一人歩きする「格安スマホ」について、知っておくべき5つのこと。 【鳩の電子便】

掲載日時: 2015/02/02(月) 22:23

 昨今、「格安スマホ」という単語が新聞紙面やネット記事上に現れることが多くなりました。「携帯キャリアで買うよりも安くスマートフォンを持てる」というような意味で使われており、今のキャリアの料金体系に不満を持つ人にとっては魅力的で興味を引くワードになっています。

 しかしながら、「何が安いのか」「どうして安いのか」という部分がいまいち多くの方々に伝わっておらず、言葉だけが一人歩きしている印象が拭えません。そこで、この記事では「格安スマホ」に興味があるけどこれってどういうことなの?という疑問を解消していきたいと思います。

1, 「格安」なのは通信サービス、スマホの値段は別

 まず「何が安いのか」ということですが、これは通信サービスの月額です。

 気を付けて頂きたいのは、ここにはスマートフォン本体の値段は入っていないということです。あくまで通信サービスの月額が従来の携帯キャリアが提供する「月額約6000円~」というような額よりも明らかに安い、というのが「格安」と言われる所以です。

 その格安通信サービスを提供している会社をMVNOと言うのですが、MVNOが通信サービスに加えて別料金でスマートフォンを提供している場合もありますが、基本的にはサービスのみでスマートフォンは自力で調達してね、というものだと思ってください。

2, 安いのは自前で通信設備を用意していないから

 これは厳密には少々違うかもしれませんが、低価格でサービス提供が可能なのは、他社のインフラを間借りしているに過ぎないから、という理解でとりあえず良いと思います。

 MVNOが謳うサービス内容を読むと「ドコモと同じ広範囲なネットワーク!」みたいな文言が書いてあったりします。これはどういうことかと言うと、MVNOとは日本語に訳せば「仮想移動体通信事業者」と言って、移動体通信事業者(MNO)であるドコモからネットワーク網を借り受けて通信サービスを提供しているということです。イメージとしては「ドコモが作った道路の一部でドコモの車と一緒に走れるようにしている」といった感じです。なので、インフラを自前で引いてないのでその分サービスコストがかかっていない、ということです。

3, キャリアと同等のネットワーク品質ではない

 これはMVNOという性質上避けては通れない話なのですが、上のイメージで「ドコモが作った道路の一部で~」と書いた通り、MVNOはキャリアと同じ範囲の道路は確かに使えるのですが、あくまでその道路の数車線を借り受けて使用している状態です。そのため、MVNOが借り受けているたったの数車線に車が密集すれば当然渋滞を起こします。隣のドコモ車線ではスイスイ車が走っているのにも関わらずです。

 ここで重要になるのは交通整理、すなわち通信制御のことですが、これによってMVNOが使える車線の中で公平に車を通行させるために速度の減少が起きることがあります。交通整理はもちろんドコモ等MNOでも行っていることではありますが、使える車線の数が段違いなのでどちらのネットワーク品質が上であるか、というのは火を見るより明らかなところです。

4, キャリアで受けられるような各種保障/補償サービスはない

 MVNOとは通信サービスを提供する会社であり、そのSIMをどのようなスマートフォンに挿すかはユーザーに委ねられます。キャリアと違ってMVNOはスマホと通信をセットにして売っているわけではない(例外もあります)ため、MVNOは各スマートフォンに自社SIMを挿して通信ができるのか、ということはいちいち検証していません。そのため自分で調達したスマートフォンにMVNOのSIMを挿しても正常に通信ができない場合があります。

 また、スマートフォンを落とした、水没して動作不全になった、という事態になった場合キャリアから買ったものでしたらケータイ補償サービスに加入していれば少額、あるいは無償で新品に交換してもらえますが、自前でSIMフリースマートフォンを購入している場合は購入元の保障内容によりますし、もちろんMVNOにそのようなサービスは期待できません。自前でスマートフォンを用意する場合、その動作は基本的に全て自己責任で検証しなければならないと心してください。

5, 大手キャリアより優れたサービスも

 ここまでMVNOが提供する通信サービスが安い理由を説明して参りましたが、ではMVNOはMNOのサービスを劣化させてその分安くなったものなのか?というと、そういうサービスもありますし、そうではないサービスもあります。

 というのは、例えば2014年の後半から話題になっていた「定額無制限通信プラン」のようなMNOでは現在提供していないサービスもあるからです。大手3キャリアではなぜそれが出来ていないのかと聞かれれば、それは私は中の人ではないので確かなことは答えられませんが、まあ大人の事情などがあるのでしょう。

 他にも通信速度を自分で低速・高速を切り替えて必要な時にだけ高速通信できるようなサービスを提供するMVNOもあります。なぜ大手3キャリアでは出来ていないのか?これも事情があるのでしょう。とにかく、このように従来のキャリアでは出来ていないサービスを提供できる側面をMVNOは持っています

使うならよーーーく調べて

 2014年に爆発的に普及した単語「格安スマホ」について、ここまで解説して参りましたが少しでも理解の助けになれば幸いです。

 このようにMVNOでは様々なメリット・デメリットがあります。ネット上にはMVNO自身での検証記事も含めて、様々なユーザーによる「このスマートフォンにこの契約のSIMを挿したら繋がった繋がらなかった」という情報がたくさん転がっています。ですので、よーーーく調べてください。もちろん自己責任でお願いします。

 そこまで調べれば、自分が選んだ最高のスマートフォンに、自分が選んだ最高の通信サービスを組み合わせて使用することができることでしょう。

おすすめ記事

何が出るのか教えて!シャオミ日本新機種、「Ultra」だけではない伏兵が存在か?

2024-04-29 23:58:57會原

Mi MaxXiaomiXiaomi 14 UltraXiaomi Pad 7 MaxXiaomi SU7 Max

シャオミは、X(Twitter)にて連日ティザーを投稿。このなかで、中国Weiboで使用したXiaomi 14 Ultraのティザー画像が存在しており、もはやXiaomi 14 Ultraの登場は確定的となっています。一方で、他のティザーも気になるところ。モニターなどスマホ以外の製品のものと思われるティザーも含まれていますが、スマホの可能性が高そうなものも。「最先端の超高速充電」とあることから、こ...

【朗報】Android 15は新しい「強制ダークモード」対応かも

2024-04-29 00:38:35會原

Android 15ダークモード

ダークモードがさらに広がりそうです。9to5Googleが伝えています。UIを黒基調にするダークモードは数年前にようやく定着しましたが、依然として非対応のアプリがあります。Android 15では、アプリにダークモードを強制するための新しいオプションがあるとのこと。Android 10から、GoogleはAndroidアプリで開発者オプションとして「フォースダークのオーバーライド(強制ダークモード...

Qi2、液晶での電池残量表示対応!Anker MagGo Power Bank (10000mAh) レビュー

2024-04-24 19:56:54そっぷる

Anker MagGo Power BankQi2レビュー

AnkerよりQi2対応のモバイルバッテリーが発売されました。前回紹介したものは6600mAhですが、今回は10000mAhの大容量モデルです。それ以外にも違いがあるので紹介していきます。内容物はUSB Type-Cケーブルとモバイルバッテリー本体のみ。ワイヤレス充電面にはQi2対応を表すQi2のロゴが表記されています。背面には簡易的なスタンドが備わっています。スタンドは非常に簡易的なものですが、...

HUAWEI Pura70シリーズ発表!Pシリーズから名称が変更、Ultraはレンズがつき出る1型沈胴式カメラを搭載

2024-04-24 18:50:23ピュアセル

HiSiliconHuaweiHuawei Pura70Huawei Pura70 ProHuawei Pura70 Pro+

中国ファーウェイは、中国国内で同社最新フラグシップスマートフォンの「HUAWEI Pura70」「HUAWEI Pura70 Pro」「HUAWEI Pura70 Pro+」「HUAWEI Pura70 Ultra」の4機種を発表しました。 同社傘下のHiSilicon製SoCを搭載し、Pura70 Pro+/Ultraは衛星通信に対応。Pura70 Ultraでは1型センサーと可変絞りの沈胴式広...

カテゴリー