ドコモが作った、ドコモ以外でも使えるホーム画面。
NTTドコモは、Android向けの新ホームランチャー「SNS launcher」を公開しました。レビューしていきます。
Index
「SNS launcher」の概要
ドコモが新しく発表した「SNS launcher」は、名前の通りSNSの利用に特化したホームランチャー。非常にすっきりとしたホーム画面とデザインが特徴で、主にSNSを多く利用する若年層向けに作られているようです。
早速使ってみる
説明を読むよりも実際に見る方が早い、と思い、早速筆者のGalaxy S10にインストールしてみることにしました。
ちなみに、筆者の所持するGalaxy S10はau版。ドコモ絵文字、豆腐(My daiz)とともに煙たがられてきた「docomo LIVE UX」はドコモ端末専用でしたが、「SNS launcher」は、Google Playストア上で公開されているため、ドコモ以外のAndroid端末でも利用できます。なお、Android 11未満のデバイスでは使用できません。
セットアップ
セットアップは非常に簡単。「SNS launcher」アプリを起動すると、情報収集に関する規約が表示され、同意するとすぐにホーム画面が表示されます。収集される情報は、端末情報やアプリのタップ回数、通知・広告表示履歴など。
ホーム画面
ホーム画面は、画面中央に大きく通知が表示され、下部にはアプリアイコンが5つ表示される、という、非常にシンプルな構造になっています。SNSに特化しているということもあり、中央の通知表示はLINEやInstagramといったアプリの通知のみにフィルターされているようです。
なお、ホーム画面へのアプリやウィジェットの配置、ホーム画面の複製は不可。本当にこれだけなんです。
ホーム画面から左右にスワイプすると、直接アプリを起動できます。左右には好みのアプリを設定可能。初期設定では、左スワイプにInstagramが設定されていました。
画面下部のドックは、アプリ表示またはGoogleの検索ウィジェットのどちらかが選択可能。
アプリドロワー
アプリドロワーもシンプル。ホーム画面で、画面を上にスワイプすると表示されます。
使用した感想・不満
このランチャーは、人によって好みが大きく分かれると思います。とにかく、とてつもなくシンプルです。ここまで機能を削ったランチャーは他になく、自分でホーム画面のレイアウトに悩む必要がなくなるため、本当にこだわりがなく、基本のアプリだけ使えればいい、という方にはもってこいだと思います。使っていてよかったところは、前述の部分だけ。他にはありません。
以下、悪かった・使いにくかった・不満な点をいくつか挙げていきます。
ホーム画面に何も置けない
シンプルが売りのアプリのため、できないことは承知でしたが、やはりホーム画面に自分がよく使うアプリを置けないことがここまで不便だとは思いませんでした。
また、ウィジェットは完全に使用不可(辛うじてGoogleの検索ウィジェットは使用可能)。追加するスペースすら用意されていません。日頃からYahoo!カレンダーのウィジェットを頻繁に利用していた筆者にとっては、利便性が著しく低下しました。
アプリドロワーを整理できない
先述の通り、アプリドロワーは非常にシンプルで、アプリ一覧が表示され、上部に検索ボックスがあるのみ。Galaxyの標準ランチャー「One UIホーム」では、ドロワー内にフォルダーを作成できたり、自由に並べ替えができたりと、アプリドロワーを細かく整理することが可能です。
それに比べ、「SNS launcher」はほぼカスタマイズ不可能です。ドロワーにフォルダも作れません。
ドック
ホーム画面最下部のドックは、先程紹介した通り、アプリか検索ボックスのどちらかから選択可能。
まずここを検索ボックスに設定してしまうと、他のアプリを開きたいときに必ずアプリドロワーからアプリを探すことを強いられます。不便すぎる。(やむを得ず筆者はGalaxy独自のエッジパネル機能を使用することで対処)
また、アプリに設定していても、ドック内のアプリを消すと、アプリが置かれていた空間がぽっかりと空いて歯抜け状態に。One UIやiOS、MIUIなどではドロワーのアプリを消すと自動でアプリ間隔が調節されるので若干の違和感を感じました。
ドックに設定できるアプリは最大5つ。5つ以上追加すると、ドック左端がフォルダーになり、追加しきれなかったアプリがまとめられます。ホーム画面にアプリを追加できなかったり、アプリドロワーを整理できない仕様を考えるとあるだけマシといったところ。
総評
「SNS launcher」は、良く言えば無駄な機能を削ぎ落としたシンプルな、悪く言えば細かいところが詰められておらず非常に不便なホームランチャーでした。
ホーム画面を一つにし、左右スワイプでアプリが開くというのは、今までにない斬新なアイデアだと思うものの、かなり人を選ぶニッチなアプリとなってしまっています。
正直、「どうしてもフリックでアプリを起動したい」「SNSだけの通知を常に見たい」と思わないのであれば、多くのAndroid端末でも「最新通知は通知バーでチェックし、ホーム画面の枚数減らして置くアプリを最小にし、ホーム画面設定から『新規アプリ導入時にホーム画面にも追加するのをオフ』『Googleアプリや検索をオフ』」とすれば、SNS launcher的なシンプルなスタイルは実現し得るので、このホームアプリは必ずしも必要ありません。
とはいえ人を選ぶものの発想自体は悪くありませんし、そうしたホーム画面カスタマイズすらおぼつかない層への訴求、提案の余地はあるはず。またアイコン配置ではなくフリックであれば、手の持ち方や指の届く位置をほとんど考慮せず手癖で起動できるのもメリットでしょう。そしてSNS通知のみのタイムラインも昔のXperiaのTimescapeウィジェット的。筆者のようにAndroidを使いこなしているユーザーには極めて不便で窮屈にしか感じない一方、刺さる人にはとことんぶっ刺さるのかもしれません。
今後細かい詰めや、本アプリならではの機能をさらに具備することができれば、素晴らしいランチャーに進化できる可能性はあるため、期待したいところです。
ただし今後発売される新機種にこのランチャーが標準搭載され削除不可というような展開はちょっと勘弁してもらいたいところですが……。
(編集・校閲: あいばら)