規制逃れで「4年縛り」。総務省は割賦時SIMロック即時解除か

掲載日時: 2019/09/13(金) 07:29

 ソフトバンクの「半額サポート+」に続き、KDDIは「アップグレードプログラム DX」を発表しています。

 どちらのプログラムも月額390円の利用料が必要で、内容はほぼ同じ。対象スマホを48回分割払いすると、25カ月目以降に端末をキャリアに返却した上で、対象新製品を購入すると、48回分割払いの残債が免除されます。

 つまり延々と端末を買わせられ続けることに。こういった縛りは2019年10月1日以降は終了すると思われていましたが、完全にこれまでの「4年縛り」のような内容です。

 ただし、従来であれば加入条件に回線契約が必須であったのに対し、回線非契約者でも利用可能となっているので、改正電気通信事業法と省令による規制の対象外ということに。通信料金と端末販売を分離しているとの体裁を取ることで、「端末回収による実質半額」を継続するわけです。

 ところが、このプログラムは4年割賦を組むことが条件。そのうち半額の残債を免除できるという形。つまり一括払いでは使えません。

 しかし、キャリア販売端末のSIMロックは端末代を一括払いしなければ解除できません。他社回線で利用しようにも、このプログラムを使う限りは100日間はその端末は使えません。100日間端末なしで使うユーザーというのはあまり考えられないでしょう。「分離対応で、他社ユーザーでも使用可能」は、規制逃れの建前に過ぎないわけです。

 これについて、日本経済新聞が報じたところによれば、こうしたキャリアのプログラムに対応するため、頭金を支払うなど持ち逃げの恐れが低い場合は、分割払いでも、SIMロックを即時解除するよう総務省が義務付けるとのこと。

 ただ、それだけで問題がすべて解決されると言えるかどうかは疑問です。そもそも4年縛りが悪質とされたのは、残債免除の条件を満たさない場合の負担が大きいこと、表示や説明によって消費者を誤認させる可能性があること。そのように公正取引委員会が指摘し、総務省も動いてきたはず。携帯キャリアがいくら分離の建前を取って規制を逃れようとも、延々と無限縛りで端末を買わせ続ける行為は、公取や消費者庁といった他の官庁から問題視されて然るべきで、割賦時SIMロック即時解除への対応のみによって許容されると考えるのは甘いのではないでしょうか。

 中古端末を消費者が自由に利用し契約できる権利は最大限尊重されるべきで、市場環境が健全かどうかの一つの指標として中古市場を見ることは妥当だろうと思いますが、総務省が本気で「中古市場促進」を行った場合、新機種が売れなくなるため、メーカーにとっては不利益です。このため、キャリアやメーカーが中古端末を回収して中古市場への流入を防ぎつつ、適度に値引きを行う仕組みが選択できること自体は、メーカーと消費者に一定の利益があると考えられます。

 ただ、現状の法律と省令では、端末値引きは総額2万円の上限。しかし「4年縛り」を利用する場合、半額残債免除+総額2万円値引きと両取りできます。メーカーが主役のSIMフリー端末市場が一気に拡大するかと思いきや、大手キャリアで4年割賦を組まされ続ける消費者が、増える懸念もありそうです。

 上手い落とし所が見つかるといいのですけどね。今後の動向を注視したいところです。

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