「総合的判断」による契約拒否は不当――ソフトバンクに訴訟が準備中、参加者・協力者呼びかけ

掲載日時: 2014/12/24(水) 21:56

 携帯キャリアに対する訴訟が準備中だそうです。

 「口だけは達者なトーシローのblog」を開設しているユーザーは、ソフトバンクモバイルと契約しようとしたところ、「総合的判断」により契約を拒否されたとのこと。

 電気通信事業法では、ソフトバンクモバイルを含む認定電気通信事業者は公益事業特権を付与されている代わりに、電気通信役務の提供が義務付けられています。料金滞納を含む正当な理由がない限り、契約に応じる必要があります。

 「総合的判断」の詳細は不明ですが、短期解約を行った場合にそのような判断になるものと思われます。同ブログのユーザーは電話でソフトバンクモバイルに確認したところ、審査の基準は「機密事項」と回答されたとのこと。しかし電気通信事業法で定められている以上、契約を提供しない、提供しない理由を提示しないというのは、おかしい話です。

 このため、同ブログのユーザーは原告となりソフトバンクモバイル株式会社を被告として、弁護士を付けない本人訴訟を提起したそうです。訴状の内容は以下の通り。

1.某ケータイショップでソフトバンクのスマホ契約しようとしたら、総合的判断で契約拒否された。
2.ソフトバンクのコールセンターに電話かけて理由を聞いても、理由は教えられないと言われた。
3.理由を言わないで契約拒否するのは電気通信事業法第121条違反の不法行為である。
4.この不法行為がなければ(契約が成立していれば)、スマホが無料(一括0円)で手に入ったり、キャッシュバックが手に入ったり、月月割(月額料金から一定額を割り引く制度)を受けられたり、スマホが使えるという便益を得られたりしたはずである。
5.よってソフトバンクはこの不法行為によって発生した損害(20万円)を賠償せよ

 同ユーザーが相談した弁護士いわく、不法行為による逸失利益を損害賠償するのは定石とのこと。

 また、この件について総合的判断を取り消し、訴訟の手数料を支払うことを条件とした和解をソフトバンクモバイルに対して勧告したところ、拒否されたとのことで、訴訟は不可避となっています。

 同ユーザーが「総合的判断」を食らったのがソフトバンクモバイルなので、それに対して訴訟を起こせるというだけで、このような「総合的判断」による契約拒否を行っているのは何もSoftBankのみならず、NTT docomoやKDDI、Y! mobileも同じです。ただ、他社だと預託金数万円を支払うことで契約できる例もあります。

 もし各社で「総合的判断」で契約ができなかった経験を持ち、訴訟に参加したい人、特に東京近郊にお住まいの方は、同ブログに連絡先が書かれているので、アクセスしてみてください。訴訟費用の寄付先も記載されていますので、協力したい方も。

 個人的には、キャリアが端末の販売を仕切っているので仕方なくキャリアから端末を買っていることも多く、その場合は回線は邪魔です。例えば直近では、開発者向けと銘打ちながら回線契約が必須なFx0 LGL25を見て、購入直後に短期解約したいと思った人も多いと思います。しかしこのような「総合的判断」というブラックボックスがあるので、そのまましばらく回線契約を維持することを選ぶ人も少なくないはずです。

 「即解」であろうが、何年使用しようが、同額の9500円(税別)の解約金を取っているのはキャリアです。もし短期解約に伴う損失金があるとキャリアが主張するのであれば、例えば3ヶ月であれば3ヶ月、6ヶ月であれば6ヶ月と最低利用期間を明示し、その期間のみ解約金を増やし、損失分を補填すればいいだけの話です。そして既にソフトバンクモバイルは、半年以内の解約に対して、解約金を二重課金することで、総額約3万円の解約金を徴収しているはずです。つまり支払うべきものを支払った上で解約しているのに、「総合的判断」で契約を拒否するのはおかしいのではと思います。私は、この訴訟は意義のあることだと思います。

 ちなみにキャリアが9500円の解約金を徴収すること自体は、法的には問題ありません。自動更新により実質的に2年以上使ったユーザーも解約金を払わざるを得ず、顧客の流動性が阻害されていることは、行政、消費者保護の立場からは問題があるというだけです。解約金訴訟は最高裁判決にてひとまず決着しましたが、今後は「総合的判断」の是非が、司法の場で争われることになりそうです。

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