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「NIKKE」起動時に不正アクセスの危険が発生。PCランチャー改竄でパスワードやAIツールの認証情報も標的に

 ゲームを遊ぶために起動した公式ランチャーが、PCを乗っ取る入口になっていた可能性があります。スマートフォンとPC向けシューティングRPG「勝利の女神:NIKKE」のWindows版PCランチャーで、一部ファイルが第三者に改ざんされ、起動時に不正プログラムが実行される恐れがあったと判明しました。

 パブリッシャーのLevel Infiniteは11月4日、PCランチャーのスクリプトファイルが第三者によって改ざんされた可能性のある異常を確認したと発表。同日午前2時30分ごろにクライアントの修正とアップデートを実施したと明かしました。

 そして翌5日朝、同社は改めてお詫びを掲載しました。ランチャーの一部ファイルが改ざんされ、起動時に不正プログラムが実行される可能性があったことを確認し、利用者のPCやアカウント情報がセキュリティ上のリスクにさらされた可能性があるとしています。

 被害の範囲と、ファイルが改ざんされた経路は、CDN(配信網)を含めて調査中です。

 同社は公式サイトで経緯や対応状況を公表したほか、利用者が自分でPCを点検するためのガイド、アカウント保護の方法、被害の受付方法を案内しています。

 加えてゲーム内の補償を用意し、ゲームの利用に関する被害や金銭的な二次被害が出た場合はカスタマーサポートへ問い合わせるよう呼びかけています。

 一方、何が起きていたのかについて、独立系セキュリティ研究者のMotherSphere氏がGitHubで詳しい調査結果を報告しました。

 同氏によると、ランチャーが読み込むLevel InfiniteのCDN上の公式JavaScriptファイル4つが、日本時間の9月27日15時41分から42分にかけて改ざんされたとのこと。

 ランチャーを開くと攻撃者のサーバーからコードを取得するようになっており、遅くとも10月23日には遠隔操作プログラム「K2F」を送り込める状態になっていたといいます。

 米メディアのBleepingComputerも改ざんされたファイルのうち2つを調査し、攻撃者のドメインからコードを取得して実行するローダーの存在を確認しました。

 同誌がMotherSphere氏の分析として伝えた内容によると、K2Fは攻撃者がコマンドを実行したり、ファイルを閲覧・取得したり、画面を撮影したりできるほか、NIKKEのアカウント情報やブラウザーの保存情報も収集可能。

 さらに暗号資産ウォレットの復元フレーズや秘密鍵を盗む機能を持つDLLを追加で導入する命令にも対応していました。もっとも、このDLLが実際に使われたかは分かっていないとしています。

 また、MotherSphere氏の報告によると、K2Fが読み取りを試みる対象にはSSHの鍵やクラウドサービスの認証情報に加え、Claude、Codex、Gemini CLIといったAIツールの認証ファイルも含まれます。

 Chrome系のブラウザーからは、設定によってCookie(ログイン状態の情報)も集める機能があったとしています。

 実際にログを追った利用者の黒神氏は、攻撃者のサーバーから「insight.bundle」が落とされた後、Codexの認証ファイル(auth.json)や設定、VS Codeの設定、ChromeとEdgeの保存パスワードが読み取られていたと報告しています。

 別の利用者のゆ氏も、自身のPCで起きた挙動を時系列で公開しました。11月3日22時12分にランチャーを起動すると攻撃者のドメインからスクリプトを受信し、その2秒後には遠隔操作プログラムが攻撃者側に登録されていたといいます。

 11月3日22時台にランチャーのブラウザー部品(tbs_browser.exe)が送信したデータは約61万バイトに達し、比較として挙げられた10月29日の約15万バイトを大幅に上回っていました。

 Windows版のPCランチャーを使っていた場合は、公式の点検ガイドを確認する必要があります。

 MotherSphere氏によると、ランチャーのフォルダーにある「Launcher/intl_service/debug.log」に「k2f_chan registered」の記録があれば、不正プログラムが動作した形跡とのこと。

 そしてBleepingComputerは、感染が疑われる場合はウイルス対策ソフトで全体をスキャンし、感染していればWindowsを再インストールしたうえで、別の安全な端末からパスワードなどを変更するよう推奨しています。

 ゲームの公式ランチャーという疑う余地のない場所から遠隔操作プログラムが侵入し、ゲームとは無関係なパスワードやAIツールの鍵まで狙われていた事態には背筋が凍ります。しかも改ざんは9月末から1か月以上も続いていたとされ、運営自身も侵入経路をいまだ調査している段階。仕事や開発と同じPCでゲームを遊んでいる人ほど、被害がゲームアカウントの範疇にとどまらない恐れがあります。ゲーム内補償の手配は当然として、影響を受けたユーザーの規模や、なぜ正規の配信網に書き込めたのかという根本原因を早く明らかにして欲しいところです。

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