
デスクトップDAC兼ヘッドホンアンプ「MUSE 300」を提供していただきました。レビューしていきます。
5型のカラー液晶を備え、メーカーによると「OSを搭載した世界初のデスクトップDAC/アンプ」とのこと。写真を見ていただければわかるとおり、DACとしてはかなり異質な見た目をしています。
結論から書いてしまうと、これはワイヤレス環境を充実させる機械ではありません。音質を最優先した、有線環境に全振りした一台。順に見ていきましょう。
開封
まずは配送用の外箱から。海外からの直送で届きました。

化粧箱がこちら。本体の画面に映るイラストがそのまま大きく印刷されています。
裏面には製造元の表記。Shenzhen Yunke Acoustics Technologyという会社が手掛けています。そして注目したいのが技適マーク。本機はBluetoothを搭載しているため日本国内では技適が必須ですが、しっかり220-J11700の番号が入っています。海外クラウドファンディング発の製品では、ここが抜けていることも珍しくないので安心材料ですね。

箱を開けると、本体が姿を現します。梱包は丁寧。

同梱物は本体のほか、USBケーブル、クイックスタートガイド、ACアダプター、6.35mm変換プラグ、そしてBluetoothアンテナです。

ACアダプターにはメガネ型の2ピン端子があり、電源ケーブルは非同梱。グローバル製品なので、汎用的なメガネ型を採用し、電源ケーブルは各自で用意してもらうことで、少しでも不用品を減らす狙いでしょうか。また本機は据え置き機なので、当然ながらバスパワー駆動ではありません。

USBケーブルは布巻きで、端子は金メッキ。パソコンとつなぐのはUSB Type-Bなので、いわゆるプリンターケーブルの形状です。

ビルドクオリティは文句なし
本体を取り出してみます。手前に向かって傾斜したクサビ形という、なかなか見ない形状。アルミの削り出しボディで、質感は非常に高いです。

右側に配置されたボリュームノブ。ローレット加工が施され、回したときの節度感も上々です。

前面下部には「MUSE 300 Desktop DAC and headphone amplifier」の刻印。主張しすぎない、落ち着いた佇まいです。

底面。ゴム足が2本、しっかりと貼られています。

正直なところ、ビルドクオリティは素晴らしいの一言。高品質なボタンにアルミボディと、机の上に置いているだけで非常におしゃれに見えます。所有欲を満たしてくれるタイプの製品ですね。
端子構成にこだわりを感じる
前面の出力端子をチェック。6.35mmの標準ジャックと、4.4mmのバランス出力という構成です。

ここで気付くのが、最も普及しているアンバランスの3.5mmが省かれていること。おそらく標準ジャックを変換して使えということなのでしょう。そのため、付属品ではしっかり変換端子が用意されています。
そして背面。入力はUSB、光デジタル、同軸デジタルの3系統。出力はRCAのライン出力に加えて、バランス接続のXLR、いわゆるキャノン端子を備えます。ほかにBluetoothアンテナ端子、カスタム用のUSB Type-C、DC 12Vの電源入力という並びです。
XLR出力を持っているということは、本格的な業務用スピーカーにもそのまま対応できるということ。ここは高く評価したいポイントです。DSD、ESS、aptX、LDAC、MQAのロゴも並んでいますね。

実際にRCAケーブルを接続したところがこちら。筆者はYAMAHAのモニタースピーカー「MSP3」をつないで鳴らしています。

本来はXLRで接続したかったのですが、手元にXLRケーブルがないため、やむなくRCAで接続することに。
Macとは最大384kHzで接続できた
付属のUSBケーブルでMacとつないでみます。ドライバーを入れることなく「MUSE HiFi MUSE300」として認識されました。
オーディオMIDI設定を開いてフォーマットを確認すると、44.1kHz、48.0kHz、88.2kHz、96.0kHz、176.4kHz、192.0kHz、352.8kHz、そして384.0kHzまでずらりと選択可能。ビット深度もそれぞれ16ビット、24ビット、32ビットの整数が選べます。今回は最上位となる384.0kHz、2チャンネル、32ビット整数を選択して使用しました。
なお、そんなサンプリングレートの音源はないので、性能をフルに生かせないのが非常に悔やまれます。

5型画面とMUSE OS
本機最大の特徴が、この5型のカラー液晶です。ただ光っているだけの飾りではなく、独自のOSが載っており、メニューを操作して各種設定を追い込めます。
まずは言語設定から。English、日本語など7言語に対応。もちろん日本語表示も問題ありません。ただ、英語やアラビア語ではドット風に表記され、世界観に合っているのですが、日本語の場合は普通のゴシック体なので、一体感がなくやや気持ち悪さがあります。Englishで使うことをおすすめします。

3つのUIテーマ
UIのテーマは3種類。こちらはMinimalistで、再生中のフォーマットやサンプリングレート、ゲイン、出力先、サウンドスタイル、入力ソースが一望できます。落ち着いていて実用的。

一転してこちらがACG(アニメ・コミック・ゲーム)テーマ。イラストがドンと表示され、情報も一緒に並びます。好みは分かれるでしょうが、こういう振り切り方は嫌いではありません。

もうひとつ、ネオン調のCyberpunkテーマも用意されています。時計表示のスタイルもテーマごとに切り替え可能。

スクリーンセーバーも多彩
一定時間操作しないと画面はスクリーンセーバーに移行します。スクリーンセーバーはClock、VUmeter、Rhythm、Motion、Customから選択可能。

Rhythmを選ぶと、再生中の音楽に合わせてスペクトラムアナライザーが動きます。眺めているだけでも楽しいですね。

Customでは自分の好きな画像を5枚まで登録できる……はずなのですが、こちらは検証できず。画像を転送するためのソフトウェアがMac向けに提供されていないためです。Windowsユーザーであれば試せるかと思います。

しかしタッチ操作は非対応
さて、ここからが本機で最も気になった点です。
これだけ大きな液晶を備えているのだから、さぞ使いやすいのだろう……と思いきや、これがバッド。どう見てもタッチできそうなUIなのですが、タッチ操作には非対応なのです。
すべての操作を、あのダイヤル1つでこなさなければなりません。回転で項目移動、押し込みで確定、ダブルクリックで戻るか設定に入る、長押しでシャットダウンと起動。覚えるまでがやや不便……いえ、正直に書くと覚えても不便です。

説明書の日本語は非常に自然。AI時代さまさまということでしょうか。
メニュー階層自体は説明書にまとまっているので、迷ったらこちらを見るのが早いかと思います。

サウンドフィルターとサウンドスタイル
肝心の音についてです。比較対象として、筆者がこれまで使っていたFiiOの「BTA30 Pro」と聴き比べてみました。スピーカーはYAMAHA MSP3、ヘッドホンはSONY MDR-M1STを使用しています。
率直に言って、音の傾向そのものには大きな差を感じませんでした。どちらも素直に鳴らしてくれる、といった印象です。
ただ、本機が面白いのはここから。多機能ゆえにサウンドフィルターやサウンドスタイルが用意されており、自分好みに調整できるのです。ポン置きで完成された音を出すというより、自分で追い込んでいく楽しさがある機械かと思います。
BTA30 Proと比べてわかったこと
BTA30 Proと入れ替えて使ってみると、両者の性格の違いがはっきりしました。
まず大きいのが、BTA30 Proでは有線ヘッドホンを使えなかったのに対し、MUSE 300ではしっかり使えるということ。しかも標準のヘッドホンジャックに加えて、バランス接続のできる4.4mmにも対応しているのは高評価ポイントです。
一方で、MUSE 300はワイヤレスヘッドホンをつなぐことができません。Bluetoothの送信に対応していないためで、BTA30 Proでは可能だった「WH-1000XM4をつないでLDACで聴く」という使い方ができなくなりました。ここは完全にトレードオフですね。
つまり本機は、ワイヤレス環境重視というよりは、音質超重視の有線環境特化モデルだと筆者は捉えています。
とはいえBluetoothの受信には対応しているので、スマホをMUSE 300につないで、そのまま業務用スピーカーを鳴らすといった使い方は可能です。AndroidデバイスであればLDAC接続が使えるため、ハイレゾ音源もワイヤレスで再生できます。
まとめ

惜しい点を先に挙げるなら、やはり操作性でしょう。5型の立派な液晶を積みながらタッチ非対応で、すべてをダイヤル1つで操作させられるのは、慣れても快適とは言い難いところ。Customスクリーンセーバー用のソフトがMacに提供されていないのも、Macユーザーとしては残念でした。
しかし、それを補って余りある魅力があります。6.35mmと4.4mmバランスというヘッドホン出力、業務用スピーカーにも対応するXLR出力。あえて3.5mmを省く割り切り。そしてアルミボディの高い質感。
ワイヤレスの利便性を取るならBTA30 Proのような機種が正解でしょう。しかし有線で、しかもバランス接続で音を追い込みたいのであれば、本機は非常に魅力的な選択肢になるかと思います。デスクに置いたときの佇まいも素晴らしいので、所有する満足感を求める方にもおすすめします。











