元Nokiaのエンジニアが語る「Windows Phoneはなぜ失敗した?」

掲載日時: 2019/07/28(日) 06:10

 米MicrosoftといえばIT業界の巨人です。PC向けのOSで大きなシェアを誇ります。一方で、モバイルOSについては20年間ほぼ失敗し続けてきたと評されます。起死回生で投入された「Windows Phone(Windows 10 Mobile)」も状況を打開することは出来ませんでした。

 Windows Phone採用メーカーの中で最も印象深かったのがNokia(ノキア)。Lumiaシリーズの高いデザイン性や4100万画素PureViewカメラは、当時人々の度肝を抜きました。

 さて、MicrosoftのモバイルOS「Windows Phone」がなぜ失敗したのか?元Nokiaのエンジニアが、その理由をまとめていました。MyDrivers.comが掲載した記事をGizChinaが紹介しました。




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Windows Phone失敗の理由

「Androidへの過小評価」

 MicrosoftがGoogleのAndroidを過小評価したため、とのこと。

 当時、AppleのiOSは既に熱を帯びていたものの、Androidはまだ比較的荒削りでした。Android OSの本当の価値は、YouTube、Google Map、GmailなどのGoogleサービスにこそあります。AndroidにGoogleサービスがなければWindowsにも可能性がありました。

 しかしMicrosoftは、Androidが急速に普及するとは考えていなかったため、Googleサービスが揃うまで行動せず、行動した時には既に遅かった、というわけです。

「Windows 8の悪評」

 低評価のWindows 8がWindows Phoneにも悪影響を与えた、とのこと。

 Windows 8の発売後、市場の反応は非常に悪く、たとえPCとスマホのそれぞれのOS開発チームが全く別だとしても、多くの消費者がWindows Phone 8の名前から、Windows 8を想起することになったとのこと。Windows 8の悪評が足を引っ張ったとの見解ですね。

 そういえば、Windows 8はこれまでWindowsで愛されてきたスタートメニューを廃止、タブレット向きにUIを急激に変更したため、従来ユーザーから忌み嫌われていましたね。起動速度向上など良い部分もあったのですが、鳴り物入りで登場したWindowsストアもアプリ数が少なく、検索チャームも使いにくいなど、世間からはWindows 8は非常に悪い評価を得ていましたので、元Nokiaエンジニアの見解も「なるほど」と思います。

「Microsoft社のイメージ」

 Microsoft社の評価・口コミは、若者からは良くないので、Microsoftを好きでない人はAndroidやiOSに切り替えた、といいます。

 身も蓋もない意見だと思いますが、たしかにGoogleの「最新IT」なイメージや、Appleのオシャレなイメージからすると、Microsoftは古臭い印象もあるかもしれません。

「Android / iOSユーザーは満足してしまった」

 そして、AndroidとiOSのユーザーは、使用中のプラットフォームに対して、非常に満足してしまった、とのこと。

 2014年までに、iOSとAndroidには既に多数の満足している顧客がおり、たとえMicrosoftのWindows Phoneに一定数のアプリケーションがあったとしても、Windowsのエコシステムには、消費者がプラットフォームを切り替える説得力のある理由はなかったといいます。

 以上、元Nokiaエンジニアの分析でした。

筆者の感想

 MicrosoftはWindows MobileによってモバイルOS市場における先行者だったので、モバイルOSでの敗退は残念な結果と言えます。

 当初、Windows Phoneは斬新なタイルUIと独特の操作感で話題をかっさらいました。とくにXperiaと並ぶデザイン性を備えたNokiaのLumiaシリーズ、良かったと思いますけどね。新しい使い勝手や高いデザイン性だけでは覇権を握ることはできなかったというわけです。やはり敵が強大でしたね。

 Windows Mobileが自由すぎた反動にしても、アプリの数はスマホOSのキモなのにも関わらず、Apple以上に厳しい規約や、スクショすらまともに撮れないクソ仕様のためにユーザー・コミュニティがアプリ紹介すらできないなど、おかしな部分があったのが良くないですね。晩年には、ユーザー数が少ないがために、アプリを供給・保守する労力も割に合わず、アプリが少なければユーザーもさらに減るという、エコシステム自体が完全に崩壊していたのが無残でした。




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 W10Mの死後、MicrosoftはOfficeなどの自社サービスをAndroid/iOS向けに提供することで、エコシステムの生存圏を確保しています。

 今後、折り畳み端末向けのWindowsのモバイル用シェル/バージョンが用意されるとのもあります。Microsoftにとっては手痛い失敗だったWindows Phoneの経験を生かして、上手く行ってほしいですね。

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