薄い!これを待ってたフォルダブル端末。
OPPO Find N5(大陸版限定の紫)を購入しました。折りたたみスマホといえば分厚くデカい、そんなイメージが長らくありましたが、いよいよ本格的にぶっ壊してくれました。
閉じた状態で8.93mm、開くと4.21mmの薄型ボディ。通常のスマホ並みの薄さです。
背面は革風。
心地よく滑らかな開閉フィールのヒンジ……という良さは薄型軽量化などを優先して失われましたが、大きな問題には感じません。IPX6、IPX8、IPX9防水に対応したので、全然許せてしまいます。
折り目は正面からほぼ視認できず、指でなぞるとわずかな凹みを感じる程度ですが、使い始めてそう経っていないので今後どうなるかは不明。他社よりも目立つようになるまでの期間が長いという風に理解しています。
本当に凄まじい薄さですが、じつのところ、総合的な感動は思ったほどではありませんでした。それは筆者がすでにVivo X Fold3を愛用していたためです。
Vivo X Fold3は重量実測値229gと軽かったのですが、OPPO Find N5は重量公称値229g・紫は234g。実際に計測してみたところ、実測値240.1gで重たいと感じました。紫の色や質感はわりと好きなので、後悔はしていません。
カメラ画質はVivoの方が上だったので、総合的な体験で言えば2024年の非ProモデルであるVivo X Fold3に軍配が上がりました。
それでもVivo X Fold3に戻さずに使っているのは、筆者が重視する項目、画面サイズが大きいからです。
内側は8.12インチQXGA+(2480×2248)のAMOLED、外側は6.62インチFHD+(2616×1140)のAMOLED。
どちらも1Hz〜120Hz可変LTPO駆動。夏の屋外の直射日光下では視認性にやや課題がある場面もありますが、そうでなければ十分な明るさ。
インチは対角線の数値ですが、スマートフォンはズボンのポケットに入れるものなので、縦方向にはそれほど伸ばせません。OPPO Find N5は他社よりも横方向に大きいサイズ感です。
なので、電子書籍の漫画を読む時には余白が目立ち、動画も帯が広がるばかりで、案外恩恵は思ったほどは多くはないことに気付かされるでしょう。正直なところ2つ折りのフォルダブルスマホの大型化には限界が近づきつつあるとも言えます。
ちなみに、電子書籍の漫画も「たまに見開きで読みたい時」には他機種より余裕を持って表示可能ではありますし、活字では存分に表示領域の広さを発揮できます。
OPPO Find N5 pic.twitter.com/otxL3i96BO
— すまほん!! (@sm_hn) April 19, 2025
その点、電源ボタンがすごく上に配置され、音量ボタンもけっこう上の方にあるのが使い勝手がよくないです。片手操作を強いられる電車のつり革につかまった状態では、閉じた状態で片手で持って、音量ボタンでページ送りする時に、ちょっと持ち帰る必要があります。
ゲームプレイは、タイトルによっては上下に帯ができますが、ちゃんと画面いっぱいに広がるタイトルもあるので、ゲームに良いと思います。ただリッチなゲームを高画質設定で遊んでもSnapdragon 8 Eliteとは思えないほどフレームレートが低下します。薄型に振ったモデルなので仕方ないとは思います。
横方向に広いということは、閉じた状態での横幅も確保されているので操作はしやすいです。閉じた状態ではQWERTY入力がしにくい……みたいなことも無くなったわけです。
なお、閉じた状態で文字入力をする時のハプティックフィードバックがやや違和感があるのが惜しいところ。
「OPPOのマルチウィンドウ管理って、ジェスチャーでウィンドウを呼べるだけ?」みたいなイメージもあるかもしれませんが、この辺りは実は進化してます。ウィンドウを3つ表示することが可能。
ウィンドウ3つぐらいなら他社でもできるのですが、横一列に並べておけるのが特筆すべき点。並べた状態・サイズはそのまま固定し、スワイプで切り替えることができるのです。小さいウィンドウだと操作性や視認性に問題があるので、その点はOPPOのマルチウィンドウ管理は優れていると言えます。
触ってみると、実は横に広めの画面にあまり恩恵がない……そんな現状を、ソフトウェアの工夫で打ち破ったのは大きな美点と言えます。
画面上のリアルタイム翻訳も、Geminiのように変に暗くなってしまい視認性が下がるエフェクトもなく、そこそこは使えます。電源ボタン二度押しによるカメラ即時起動ができなかったり、ソフトウェアに関してはOPPOのColorOSが肌に合わないと感じることが多いですが、大画面の折りたたみデバイスでは好ましいと思う機能がいくつか見つけられたのは収穫でした。
さて、実際に使っていると、意外にも「さて、電子書籍を読もう」「よし、動画を見よう」という、「腰を据えて画面を開く」というシチュエーションばかりではないのですよね。その理由はX(Twitter)にあります。
テキストだけではなく漫画を含む画像、動画がひっきりなしに交互に流れてくるからです。こういうシチュエーションでは頻繁に開く、閉じるを繰り返します。
本機を含む各社の折りたたみスマホのほとんどが長辺は縦ですが、本機は横方向にも広く、他社よりも縦と横の比率が正方形1:1に近いため、「動画を視聴するから、横回転させよう、そして見終えたら縦に戻そう」という工程が必ずしも必要ないのですよね。横長の画像においてもそうです。これは本機を使い込んでいくうちに感じた明確な恩恵のひとつです。ちなみにSNS前提の縦長動画や、Xに流れてくる漫画は言うまでもなく回転させる必要はありません。
これを読んでいて「横長の折りたたみスマホって使いやすいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、筆者の使っていたOPPO Find N2は横長でしたが、Android OSとアプリ対応の問題もあり使いにくく、縦向き前提のコンテンツも増えてきた昨今ではかなり微妙でした。また、そもそもの画面サイズが小さめだったので、せっかく開いたり回転させても、大画面スマホとの差異が小さく、妙味があまりないという問題もありました。画面サイズを目一杯稼いだ上で、縦横が正方形に近い比率のOPPO Find N5の使い勝手の良さを改めて実感できます。
カメラはメインカメラや望遠は健闘しているように感じました。マスターモードはいい感じだけどご飯には万能ではないなど、非フォルダブルのOPPO端末と使いこなしのコツは似たようなものです。
超広角カメラは微妙でした。望遠側でマクロに対応していますし、このような中途半端な超広角カメラや巨大なカメラ突起装飾を廃して、軽量化に振っていればもっと魅力ある機種になっただろうと考えると惜しいです。
OPPO Find N3までとは異なり、ハプティックフィードバックやヒンジの心地よさ、スピーカー音質などはグレードダウンして、薄型軽量化で他社と真っ向勝負する機種なので、尚更そう感じてしまいます。次機種に期待します。
弱点こそ増えたものの、防水性能の進化や大画面ならではの使い勝手など気に入っている点も多いので、今後も使っていこうと思います。
項目 | OPPO Find N5 |
---|---|
OS | ColorOS 15(Android 15ベース) |
SoC | Snapdragon 8 Elite(最大4.32 GHz) |
メモリ / 容量 | 16 GB LPDDR5X / 512 GB UFS 4.0 |
画面 | 内側8.12 インチ 2480×2248 AMOLED 1-120 Hz / 外側6.62 インチ 2616×1140 AMOLED 1-120 Hz |
カメラ | 広角5000万画素 F1.8 + 望遠5000万画素 F2.7(3×)+ 超広角800万画素 F2.2(116°) / インカメラ各800万画素 |
電池 | 5600 mAh(80 W SUPERVOOC、50 W AIRVOOC) |
寸法 / 重量 | 160.87×74.42×8.93 mm(閉) / 160.87×146.58×4.21 mm(開) / 229 g |
防水 | IPX9 |
通信 | 5G Sub-6, Wi-Fi 7, Bluetooth 5.4, NFC |