
Samsungの最新折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold7」を購入して数ヶ月経ちました。筆者はZ Fold2の頃から毎年購入しており、スマホとタブレットを一つにできる利便性がとても気に入っています。もう長らくストレート形状のスマホをメイン機として使っていません。
これまで続いたFoldの歴史において、今作はある種の到達点には行ったのでは?と思うくらいのクオリティだと感じています。本記事では、実際に数ヶ月Galaxy Z Fold7を使ってみての率直な感想をお伝えします。
Index
折りたたみスマホは本当に「実用」レベルに達したのか?
折りたたみスマホと聞くと、「面白そうだけど、実用性はどうなの?」と感じる方がまだ多いかもしれません。実際、これまでの折りたたみモデルには、サイズの大きさや重さ、そして価格面のハードルがあり、日常使いには少し扱いづらい印象が残っていました。

しかし、Galaxy Z Fold7を手にしてみて、筆者は「ようやくここまで来たか」と素直に驚かされました。前モデルのFold6も使っていたため、その進化は非常にわかりやすく感じられます。とにかく薄く、そして軽くなっています。Fold6と比較して3.2mmも薄くなったことで、折りたたんだ状態でも一般的なスマートフォンとほとんど変わらない厚みになりました。加えて24gの軽量化も相まって、手に持ったときのズッシリとした感覚が見事に解消されています。

左がiPhone 13 miniで右がGalaxy Z Fold7
この変化によって取り回しが格段に良くなり、ポケットに入れた際の存在感も控えめです。ただしそのぶん、開く際に指をかけづらく、少し扱いにくさを感じる場面もありました。この点については他のユーザーからも同様の声が上がっており、対策としてはケースを装着して物理的な厚みを補う方法が有効です。
とはいえ、筆者はこの美しいシルエットを損ねたくないため、あえてケースを使わずに裸で運用しています。
構造上の制約を考えると、これ以上の薄型化はそろそろ限界ではないかと思われます。たとえば、USB Type-Cポートの高さを考慮すると、これ以上スリムにするには内部設計を根本的に見直す必要があるでしょう。今後の進化は「薄さ」よりも「比率(アスペクト比)」にシフトしていくのではないでしょうか。

Galaxy Z Foldシリーズは、縦長のカバーディスプレイと、開いた際に正方形に近いメインディスプレイという構成を続けています。この縦長比率はSNSや縦スクロール系アプリとの相性が良く、情報量が多く表示できるという利点があります。ただ、縦に長すぎるために片手操作がしづらく、画面上部に指が届きにくいといった不便さもあります。

また、開いた際の正方形に近い比率は、動画視聴時に上下に黒帯が出てしまうため、迫力ある映像体験がやや損なわれます。さらに、ゲームに関しても、アスペクト比に最適化されていないタイトルでは画面表示が不自然になったり、レイアウトが崩れるケースも見受けられます。

Galaxy Z Foldシリーズの縦長カバー+正方形メインという構成も、SNSや縦スクロールアプリとの相性は抜群です。一方で、動画視聴や電子書籍用途においては、Pixel Foldのような横長比率に軍配が上がると感じる場面もあります。このあたりはコンテンツや用途、スタイル次第で好みが分かれるポイントでしょう。
筆者としては、そろそろ思い切って大きく設計を変え、初代Pixel Foldのようなバランス感に寄せた形状へと大胆にリニューアルしてほしいという希望もありますが、これはあくまで個人的な願望に過ぎません。

OPPO Find N(初代)
折りたたみスマホの耐久性はもう十分だと感じる
多くの方が気にされるポイントである「折り目」と「耐久性」について触れておきたいと思います。Galaxy Z Fold7に関しては、どちらも安心して良いレベルに達していると言えます。折り目は実際に見るとほとんど気にならず、長期間使用しても明らかに深くなるといった変化はありません。触れると軽く溝を感じる程度で、使用中に目立つことはないでしょう。

耐久性についても、日常的な使用であれば大きな不安を感じることはありません。もちろん、開いた状態でメインディスプレイ側からコンクリートに落とすような状況では、破損の可能性は高まりますが、それは通常のスマートフォンでも同じこと。閉じた状態であれば、ある程度の衝撃には耐えてくれる印象です。
実際に筆者は、Fold2の頃から毎年このシリーズを使い続けていますが、何度か落下させた経験があっても、深刻なトラブルに見舞われたことは一度もありません。多少フレームに傷がつく程度で済み、操作不能になるようなケースはありませんでした。
寒暖差による表示の乱れ、たとえば黒い線が入るといった不具合が起きるという話を見かけたことはあります。ただ、筆者自身は数年にわたりFoldシリーズを雪山に持ち込んでスノーボードを楽しんできましたが、氷点下の環境でもとくに不調は見られませんでした。もちろん、あくまで参考までに、自己責任でお願いします。
タブレットにはない折りたたみスマホの良さ
Galaxy Z Fold7はディスプレイサイズが近いiPad miniとよく比較されます。タブレットの方が安価だし、わざわざ折りたたむ必要があるのか?と言われますが、折りたたみスマホならではの利便性は見逃せません。
画面の広さを生かすには、マルチタスク性能の高さが重要です。Galaxy Z Fold7では、エッジパネルからアプリをドラッグ&ドロップするだけで、直感的に画面分割やポップアップ表示が可能です。しかも、ほとんどのアプリが分割表示に対応しており、仮に非対応でも、開発者オプションやGood Lockを使って強制的にマルチウィンドウ化できます。「やろうと思えば何でもできる」という柔軟さは、iPad miniにはない魅力です。
さらに便利なのが、アプリの組み合わせを「アプリペア」としてエッジパネルに保存できる機能です。たとえば「YouTube+ブラウザ」や「カレンダー+ToDo」など、毎朝のルーティンや作業セットをひとまとめにしておけば、ワンタップで理想的な画面分割状態を即再現できます。特に、決まった流れで同じアプリを使う人には手放せない機能です。

一方でiPad miniの場合、画面分割を行うにはドックやAppライブラリから対象アプリを探し出す必要があり、整理されていないと操作が煩雑になります。しかも、純正の「設定」アプリでさえ分割表示に非対応な場合があり、「できるかどうか」がわからないまま試すストレスもあります。
また、Z Fold7は呼び出し手段の多さも魅力です。エッジパネル、タスクバー、履歴、ジェスチャー操作といった複数の入口が用意されており、自分の使い方に合わせた操作スタイルが構築できます。特に片手で持っているときに、指の届く範囲で必要なアプリにすぐアクセスできるというのは、折りたたみスマホならではの強みと言えます。


ポケポケ(Pokémon Trading Card Game Pocket)では左にデッキリストを表示させながら右側でデッキ編集するのが便利
近年、スマートフォンにおけるトレンドのひとつが「AI活用の本格化」です。Galaxy Z Fold7でも、Geminiの標準搭載により、こうした流れが身近なものとなりました。電源キーの長押しで即起動できるため、ちょっとした調べ物からコンテンツ作成まで幅広く活用できます。特に、スマホよりも大きな画面で操作できるZ Fold7では、こうした作業の効率が格段に上がります。
たとえば、動画を視聴している最中に「これどういう意味だろう?」と疑問が湧いたとき、すぐにマルチウィンドウでGeminiを呼び出して質問。大画面のおかげでウィンドウを並べても視認性が高く、回答内容も一目で確認できます。情報量が多い分、調べた内容をそのままメモに転記したり、さらに深掘りしたりできる点も魅力です。

読書体験自体はどちらの端末でも優秀ですが、Kindle Unlimitedを頻繁に使う筆者にとっては、Z Fold7のほうが管理面で便利でした。たとえば本の返却は、iPadだと複数ステップを要しますが、Foldでは長押しから即返却ができ、操作が簡潔です。

また、学習用途として図表をピン留めできるのも便利な機能です。参考書の図表部分をスクリーンショットし、それを画面上に常時表示させながら本文を読み進める、といった使い方はZ Foldならではの強みです。iPadでは同じことをしようとすると、別アプリを開いたりとワンクッション多くなってしまいます。
最後に挙げたいのが、物理的な携帯性の違いです。iPad miniはたしかに小型ですが、ポケットに入れるにはやや無理があり、基本的にバッグを持ち歩く前提のサイズ感です。
その点、Galaxy Z Fold7は折りたためば非常にスリムな形状になり、ジャケットの内ポケットやパンツのポケットにもスッと収まります。筆者にとっては、「手ぶらで外出できる大画面端末」というのは大きな魅力です。バッグを持たずにちょっとランチへ、というシーンでも、Z Foldがあれば不自由しません。

そして何より、Z Foldはスマホである以上、意識せずとも常にポケットに入っている存在です。iPad miniは「今日は使うかどうか」を判断してから持ち出すデバイスですが、Foldはその必要がありません。だからこそ、「あ、これ調べたい」「これ読みたい」と思った瞬間に、手元に8型の大画面があるという体験が当たり前にできる。この機会損失のなさこそが、iPad miniとの決定的な違いであり、Foldの価値を正当化する大きなポイントだと感じています。
最近では、筆者にとってFold7は執筆用マシンとしても活躍しています。分割無線キーボード「Cornix」を少し前から使い始めたのですが、出先で文章を書きたいときにはこんな感じで使っています。MacBook環境よりは多少書きにくいものの、Notion AIとの併用で、そこそこ快適な執筆環境が構築できました。

Galaxy Z Fold7のカメラ性能

昼間の作例をいくつか確認した限りでは、特段大きな変化は感じられず、Galaxyらしいビビッドでこってりとした色味が健在です。とはいえ、決して塗り絵のようにのっぺりした仕上がりになるわけではなく、歴史建築の重厚感や質感はしっかりと描き出されています。空の青や建材の陰影も力強く表現されており、見応えのある描写だと感じました。


Fold6までは5000万画素だったメインカメラが、今作ではS25 Ultraと同じ2億画素にアップグレードされました。トリミング耐性は抜群で、たとえばライブ会場のような広い空間でも、あとから被写体を切り出してもディテールが崩れません。よく見るとBrickのざらつきや、風化した表面の質感までがきっちり描写されていて、スマホの域を超えていると感じました。
とはいえ、200MPモードで撮影する必要がある場面はそう多くありません。ファイルサイズは1枚あたり25〜50MBと大きく、保存や共有の手間を考えると、基本はピクセルビニングされた1200万画素モードで十分です。こちらは階調表現がなめらかで、特に空や雲のグラデーションでは豊かな情報量を感じられます。

望遠は光学3倍(1000万画素)で、ポートレートや日常のスナップには十分。ただし、デジタルズームを併用するような超望遠域ではS25 Ultraに軍配が上がります。スポーツ観戦などで遠くの被写体をしっかり捉えたい場合は、2億画素モードで撮影→あとからトリミング、という使い方が現実的です。

夜景撮影に関しては、ナイトモードを使用しないとノイズが目立つ場面が多く、特に3倍望遠以降ではノイズとディテールの劣化が顕著に感じられます。明るい光源がある状況では比較的安定して撮れますが、解像感やディテール再現という点では満足できる水準には届いていない印象です。
とはいえ、メインと超広角カメラの描写は「折りたたみスマホであること」を考慮すれば、文句のないレベルに仕上がっています。特に夜景下の街並みやライトアップのスナップでは、ビビッドでこってりとしたGalaxyらしい色表現と、必要十分なディテール描写が両立されています。



ハード面の話ですが、カメラの出っ張りも進化を遂げていまして、机に置いた時のガタつき具合がものすごく気になります。開いた状態であれば許容範囲ですが、閉じた状態で机に置き、操作をしようものならその度にガタンガタンという音が。この辺り、裸族としてはキツイものがあります。

総評
Galaxy Z Fold7は、折りたたみスマートフォンとしての理想形にかなり近づいたと感じさせる完成度です。7世代という進化の積み重ねによって、筐体の薄さや軽さはもはや課題ではなくなり、日常使いに十分な実用性を確保しています。今後はSペンの内蔵対応や、画面下カメラ(UDC)の再導入といった、細部のブラッシュアップが行われれば、ハードウェアとしては完成の域に達するのではないでしょうか。

その一方で、やはり価格が大きなハードルとして残ります。定価は26万円越えと高額な点。ただ結局のところ、この端末が「高い」のか「価値がある」のかは、スマホに何を求めるかによって大きく変わります。単にSNSや動画視聴を快適にこなすだけでなく、スケジュール管理・文章作成・資料閲覧・AIとの連携といった仕事の一端をこの1台で担える、そうした可能性に魅力を感じる方にとって、Z Fold7は確実に応えてくれるはずです。
「スマホでここまでできるのか!」という驚きこそが、この端末の本質だと筆者は感じています。価格だけにとらわれず、ぜひ一度手に取ってみてください。




















