総務省有識者会議は、携帯料金値下げの議論の報告書を本日正式発表します。報告書に基づくガイドラインも来年制定される見通し。
NHK報道によれば、報告内容をもとに、携帯キャリア各社は来月にも新プランを発表します。
各社が検討している施策は、NTT docomoは家族契約の料金の割引、KDDIは小学生と55歳以上向けのプランの対象ユーザーを拡大、SoftBankはキャッシュバック見直しと長期契約者の優遇だそうです。
いかに総務省有識者会議の議論がおかしいのかは、過去記事一覧を参照して下さい。
私は政府の過度な規制には基本的には反対ですが、競争環境整備のための介入は賛成です。なのでMNP活性化と顧客流動化を促進するSIMロック解除義務化は支持していますし、むしろ遅すぎる・不十分だとすら思います。
しかし政府が良しとする価格やプランが出てくるまで、業務改善命令をガイドラインでチラつかせて脅し続けるという手法は、実質的に政府が価格を決めるのに近く、総務大臣と総務省有識者会議は我が国を社会主義国か何かと勘違いしているとしか思えないので、支持できません。(SIMロックを公正競争の阻害要因と定義して、国民の利便性向上のために排除するのに電気通信事業法第29条を使うのは理解できるが、国民の利益とも捉えられる割引を規制するのにまで使うのはさすがにやや無理筋)
素人の文民大臣と寄せ集めの有識者会議が狡猾な携帯キャリアの悪知恵に勝てるわけがありません。どうせ次の一手を打たれ、また販売現場が複雑になり、消費者が混乱するだけです。自由競争でキャリア同士を戦わせて値下げすべきです。(その点、HLR/HSSの開放については評価できます)
また、これまで首相指示を、どのように総務大臣と有識者会議が実行するのかに着目して記事を書いてきましたが、消費活性化という目標を達成するためならば、そもそも首相が指示すべきであったのは「家計負担軽減のための携帯料金値下げ」ではなく、家計の収入・世帯所得を増加させるもっと別の政策であっただろうとは思います。
結局、総務省の何がしたいのか意味不明な報告書で、携帯業界はしばらく振り回されることになりそうです。