SONYがクラウド型の音楽配信サービス、「Music Unlimited」を日本でも開始しました。日本における発表と同時にサービス開始、Google Playでもアプリが公開されるなど、力の入れ具合がよくわかります。
月額1480円の定額にて聴き放題、さらにオフラインのキャッシュにより地下鉄などでも聴くことができるなど、魅力的なサービス内容となっています。
レコチョクのiPhoneアプリとしての提供を、さもiTunesにおけるソニーミュージックレコーズの楽曲提供かのごとく先行報道したメディアがあったため、レコチョク、ひいてはSONYの音楽事業に対する不当評価へと繋げられてしまっている昨今ではありますが、このタイミングでの「Music Unlimited」の日本展開により、そうした状況を挽回したいところではあります。フィーチャーフォンでレコチョクを使っていたユーザーが、iPhoneに乗り換えても購入した音楽を無駄にしないという点では、レコチョクアプリには一応の意義はありました。
さて、待望の「Music Unlimited」を早速、試してみました。まずは実際にVAIOからログインしてみると、なんとブラウザベースで利用可能。
PCにおいて、無駄なソフトウェアのインストールが不要である点は非常に好感です。
ビットレートが48kbpsという点だけが殊更に強調されて伝播しているのが非常に惜しいところですが、フォーマットはmp3ではなくHE-AAC。着うたフルやradikoもその程度ですからそこまで悪い音質ではありませんし、mp3でいえば128kbpsもしくは192kbps程度は出ているように思います。モバイルネットワークでの利用における妥当性を考えても、ストリーミングとしては必要十分であると感じました。
さて、肝心のAndroidアプリも悪くない出来です。こちらはGoogle Playでの提供となっており、Androidスマートフォン、WalkmanZ、もちろんXperiaでの利用が可能となっています。
ただ、国際版ファームのXperia rayにインストールする際に、プリインストールアプリとしてMusic Unlimitedが先に存在しているため、Google Playでアプリを開く→アプリ紹介のページにブラウザで飛ばされる→ブラウザからアプリのインストールを押すと、Google PlayのMusic Unlimitedに戻る→以下、これがループという状態に。それこそアンサイクロペディアもびっくりのたらいまわしを食らいましたが、一度アンインストールし、インストールし直せば無事に使うことができました。低スペックなXperia rayでも使えるのですから、最近発売された多くの機種でも利用可能でしょう。
曲単位でも、アルバムごとでも気に入ったら保存し、地下鉄など圏外でも問題なく聴くことができます。曲を嫌いだとすればその時点で再生中止、次曲送りとなる一方、好きを選択すればユーザーの趣味嗜好を判別し、それに基づいて以降の音楽をマッチングしつつ再生してくれるなど、とっても気が利きます。
起動時にネットワーク認証を行っているようで、圏外に入る前に予め起動しておく必要はあるようですが、既に起動している状態ならば問題なく聴くことができました。
あえて言うなら「賢いラジオ」のようなもので、既存のサービスにたとえるなら、同じく洋楽中心の定額サービス「Napstar」、好き嫌いの表明により曲をマッチングしてくれる点はauの「うたパス」に似ています。(海外で先行してサービスインしている「Music Unlimited」に、「うたパス」が着想を得たのが真相でしょうが)
今まで、自分は再生した音楽の履歴をLast.fmというソーシャル音楽サービスに送って、趣味嗜好を分析してもらい、おすすめの音楽を教えてもらい、それを別途買うということをしていましたが、こうしたプロセスの多くの部分を省けるのが「Music Unlimited」のアドバンテージであると感じています。これで定額1480円/月というのは、個人的には安いと思います。
同じくソニーの音楽サービスでいうと、Xperiaで使える「mora」は非常に使いづらいですし、Walkmanの連携アプリであるXアプリから、XperiaのMediaGoへの楽曲移行は煩雑であることから、このあたりもできる限りサービスを一元化してもらうと使いやすいと思います。1480円の「Music Unlimited」を核とし、高音質な楽曲を個別にDRMフリーで買うこともできる、という展開にすると、Xperiaだけでなく、SONYの音楽サービスとしても、より魅力的でわかりやすくなるのではないかと思います。もちろんソニーグループ全体としての収益はソニーミュージックエンターテイメントが成果をあげており、ユーザーの使い勝手やサービスの合理化にメスを入れづらいという現実もありますが。
むしろ洋楽が好きという人には自信をもっておすすめできるのですが、楽曲がまだまだ洋楽ばかりという点は、日本で最もネックな点ではあります。ソニーミュージックレコーズをはじめとする日本人アーティストの楽曲が充実していくことを切に願います。
他にもPS3やPS Vita、BRAVIAでの利用が可能。平井社長の掲げる「One SONY」を実現するひとつの鍵となるのでしょうか。今後の展開が楽しみです。
参考:AV Watch