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Nothing Headphone (1) Pro レビュー。デザインも操作も秀逸

白い背景に置いたブラックのNothing Headphone (1) Pro

 Nothingが発表した最新ヘッドフォン「Nothing Headphone (1) Pro」をNothingからお借りしたのでレビューします。レビューの動画版はこちら。

 価格は税込6万4800円。カラーはブラックとホワイトの2色で、お借りしたのはブラックです。

木の机に置いたブラックのNothing Headphone (1) Pro

 まずデザインが秀逸。とても良いです。これまでのNothing製品で一番好きかもしれません。前のHeadphone (1)のときから、透明感のある見た目と金属の質感、それにカセットテープを思わせるデザインでしたが、Proではイヤーカップの透明な部分がアクリル系の素材から強化ガラスになって、表面もフラットになりました。アームもスチールからチタンに変わっています。見た目の方向性はそのままに、より未来的で、完成度が上がった印象です。

 ガラスの奥には3つのドライバーの構造がうっすらと透けて見え、Nothingらしい「中身を見せる」デザイン。アームのチタン合金も、Headphone (1)のアームより45%軽くなったそうです。アクリルとスチールだった前作から、ガラスとチタンに変わったことで、素材の質感がぐっと上がりました。

 今回お借りしたのはブラック。アルミのフレーム、強化ガラス、その奥に見える内部の構造が重なって、黒一色でものっぺりせず、落ち着いた中に奥行きがあります。カップに入った赤と白の小さな四角も、いい差し色になっています。細部の作り込みで高級感を出しています。

ブラックのHeadphone (1) Proを真上から

 箱出しの音は、低音をしっかり強化したチューニングです。特に超低域を持ち上げており、深く沈み込みながらもきっちり締まっている傾向。中低域はすっきりしているので、ボーカルや他の楽器に低音がかぶりません。聴いていてとにかく楽しい音で、筆者はとても好きです。

 最近のオーディオ製品は、低音の量感や重低音を増やす方向がトレンド。とはいえドンドンと押し出すような圧の強すぎる低音ではないので、ヒップホップやEDMで低音を浴びたい人は、イコライザーで少し足すとちょうどよくなるはずです。

 中域は明瞭で、解像感もあります。本機は40mmのダイナミックドライバーを軸に、高精度ダイナミックドライバーとxMEMSツイーター(高音域を受け持つ小型のユニット)を組み合わせた3ドライバー構成。この価格帯だと3ドライバーは珍しいです。

40mmフルレンジ、高精度ダイナミック、xMEMSツイーターの配置を示す説明会スライド

 音数が多い曲でも、それぞれの音が埋もれません。ボーカルが一歩前に出てくる塩梅で、ボーカルには空気感があり現代的な曲にも浸れます。

 高域もしっかり鳴っています。やや明るめの鳴り方で、シンバルのクラッシュも気持ちよく伸びるのに、刺さりにくいのが好印象です。高音が耳障りなヘッドホンは意外と多いのですが、本機にはそれがなく、長く聴いていられます。きらびやかでありながら、無理がなく自然な高域です。

 音のつながりも自然でデジタル臭さが薄く、生の音のような質感で、個人的にはかなり好きです。3ドライバーの高いポテンシャルを感じます。

 音場は広めで、定位も良く、どの楽器がどこで鳴っているのかつかみやすいです。今どきの曲だけではなく、ピアノやオーケストラのような楽器が主体の曲、クラシックなどでは分離の良さと音場の広さが活きてくるように思います。

 Flat EQ(音の色付けや加工を抑える設定)をオンにすると、中域はぐっと良くなる一方、低音はかなり控えめになります。これはこれで聴きやすい音です。アプリを開かずに、物理スイッチひとつで切り替えられるのはとても面白いと思いました。ただ、個人的には箱出しの音の方が好きですね。

 空間オーディオは、まだ改善の余地があります。スタンダード、MetropolisスタジオB、ライブハウス、クラブ、コンサートホールの5種類を選べますが、効果は控えめで、モードによっては響きが不自然に感じられます。素の状態で音場が十分に広いので、基本的にはオフのままでいいでしょう。発売後もアップデートで改善していくそうなので、空間オーディオも今後に期待です。

ブラックのHeadphone (1) Proのイヤーカップ

 装着感はかなり良くなりました。ヘッドバンドのクッションが非常に柔らかく、頭頂部が痛くなることもありません。イヤーパッドもかなり柔らかいです。公式でも、Headphone (1)よりヘッドバンドを10%広く、クッションを12%厚くしたとしています。

Headphone (1) Proのイヤーパッドと操作部

 側圧は弱くはないものの強すぎもしない、ちょうど良い塩梅。筆者は側圧の強いヘッドホンが苦手ですが、本機は問題なく使えました。本体は327gと軽い部類ではないものの、クッションが柔らかいおかげか負担は感じにくく、快適です。

 そして何より、このヘッドホンの価値のほとんどは操作系にあると思います。

Headphone (1) Proのイヤーカップ側面のローラーとパドル

 特に秀逸なのがローラー。クルクル回すと音量調整、押し込むと再生と一時停止、長押しでノイズキャンセリングと外音取り込みの切り替え。役割がわかりやすく、本当に使いやすいです。パドルもよくできていて、カチカチと倒すと曲送りと曲戻し、倒したままにすると早送りと巻き戻し。実に快適です。操作感はもう申し分ありません。

 強いて言うなら、左のイヤーカップの内側にあるFlat EQのスイッチが、装着中には押しにくいです。反対側のペアリングボタンは装着しながら押すものではないので、隠れていても良いのですが、フラットな音と通常の音をこまめに切り替えたい人、Flat EQを目当てに購入した人には、少し不満が残るかもしれません。

 物理操作は昔のオーディオ機器を懐かしむレトロ趣味に思えるかもしれませんが、そうではありません。一般的にタッチ操作は、見えているところを操作する分にはいいのですが、装着中に見えていないヘッドホンのパッド部分がタッチ操作になっていると、操作の確実性が不足します。手探りで操作ができる本機は本当に使っていて快感です。自分はただ懐かしむだけの製品はあまり好きではないのですが、本機は昔良かったものを今に復活させる、まさに温故知新で好印象です。

 手応えだけでなく、ノイズキャンセリング・外音取り込みの切り替え音のフィードバックも秀逸です。ローラーを長押ししてノイズキャンセリングをオンにすると、空気が抜けていくような音がして、周りの音がすっと消えます。もう一度長押しすると、今度はすーっと空気が流れ込んでくるような音とともに、外の音が戻ってきます。

 音は空気の振動なので、空気のない真空では伝わりませんよね。宇宙船のエアロックを思わせる、わかりやすい演出です。前のHeadphone (1)から続く効果音ですが、モードの切り替えを説明なしに耳で直感的にわからせてしまう。Nothing、こういうところのセンスがあるなと思います。

 ちょっと変わった試みとしては、付属のケースがあります。イヤーカップだけを覆い、ヘッドバンドは外に出しておくという攻めた作り。閉じるとヘッドバンドがそのまま持ち手になって、小さなハンドバッグのような見た目になります。耐久性の面ではどうなのかとは思いますが、面白いケースです。

ケースに収め、ヘッドバンドを持ち手にしたHeadphone (1) Pro

開いたケースに収めたブラックのHeadphone (1) Pro

 側面にはストラップホールもあるので、手持ちのストラップを通せば、肩から下げたり斜めがけにしたりもできます。こういう遊び心はいいですね。

Headphone (1) Pro用ケース側面のストラップホール

 重量は公称値はヘッドホンが327g、ケースが383.5gで、合わせると710.5g。これを重いと見るか軽いと見るか。カバンに入れてしまえば重さはそれほど気になりませんが、形状的に出っ張るので、収まりが特段良いというわけではありません。ここは好みが分かれると思います。ケースのほかに、USB Type-Cケーブルと3.5mmオーディオケーブルも付属しますが、これらはケースの中に収められないのは惜しい点。とはいえ基本は無線で使う製品ですし、USB-Cケーブルぐらいはカバンに入っているでしょう、という割り切りなのかもしれません。

 色にも触れておきます。ケースはNothingのイメージカラーに合わせて白のみ。黒の本体を選ぶと白黒ツートンになってしまうのも、好みが分かれるかもしれません。質感もちょっとチープなので、ここはもう少し高級感があるといいですね。

 なお、ちなみにAirPods Maxも同じですが、Headphone (1) Proを裸で置いておくと、左右のイヤーカップの角同士がガツガツ当たることがあります。純正のケースで当たらないように保護できるのはありがたいところです。方向性は良いので、今後も続投して改善を重ねていってほしいと思います。

 価格は6万4800円と高めです。そこをどう捉えるかはあります。

 デザインだけ好きな機種、音だけ好きな機種など、いろんなヘッドホンやオーディオ機器を持っていますが、もし「ヘッドホンを1台だけ選べ」と言われたら、デザインも優れ、わりと音も良い、そして操作系が秀逸、そんな本機を筆者は有力候補として選ぶと思います。

項目 Nothing Headphone (1) Pro
ドライバー 40mmダイナミックドライバー、高精度ダイナミックドライバー(13 × 8 mm)、xMEMSツイーター
再生周波数帯域 20Hz〜40kHz
Bluetooth 6.1、マルチポイント(2台)、Auracast(複数のヘッドホンへ同時に音声を送る機能)対応
対応コーデック SBC、AAC、LDAC(放送音声のみLC3)
有線接続 USB Type-C(最大24bit/192kHz)、3.5mm(最大24bit/96kHz)
ノイズキャンセリング 最大46dB、マイク計10基(片側5基)、外音取り込み
電池 1060mAh
連続再生時間(AAC) ANCオフで最大68時間、ANCオンで最大30時間
連続再生時間(LDAC) ANCオフで最大53時間、ANCオンで最大28時間
充電時間 約2時間、5分の充電で最大4時間再生(AAC、ANCオフ、音量50%でのメーカー試験値)
操作部 ローラー、パドル、カスタマイズボタン、Flat EQスイッチ
素材 アルミフレーム、強化ガラス(9H Panda Glass)、チタン合金アーム
寸法 190.2 × 174.4 × 78.0 mm
重量 327g
ケース寸法・重量 228.5 × 123.0 × 53.0 mm、383.5g
防塵防滴 IP52
対応OS Android 8.0以降、iOS 13以降
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