弊誌はアフィリエイト広告を利用しています。

フランス下院、NetflixやGoogleに「1GBごと課税」案を可決!1票差で

フランス国民議会(下院)が置かれるパリのブルボン宮

フランス国民議会が置かれるブルボン宮。画像出典:Daniel Vorndran / DXR(CC BY-SA 3.0)

 動画配信、SNS、100GBを超えるゲームのダウンロード。家庭に届くデータの多くは、ごく一部の巨大企業が送り出しています。欧州ではこれまでも、回線を持つ通信事業者がNetflixやGoogleのような大手にネットワークの費用負担を求める議論が続いてきました。

 そしてフランスで、送り出したデータ量そのものに税金を課す案が国民議会(下院)を通過しました。税率は1GBあたり0.055ユーロ(約9.7円)。政府が反対するなか、わずか1票差での可決となりました。

 納めるのは利用者ではなくデータを送る企業ですが、法律として成立するまでには関門が残っています。

 国民議会が10月30日に可決したのは、2027年度予算法案に新しい税を加える修正案「I-1358」。提出したのは社会党のローラン・ラルディ議員らです。

フランス国民議会で可決された修正案I-1358

可決された修正案「I-1358」。画像出典:フランス国民議会

 仏IT媒体のSilicon.frとClubicによると、本会議での採決は賛成11、反対10でした。またClubicによれば、政府と、予算審議を取りまとめる総括報告者の議員も反対していたとのことです。

 税の名前は「デジタルデータ生産者税」(taxe sur les producteurs de données numériques)。課税対象は動画配信やSNSなど、データを送り出す「コンテンツ提供者」です。

 修正案の条文では、送信元の企業が、ネット接続事業者(ISP)の計測したデータ量(GB)に0.055ユーロを掛けた額を納める規定。利用者やISPが直接納める税ではありません。

 データ量の集計はISPの役目。通信規制機関のARCEPと財務当局のDGFiP(公共財政総局)の監督の下、契約者に向けて流れたデータ量を送信元の企業ごとに集計し、四半期ごとに税務当局へ報告します。

 条文では通信の中身や宛先の記録までは求めない方針。また、CDN(利用者の近くにデータを置いて配信するネットワーク)を使う場合は、CDNから出ていった量を送信元のデータ量とみなします。

 税額には上限が設けられており、フランス国内の売上高の15%、または全体の売上高の2%まで。修正案の説明によると、動画配信やゲームのように売上高あたりの送信量が多くなりやすい業種を考慮した上限設定となっています。

税率0.055ユーロと上限を定めた修正案の条文

税率と上限を定めた条文。画像出典:フランス国民議会

 提出した議員らは、ARCEPの推計として、フランスのISP契約者に送られるデータ量を年間2000億GBと説明。Google、Meta、Amazon、Netflix、そしてクラウド事業者のAkamaiの5社だけで、その約半分を占めるとしています。

 見込む税収は100億ユーロ(約1兆7600億円)という試算です。

 狙いについて修正案は、国内に店舗や工場を構えて納税する企業と、国境をまたいで稼ぎ、利益の計上地を自ら選べる巨大IT企業との不公平を正すためと説明。加えて、送信データに費用がかかれば各社が圧縮や最適化を進めるため、環境面での効果もあるとしています。

 利用者の負担はどうなるのかという点について、条文上、税を納めるのはデータを送り出す企業です。しかしClubicは、各社がこの費用を料金に上乗せする可能性を指摘。上限を考慮しなければ、100GBのゲームを1本配信するごとに、配信元へ5.5ユーロ(約970円)の税がかかる計算になります。

 もっとも、この新税がすぐに導入されるわけではありません。Silicon.frによると、修正案が生きるのは、国民議会が予算法案の第1部(歳入部分)全体を可決した場合に限られます。

 財政委員会は10月9日までの審議でこの第1部を否決しており、本会議でも否決されれば政府の原案が上院へ送られる見通し。仮に可決されたとしても、最終的な成立までに削除や修正を受ける可能性があります。

 フランス議会でこうした課税案が通るのは、実は初めてではありません。2024年11月には、国民連合のジャン=フィリップ・タンギ議員が出した修正案が、賛成76、反対75の1票差で可決されました。大手コンテンツ提供者にインフラ利用料を課す内容でした。

 しかし、この修正案を含む予算法案の第1部が国民議会で否決されたため、上院へは送られず立ち消えになったとUnivers Freeboxは伝えています。

 巨大IT企業が利益の置き場所を選べる以上、売上や利益とは別の物差しで課税したくなる気持ちも分からなくはありません。ただ物差しがデータ量となれば、4K配信や大容量ゲームのように、利用者がお金を払って求めている体験ほど重く課税されることに。上限はあるものの、売上あたりの送信量が多い配信やゲームは上限に近づきやすい業種。その負担がフランス国内の月額料金に乗ってくるなら、支払うのは結局のところ利用者ではないか、という気もします。仏上院と政府の対応を見守りたいところです。

すまほん!!を購読しませんか?

Twitterでも最新更新を配信・通知しています

フォローする 再度表示しない
広告
広告