
花火大会の会場で、撮った動画をSNSに上げようとしても、なかなか送れない。人が密集する場所では、スマートフォンの通信が一時的に遅くなりがちです。
NTTドコモは11月4日、10月17日に開かれた「第38回なにわ淀川花火大会」で、混雑に応じて通信量を自動で振り分ける実証実験を行ったと発表しました。ノキア製のSON(自律型ネットワーク運用システム)「MantaRay SON」の機能を活用しています。
ドコモによると、こうした自動調整の実証は国内初(11月4日時点、同社調べ)とのこと。通信が最も混み合う時間帯でも、下り約370Mbps、上り約31Mbpsの速度を確認したといいます。
大規模イベントでは、限られた時間と場所に人が集まり、動画の視聴やSNSの利用で通信量が一気に跳ね上がります。
そのため特定の周波数帯へ接続が偏って速度が落ちる一方、ほかの周波数帯には空きが残り、複数の帯域を使い切れていなかったと同社は説明しています。
そこで今回投入されたのが、MantaRay SONに搭載された「MLB」(Mobility Load Balancing:モビリティ負荷分散)機能。各基地局と周波数帯の通信量を継続的に把握し、混雑している基地局や周波数帯から、余裕のある側へスマートフォンなどの接続先を自動で切り替えます。

対象としたのは、会場に設置した無線装置「Tri-Band Massive MIMO」。3.5GHz帯、3.7GHz帯、4.5GHz帯の3つの周波数帯(合計280MHz幅)に対応し、多数のアンテナで利用者のいる方向へ電波を届ける仕様です。
一方、ドコモが比較に挙げたMLBなしの例(過去の花火大会の一例)では、3.5GHz帯と3.7GHz帯に空きがあるにもかかわらず4.5GHz帯へ接続が偏り、通信しづらい状況になっていました。
ところが今回の大会では、この偏りが解消され、どの周波数帯でも安定した通信速度を確認できたとのこと。会場周辺で通信量が最も多くなる時間帯に測った速度は、実測値の中央値で下り約370Mbps、上り約31Mbpsを記録しました。

ドコモは、Tri-Band Massive MIMOによる設備面の対策とMLB機能の併用によって偏りを解消した結果だとしています。
また、ドコモは2025年11月にMantaRay SONを導入しており、LTEと5Gの運用システムの連携を自動化して作業時間を最大90%削減できるとしていました。
今後は、スタジアムなどの大規模施設へこの負荷分散機能を導入し、都市部への展開も検討する予定。
さらに2027年中に、通信業界の国際団体TM Forumが定める「自律型ネットワーク レベル4」(AIが状況を予測し、人の指示なしにネットワークを制御・管理する段階)に対応するネットワークの実現をめざすとしています。
花火大会で「アンテナは立っているのに送れない」原因の一つが、空いている周波数帯を使い切れず接続が偏っていたことだ、というのがドコモの説明です。設備を足すだけでなく、今ある帯域を賢く配り直すのは地味ながら効く対策で、下り約370Mbpsという数字も頼もしい。しかし、今回はTri-Band Massive MIMOを置いた会場での結果で、比べた相手も過去の花火大会の一例。本当に知りたいのは、夕方の駅や繁華街のような日常の混雑でどこまで効くかという点。自律型ネットワークの「レベル4」という目標より、イベント帰りの駅のホームでつながるかどうかで成果を見せて欲しいところです。











