ソニー、2億画素撮像素子「LYTIA 901」を発表！高感度と高解像度を両立、AI技術を用いた4倍ズームが可能

　ソニーセミコンダクタソリューションズ(Sony)は、CMOSイメージセンサーブランド「LYTIA」の新型2億画素イメージセンサー「LYTIA 901」を公開しました。2億画素はSonyのモバイル向けイメージセンサーとして、最高画素数となります。また、後に詳しく説明しますが、製品名についてはLYT-(製品番号)から「LYTIA (製品番号)」へと表記が切り替わります。

　画素数やセンサーサイズなどのスペックは以下の通り。

イメージサイズ	1/1.12型(対角14.287mm)
有効画素数	約2億画素
ピクセルサイズ	0.7μm (5000万画素撮影時 1.4μm, 1250万画素撮影時 2.8μm)
カラーフィルタ	QQBC(Quad-Quad Bayer Coding)
AF	不明
フレームレート	2億画素 10fps 5000万画素 30fps 1250万画素 120fps 1250万画素 60fps (5000万画素からの2倍ズーム/AD12 split-HDR時, DCG-HDRまたはLBMF時) 8K 30fps 4K 120fps

　センサーサイズは1/1.12型。これはLYT-900などの1型センサーよりは少し小型ですが、ISOCELL HP2といった従来の他社製2億画素センサーよりも大きいサイズとなっています。画素サイズは0.7μmとSony製センサーで最小となりますが、画素構造やカラーフィルタの進化により、ダイナミックレンジの向上に寄与する飽和信号量を増大させているとのこと。

　2億画素という画素数に合わせて、QQBC(Quad-Quad Bayer Coding)と呼ばれる画素配列を採用。RGGBの4画素のパターンからなる通常のBayer配列を16分割したような配列をしています。

　この配列やQuad Bayer配列では画像を出力する際に2つの機能を使用。一つは、特殊な配列をBayer配列の情報を戻すために行う配列変換処理(リモザイク)であり、高解像度での出力を可能にします。

　もう一つは、4画素または16画素の隣接画素をまとめて加算処理を行うピクセルビニング。ピクセルビニングを行うと出力画素数が1/4または1/16になる代わりに、1画素あたりの信号量が4倍または16倍に。これらの機能により、最高解像度でズームに利用する2億画素撮影、高感度な1250万画素撮影、その中間の5000万画素撮影の3つのモードを切り替えることができます。

　リモザイクの際には、元の画素配列とは異なる色の情報を、遠くの画素情報から計算・推定します。推定の精度が低いと偽色の発生や解像度の低下などの問題を招くため、非常に高度な演算処理が求められます。

　この問題に対し、LYTIA 901ではQQBC配列に対応したAI学習型リモザイクを新開発。一般的に再現が難しい高周波成分の信号処理を可能とし、細かい模様や文字などの微細な描写において高い再現性を実現した、といいます。2億画素撮影や、2億画素の中心の1250万画素を用いた4倍ズームの画質向上が期待されます。

　さらに、通常そうした処理は外部のISP(イメージシグナルプロセッサ)で行われますが、その処理回路を業界で初めてセンサー内に実装。これにより高速処理を可能にし、4K解像度での4倍ズームを最大30fpsで撮影可能にしています。

　近年、動画撮影でのダイナミックレンジ向上のために、高いフレームレートで実現可能なHDR撮影技術が求められています。そのHDR技術として、一度の露光で撮影した画像をハイ・ローの2つのゲイン設定で読み出し合成するDCG-HDRと、DCGに短時間露光フレームを外部ISPで合成するHF-HDRに対応。HF-HDRでは最大60fpsで100db以上のダイナミックレンジを実現し、黒つぶれだけでなく白飛びを大幅に抑えるといいます。

　さらに新技術として、分解能を従来の10bitから12bitに向上させた「Fine12bit ADC(アナログ・デジタルコンバーター)」を搭載。直接出力できる画像の明るさの段階を4倍に増やし、DCG-HDRと合わせて、4倍までの広いズーム域でも豊かな階調と高いダイナミックレンジでの撮影を実現しているとのこと。

　製品名については従来はLYT-(製品番号)でしたが、今後LYTIAブランドの製品を「LYTIA 製品番号」に切り替えて運用していくとしています。LYTIAのプロダクトブランドの認知向上のためであるとし、既存の製品ラインナップの製品名も切り替わっています。