
Nothingといえばデザイン。かなり尖っていて毎回賛否両論を呼ぶことが多いのですが、今回、筆者はかなり好きだなと思うデザインの超かっこいいヘッドフォンが登場してくれました。
Nothingは、ワイヤレスヘッドホン「Headphone (1) Pro」を発表しました。9月29日に発売します。税込価格は6万4800円。ブラックとホワイトの2色を用意します。
Nothingのオーバーヘッド型ヘッドホンには、これまで「Headphone (1)」と、価格を抑えて色の選択肢を広げた「Headphone (a)」がありました。今回のProは、その上に位置する新たなフラッグシップとなります。オーディオはNothingのルーツであり、スマートフォンとともに大切な製品分野だと強調します。
「あれ?Headphone (2)じゃないの?」と思うところですが、目指した製品の格や機能が次のレベルに進むことからProという位置付けにしたと説明。形そのものにはシリーズの共通性を残しながら、素材や内部構造、音の調整を深く掘り下げた高級モデルとなっています。価格設定からも後継というより上位モデルですしね。
3つのドライバーは、それぞれ何をしているのか
最大の特徴は「トリプルドライバーアーキテクチャ」。中心となるのは40mmのフルレンジ・ダイナミックドライバーです。これが広い音域を受け持ち、高精度ダイナミックドライバーとxMEMSツイーターが補います。
それぞれどういう意味があるのか?まず高精度ダイナミックドライバーの役割は、音を明瞭に、切れよくすること。さらに高域の再生を担うのがxMEMSツイーターです。

この価格帯の個人消費者向けオーバーヘッド型で、異なる3つのドライバーを組み合わせる構成は珍しく、そそる機種となっています。
USB-Cは192kHz/24bitへ。有線も使える
無線ではLDACをサポートし、最大990kbps、96kHz/24bitに対応します。USB-C接続では、従来の96kHzから最大192kHz/24bitへと進化、ロスレス再生も可能。

USB-Cケーブルに加え、3.5mmオーディオケーブルも同梱。普段はスマートフォンと無線でつなぎ、必要なときには有線で使い分けられます。
Flat EQは、音楽を聴く人、音を作る人、映像を作る人のために
今回、特に興味深かったのが「Flat EQ」です。イヤーカップの内側に専用のスイッチを設け、音の修正や加工を最小限に抑えた、ニュートラルな再生を目指しています。

搭載の背景を聞くと、大きく3つの層から要望があったそうです。一つは、制作者の意図をくんだフラットな音を聴きたいという一般のリスナー。もう一つは、自宅のデスクトップ環境やスタジオで音楽を作るプロ、セミプロ、ハイアマチュア。三つ目は映像を作る人の音の確認です。
モニターヘッドホンを名乗るという話ではありませんが、制作にも使える選択肢として耐えるものをFlat EQは目指しているというわけ。なお、説明会では、Flat EQを有効にすると通常のイコライザーと外音取り込みは利用できなくなると説明されました。
なおソニーでオーディオやXperiaに携わった経験のある、Nothingの黒住吉郎氏は、約2週間使っている中でFlat EQで聴く時間が最も長いと話していました。音が自然に聞こえる感覚があるという理由です。制作向けの機能であると同時に、普段からフラットな音が好きな人にも使ってほしいという位置付けです。
Flat EQの音作りには、ロンドンのMetropolis Studiosのサウンドエンジニアが参加。約1年にわたって進めたそうです。音響構造や処理によって出てくる音は変わるため、基準に合わせ込むため調整。協業範囲はFlat EQに加え、空間オーディオの音作りやEQの設定にも及びます。
ドライバーごとのEQと、5つの空間オーディオ
トリプルドライバーの採用に合わせ、通常のイコライザーも見直し。簡易設定は手軽さを残しながら調整の幅を広げ、詳細設定ではメインドライバーと高精度ドライバーを別々に調整できるのも面白いですね。さらに詳細設定の画面には周波数、Qファクター、ゲインが並びます。

空間オーディオはHRTFのアルゴリズムと、頭の動きに追従するダイナミックヘッドトラッキングを利用します。個人ごとに測定する方式ではなく、平均的な特性を基にしていると説明。世代を重ねてアルゴリズムを改善し、頭の動きに対する追従も自然になったとしています。

プリセットは、スタンダード、MetropolisスタジオB、ライブハウス、クラブ、コンサートホールの5種類。単に音を広げるだけでなく、「どんな場所で聴いているか」を選べる仕組みです。例えばライブハウスなら、前方で音が鳴り、後方から会場の響きが回ってくる。場所ごとの音場の違いを再現することを狙っています。
ANCは最大46dB。マイクだけでなく、表皮からクッションの芯まで改良
ANCの騒音低減量は、Headphone (1)の最大42dBから最大46dBへ向上したとしています。そのために、ソフトウェア、マイク、環境に応じた制御、そして耳を物理的に覆う構造を組み合わせて見直しており、対応する音域と低減量を「面積」で捉えた比較では、約40%改善したとのこと。
物理的な遮音に当たるPNCでは、まずイヤークッションの表皮を変更。従来のPUレザー1枚から、PUレザーとナイロン生地の二重構造に。クッションはただ柔らかいだけでなく、革のような「コシのある柔らかさ」を狙ったそうです。

その内側のクッション材は、Headphone (1)比で約50%ソフトに。形を保つ表皮と柔らかいクッションを組み合わせ、耳への密着性を高めています。さらに芯に当たる部分にはシリコーン製の遮音壁を配置。外の騒音を入りにくくし、中の音も逃がしにくくします。
ANC用のマイクは片側5基、左右合計10基。片側に、外側の音を拾うフィードフォワードマイク3基と、内側の音を拾うフィードバックマイク2基を配置しています。

また、AIを活用する環境適応型NCも。電車内、屋外、静かな場所など、そのときの環境に合わせて効かせ方を変化させます。
強化ガラスとチタンで質感を高め、装着部の幅や厚みも変更
外装はアルミフレームを継続しつつ、イヤーカップ外側の透明部分を、従来のアクリル系素材から強化ガラスへ変更。表面はフラットになり、内部が透けるNothingらしいデザインを保ちながら、素材の質感を高めています。

アームはスチールからチタンに変更。強度と軽さを両立させる狙いで、アーム部分だけでは45%軽量化したといいます。ガラスや複雑な音響構造を採用しながら、本体全体ではHeadphone (1)より2g軽くなったとのことです。実際に持ってみた第一印象も「思ったよりは軽いな」でした。

装着部では、ヘッドバンドの幅を10%広げ、パッドの厚みを12%増やすなど、頭への当たりを和らげつつもしっかり支えます。
ローラーを回す、パドルを倒す。物理操作を継承
Headphone (1)で特に好評だったという物理操作は、Proにも継承。ローラーを回すと音量調整、押すと再生・一時停止、長押しでANCと外音取り込みを切り替えます。パドルは前後の曲への移動に使い、倒したままにすると早送り/巻き戻しができます。

ケースごと肩に掛けられる。イヤーカップの接触も確認した
付属ケースは、新たにハードシェル構造を採用。ヘッドホンを収めると、外に出たヘッドバンドがそのまま持ち手になります。見た目は小さなハンドバッグのようです。

側面にはストラップホールもあります。取り付け用のひもやカメラのショルダーストラップなどを通し、持ち運びに使えます。これ面白いですね。

NothingのヘッドフォンはApple AirPods Maxなどのように、左右のイヤーカップがコツコツ当たる点が以前のモデルで気になっていましたが、ケース内では左右が分かれて収まりますので、擦れや傷が気になる人にはこの収納が役立ちそうです。

ケースは本体色にかかわらずホワイト1色のみ。ブラックには黒いケースも欲しくなりますが、今回は見た目を一つに統一し、象徴的なデザインにする判断だったそうです。
なお、イヤーパッドについては交換用パッドを別売りする計画はないとのことです。劣化した場合は、カスタマーサポートに相談する形になると説明していました。
最大68時間再生。Auracastも、この世代から対応
連続再生時間は、AAC使用時でANCオフなら最大68時間、オンなら最大30時間。LDAC使用時は、ANCオフで最大53時間、オンで最大28時間です。いずれもメーカー公称値で、使用条件により変動します。説明会では、海外渡航のような長時間の移動でも使える長さをアピールしていました。
Bluetoothは6.1に対応し、Auracastもサポートします。この世代以降の製品でも積極的に取り入れたいといいます。防塵防滴性能はIP52です。
広告のそっくりな3人は、本物の三つ子
説明会では広告ビジュアルの起用にまつわる小話もありました。ヘッドホンを着けたよく似た3人は、実際の三つ子のモデルだそうです。

主な仕様
| 項目 | Headphone (1) Pro |
|---|---|
| ドライバー | 40mmフルレンジ・ダイナミックドライバー、高精度ダイナミックドライバー、xMEMSツイーター |
| Bluetooth | 6.1、Auracast対応 |
| ハイレゾ再生 | USB-C:最大192kHz/24bit、LDAC:最大990kbps・96kHz/24bit |
| 有線接続 | USB-C、3.5mm |
| ANC | 最大46dBの騒音低減 |
| ANC用マイク | 左右合計10基(片側5基:フィードフォワード3基+フィードバック2基) |
| 物理的な遮音構造 | PUレザーとナイロン生地の二重構造、従来比約50%ソフトなクッション、シリコーン製遮音壁 |
| 連続再生時間 | AAC使用時:ANCオフ最大68時間/ANCオン最大30時間 LDAC使用時:ANCオフ最大53時間/ANCオン最大28時間 |
| Flat EQ | 専用スイッチで切り替え。説明会では、オン時は通常EQ・外音取り込み非対応と案内 |
| 通常EQ | 簡易設定、メインドライバーと高精度ドライバーの個別詳細設定 |
| 空間オーディオ | ダイナミックヘッドトラッキング、5プリセット(スタンダード/MetropolisスタジオB/ライブハウス/クラブ/コンサートホール) |
| 主な操作部 | ローラー、パドル、カスタマイズボタン、Flat EQスイッチ |
| 主な素材 | アルミフレーム、強化ガラス、チタン製アーム |
| 防塵防滴 | IP52 |
| 本体色 | ブラック、ホワイト |
| 主な付属品 | ハードシェルケース(ホワイト)、USB-Cケーブル、3.5mmオーディオケーブル |
| 税込価格 | 6万4800円 |
| 発売日 | 2026年9月29日 |











