集中すると説明し、Gemini 4を含む新モデルの進捗にも自信を見せています。戦略や研究への関与は続けつつ、製品投入の速度と収益化を伴う日々の運営はカヴクチュオール氏に委ねます。
研究者中心の体制だけでは商用AI競争を走り切れないとGoogleが判断した、と見るべきなのかもしれません。そんなことより個人的には、Geminiがもう少しまともになってくれよと率直に思います。











