
「Pixel 10 Pro fold」を予約購入し、発売日から約1ヶ月半使ってみた感想を書いていきます。
開封レビューはそっぷるさんのこちらの記事を読んでいただくとして、まず結論から述べます。筆者は今回が初めて折りたたみスマホのデビューで、購入前からかなり楽しみにしていたのですが……現時点でかなり大満足しています。
本機を選んだ理由は、折りたたみ端末として初の「IP68対応」という点に惹かれたからです。筆者にとっては、これが初のフォルダブルスマホなので、端末の耐久性はかなり気になるところでした。 また、毎年Pixelを買い替えているため、Googleのストアクレジットと昨年購入した「Pixel 9 Pro XL」の下取りを利用し、総負担額11万9400円で購入できたことも決め手でした。以上の2点が大きな購買動機です。

定価の26万7500円から、1万円OFFのプロモコードと保有ストアクレジット5万100円を使い、更にPixel 9 Pro XLの下取り額8万8000円を引いた残りの金額が、計11万9400円也
本機を検討するうえで、最大の懸念事項が強力なライバル機の存在です。サムスンの「Galaxy Z Fold7」と比較すると、ディスプレイの画面比率は外側も内側もほぼ変わらず、SoCはZ Fold7搭載の「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」がベンチマークスコア上でPixel 10 Pro Foldの「Tensor G5」を圧倒しており、しかも本体重量はZ Fold7の方が約43gも軽いということもあります。定価を考慮すると、普通に考えれば圧倒的に軽くて高性能なGalaxy Z Fold 7を選ぶ人が多いだろうとなるのが当然です。
GoogleはPixelのSoCにTensorシリーズを採用しだしてから、「ベンチマークスコアでは数値化されにくいAI処理による日常動作の快適さの向上に重点を置いている」みたいな説明を毎年している気がしますが、それは撮影した写真の画質処理と、文字起こしのスピードと精度の性能の高さを指しているのではないかと思います。この2つの機能は、たしかに素晴らしいですね。
写真性能は、「Pixel 10 Pro XL」と比較した場合に、広角、超広角、望遠、フロントカメラと、どれも仕様上は見劣りします。特にフロントカメラの顔認証の精度の低さは普段使っていてかなり気になるレベルで、先代の9 Pro XLだと夜中でもすんなり顔認証通ってたのになあ……と残念な気持ちになるのが正直なところです。Pixel Foldシリーズのみ搭載されている側面指紋認証がかなり便利なだけに、「トレードオフかよ!」みたいな感想になってしまうという。
「じゃあ、フロントカメラによる顔認証時以外の、Google謹製のTensor G5による加工処理はどうなのか?」というと、確かにそれなりの品質にはなってるものの。夜景撮影や広角レンズを使った際にノイズが目立つかな……という印象です。これも9 Pro XLからの買い替えだから特に目についてしまうのでしょうか。
でも、外側メインディスプレイでセルフィー撮影できる機能は、期待通り面白かったです!

夕方標準レンズ撮影

5倍望遠

夜標準レンズ撮影

0.5倍広角レンズ

2倍望遠

5倍望遠

20倍望遠。さすがにノイズがかなり目立つ
撮影した写真のリアルタイム加工と、文字起こし以外の機能に関していうと、Pixel4から使っている身としては、Pixel6からTensorが搭載されてから、体感的になにか前向きな変化を感じたことは今までほとんどありません。
一応、Pixel 10 Pro Fold購入初日にAntutu V11で計測したベンチマークスコア結果は、132万7015でした。前モデルと性能はほぼ変わらず。現代的なハイエンドとしてはかなり低いです。特にGPUのスコアが低いので、すでに散々言われている通りゲームには不向きなスペックですが、筆者が遊ぶソシャゲは現状「ポケポケ(Pokémon Trading Card Game Pocket)」くらいで、あとはレトロゲームをプレイする程度なので、特に問題はなかったです。

まあ、購入前からぶっちゃけTensor G5には別に何も期待していなかったので、はいはいこんなもんねって感じなのですが、普段Pixel 10 Pro Foldを触っていて「便利だなー」と感じるのは、やはり横開きメインディスプレイを使っているときです。そもそも、この機能目当てで買っているので当たり前なのかもですが。
最初のうちは、外出先で電車内での移動中だったり軽いスキマ時間には画面開いて漫画や本を読んだり、時間に余裕がある時は本機をキーボードとつなげて作業をしたりしていました。
余談ですが、今回のこの記事もキーボードと接続したPixel 10 Pro Foldで執筆しています。キーボードを接続したときの入力も、今のところ特に問題は見当たらないですね。

本製品を使って初めて気づいた小さな点を挙げると、背面ダブルタップで画面をスクショする機能がPixelには備わっているのですが、MagSafeのアクセサリーを付けているとこの機能を上手く起動できないことが今まで多かったです。しかし、メイン画面を開いた状態で、背面画面側をタップすると簡単にスクショが取れる。これはPDFとか読んでるときに地味に嬉しい。
ちなみに、漫画をKindleアプリで読み続けた時のバッテリー消費時間は、自分の端末環境で約7時間で80%→20%でしたが、これは外出時にマップ見たりBluetoothイヤホン接続して音楽聞いたりといった日常的な用途でも、ほぼ同じ結果のバッテリー持ちでした。
しかし、筆者の場合、「MacroDroid」というアプリを常にバックグラウンド起動させてマクロ動作させている環境なので、あまり参考にはならないかもしれません。

筆者のMacroDoroid設定画面
あと、写真フォルダを漁っていて見つけたのですが、ブラウザを二画面立ち上げて、時間を見ながら、かつての万博の日時予約争奪戦に本機で参戦できるかとかも模索していました。今となっては懐かしいですね。

そうやっているうちに、だんだん「XRグラスを接続して、外部ディスプレイ出力して使いたいな」と考えるようになり、レンティオにて「VITURE Pro XRグラス ジェットブラック」を借りました。VITURE Proにした理由は、自分が近視なので、度数調整機能付きのグラスということで選びました。レンティオのレンタル価格が月3700円だったので、とりあえずお試し気分だったのですが、これが大当たりでしたね。

XRグラスを接続して分かったことですが、スマホとつなげて外部ディスプレイとして使用する場合、当たり前ですがスマホ画面がそのまま表示されるので、「Adobe Acrobat」などのアプリでPDFを開くと、「スマートグラスで表示できる画面サイズに対して、表示されるものが大きすぎて可読性が悪い。もっと全体的に縮小させて表示できる情報量を増やして欲しい」といった事象が発生します。
しかし、横開きのフォルダブルなら、メインディスプレイに広い画面に多くの情報量を表示できるため、解像度の必要な資料やコンテンツが快適に読める。これだけでも折りたたみスマホにして良かったと思いました。出力前の時点で大画面なので、スマートグラスに大画面の仮想モニターを表示した時との相性も抜群に良いです。これは実際に体験してみて欲しい。
ちなみに、メインディスプレイの画面比率がほぼ1:1の正方形に近いので、縦向きでも横向きでもほぼ同じ。よって、用途によって回転させるという作業はほぼ不要です。
Kindleで漫画を読むときは、見開きじゃなくて単一ページが表示されますが、特にXRグラスで見る場合は圧倒的に見開き1ページ表示のほうが見やすいです。

この見開き1ページ表示の仕様は便利なので、今後のソフト更新やハード刷新でも選択肢として残しておいて欲しいな、と思いました。
VITURE Proを接続して、文章執筆作業や動画視聴だったりゲームをした時のバッテリー持ちは、だいたい5時間前後くらいで80%→20%です。通常時と比べて、グラス接続時は2時間ほどバッテリー持ちが悪くなります。
不満点は、グラス接続時の本体側の画面の挙動です。Pixelをデスクトップモードで外部ディスプレイ・グラスに接続した時は、Pixel本体側の画面はオフにして欲しいんですが、消えないんですよね……。スマホ側の画面がついたままの仕様は変えられないので、これによって無駄に電池が消費されるなーと。現状、スマホをカバンの中などに入れてディスプレイ輝度を落とすくらいしか対策のしようは無いかもです……。
という訳で、横開きの折りたたみスマホデビューした筆者ですが、かなり快適なフォルダブルスマホライフを送っており、ちょうど消化できたストアクレジットのおかげもあって、結果的に購入は大正解で、かなり満足しています。もう、今後は普通のスマホには戻れそうにないですね。
しかし、アプリの細かなバグのほか、根本的に割高な定価といった点でやはり他人には気軽に勧められないなあとも思います。現状は、まだまだニッチな製品なんでしょうね。今後フォルダブルが普及していってサービスが充実することを期待し、本記事がその一助になればとても幸いです。

















