
約3年ぶりの青い吹き出し。
AndroidからiMessageを送受信できる「Sunbird」が、早期テストを経てGoogle Playで一般公開されました。現在オープンベータ版の位置づけとなります。
アプリはiMessage、RCS、SMS/MMSを1つにまとめて扱えるオールインワン型。14日間の無料試用の後は、月額2.99ドルまたは年額24.99ドルのサブスクリプションになります。
利用にはApple IDが必須です。iMessageに電話番号を登録することはできないため、送信元にはApple IDのメールアドレスが表示される仕様です。
いまやRCSでも高解像度の写真や動画、開封証明、タイピング表示は使えます。それでもSunbirdが前面に押し出すのは、青い吹き出しとiMessageのグループ機能。ただしオープンベータ時点では、送信側のリアクションには未対応です。
「たかが吹き出しの色」と思うかもしれませんが、米国ではこれが実は、重いテーマとなっています。iMessageが浸透している米国では、Androidユーザーが混ざったグループチャットは緑の吹き出しになり、緑の人は仲間はずれにされる……いわゆる「green bubble問題」が、10代のいじめの火種としてたびたび社会問題化してきました。
青くするだけで救われる人がいる……というのがこのアプリの存在意義です。もしSunbirdがこの分断を本当に埋められるなら、喜ばしい話かもしれません。
とはいえ、手放しで祝えない事情もあります。Sunbirdは2023年、Apple IDの識別子と認証用トークンを暗号化されていないHTTPで送信していたことが発覚し、提供を停止した過去があるからです。受信メッセージを平文で一時保存していたうえ、送信内容をデバッグサービスに記録し、社内の権限者が閲覧できる状態だったことも明らかになっています。
再構築された今回のバージョンについて、Sunbirdはメッセージを端末内と通信中の双方で暗号化すると説明。Apple IDのパスワードは接続時に1度だけ使用し、その後は破棄するとしています。
会話履歴はサーバーに保存せず、画像や動画は通常48時間以内、最長でも72時間で削除する方針。外部監査でも重大な脆弱性は見つからなかったと同社は述べていますが、監査会社名や報告書の公表は現時点では確認できません。
皮肉なのは、青い吹き出しが本来は「Apple製品間でエンドツーエンド暗号化されている」という安全のしるしだったことです。
Sunbird経由のメッセージは相手に青で届きます。しかし、途中に同社のインフラを挟む以上、本来の青が意味する保証はそこにありません。受け取る側には見分けがつかない。つまり「青=安全」という前提は、もう静かに崩れ始めています。

しかし、その状況を招いたのはApple自身でもあります。色の分断が10代のいじめの火種になると知りながら、青をブランドの砦として温存し続けた結果、危ない橋を渡ってでも吹き出しを青くしたい人々の需要が生まれ、そこにSunbirdのようなアプリが入り込んでしまったことで、守りたかったはずのセキュアな青色の信頼まで外から食い破られつつある……皮肉としか言いようがありません。
そして、差異を見つけて迫害するのは子供も、時には大人も同じ。Appleが別の道を歩んでいたとしても、党同伐異、なにか別の社会問題が存在していたのかもしれません。











