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Xperia 1 V レビュー。うっとり音響、優れた次世代撮像素子をこの手に

 ソニーの旗艦スマートフォンXperia 1 Vを購入して愛用しているのでレビューします。

 筆者が選択したのは非キャリア・公開市場版(XQ-DQ44)で、ストレージ256GBのキャリア版とは異なり512GBストレージを搭載しています。写真や映像の記録や視聴をたっぷり楽しみたい人は公開市場版がおすすめです。SIMスロットは爪でひっかけて引き出せるタイプ。microSDカードスロットも備えます。

 背面のフロストガラスは独特のテクスチャで触った感触は良好。

 筐体の厚みは約8.3mmと薄型。3.5mmイヤホンジャックを搭載します。幅は71mmで保持しやすいです。

 やはり素晴らしいのが筐体の軽さ。容量5000mAh電池を搭載し、そして縦長の大型4K OLEDで抜群の情報表示量を誇るにも関わらず、重量はわずかに187gとなっているのは驚異的です。これは二層基板による高い実装技術の賜物で、この軽量化はソニーらしさを感じます。もちろん防水防塵にも対応です。

おサイフケータイに対応。背面ロゴは非接触ICマークではなくNFCロゴ

 それほど冷却機構を重視していないのも大きいと思います。それが仇となってXperia 1 IVは爆熱仕様の失敗作でしたが、Xperia 1 Vの場合はSnapdragon 8 Gen 2が優秀なので、普通に使う分には問題ありません。ただただ軽くて優秀な機体です。LTPO、可変駆動こそ非対応ですが、リフレッシュレート120HzでXなどは特に軽快にスクロールできて良いです。

 高さは165mmで、ポケットにいれて座った時に少し腰骨に当たると感じる時があります。

 本機が素晴らしいのはオーディオビジュアル性能です。スピーカーの最大音量は大きめ。Xperiaシリーズは動画を見ている間に回転させるとLとRが逆になるという馬鹿げた仕様が放置されていたのですが、力の入れ具合が明らかに違う本機の音響では治っています。フロントスピーカーを左右に配置しておりバランスよく鳴らしてくれて、L/Rはしっかりと分離しています。

 解像感はやや緩め。高音域は量感あり伸びやか、ふくよかな中域、十分な低域。愛機のZenfone 9は重心高めですが、そういったこともなく重心はニュートラル。本機のスピーカーは音場が広いのが大きく功を奏しており、各音域の音の鳴らし分けも良好。ややウォームな音だけあって、抜群の聴き心地。アコースティックな楽曲の聴き心地に優れるほか、様々な楽曲を楽しめるでしょう。

 手元のGalaxy S22 Ultraと比べてもそれほど遜色はありません。低域の解像感でやや劣りますが、高音域の伸びやかな音色で優ります。素晴らしい仕事を成し遂げた本機の音響エンジニアは大いに誇るべきだと思います。

 キビキビとした弾くようなバイブレーションは応答の速さ、立ち上がりの良さが凄まじいです。特にIMEでの文字入力時には非常に快適な打ち心地に貢献します。ただ重厚感には乏しいです。

 これはおそらくダイナミックバイブレーションを念頭に置いたためでしょう。応答、立ち上がりの良さが、小刻みな振動シチュエーションに対応。たとえば映画視聴中、地球外惑星を走行する車両に大小様々な大量の岩が降ってきたようなシーンでも、的確に振動します。たとえばこれが、とりあえず着信時に振動するためだけに搭載された立ち上がりの悪く遅い振動のバイブレータであれば、おそらく興醒め、映画視聴体験は台無しのはずです。

 パネルは21:9の4K OLED。Netflixのシネスコ比率の映画を試聴した時は、マスターモニターの色調で視聴可能。前述のスピーカーとダイナミックバイブレーションも相まって、素晴らしいです。ノッチやパンチホールもない、最高の映画体験を手の平に。

 屋外でのHBM発動時、画面輝度も十分高いと感じていますが、従来のパネルから根本的には大きくは変わっていないので、無理やり上げているはずで、Xperiaの焼付き報告が多いのはそのためだと思います。

 普段から縦長画面を活かすにはマルチウィンドウ。サイドセンス二度押しで、メニューがマルチウィンドウ制御を呼び出せます。

 よく使うアプリのマルチウィンドウペアが呼び出せます。上に16:9、下に9:16でアプリを呼び出せるのは便利です。

 指紋認証センサーは側面配置で電源ボタン兼用。快適に解錠できます。Googleアシスタントボタンという邪魔なボタンはありません。Xperiaならではだった物理シャッターキーも備えており、カメラの即時起動が可能です。

 カメラは主に雰囲気重視の画作り。

 本機の最大の特徴が、メインカメラへの1/1.35型2層トランジスタ画素積層型CMOS、Sony IMX888の搭載です。

 いかに光を多く取り込むかが重要なスマホの撮像素子の進化競争は、面積を広げる方に大型化の一途でしたが、IMX888は同一基板上で形成していたフォトダイオードとトランジスタを、別の基板に分離して2層に重ねました。これにより従来比約2倍の飽和信号量、ダイナミックレンジ拡大、ノイズ低減を実現した、まさに次世代の撮像素子といっても過言ではありません。これをいち早く搭載した機種がXperia 1 Vです。

 従来のXperiaは夜景モードはダメダメでしたが、ハードウェアの暴力で改善。以下作例では、屋根のディテールをしっかり捉えることができています。

 IMX888は1型に遜色のないようなノイズ耐性を持ち、ディテールを保持できます。この撮像素子の真骨頂はシャッタースピードを短く、ISO感度を大きく上げた時だと思いますので、「夜の水の動き」を捉えてみました。いかがでしょうか?厳しい場面ながらもしっかり撮れていると思います。

 相変わらず夜景においてハイライトは飛びがち。中華ハイエンド端末に求めるような写真とは少し傾向が異なります。

 カメラアプリPhotography Proは、新たに縦画面にも対応しました。

 回転ロックがカメラ内にあるので、固定することも可能。なおシャッターボタン側を下にしたい場合には非対応。カメラ側を下にして撮りたい場面でうまく撮れないのは不満です。

 操作性は、露出の変更が容易など優れた点もあります。一般的なスマートフォンではプレビュー画面をタッチすると露出/AFを合わせる動作が割り当てられていますが、この動作が一体化されていたり、わかれている場合でも操作が煩雑だったりして、使いにくいです。これに対してXperiaでは、露出とAFが明確に別れた上で、プレビュー画面タッチ箇所に合焦追従、右側の大きなスライダーで露出切り替えと言った具合になっており、使いやすいです。

 ただしオートではこの限りではありません。オートではそもそも露出が変更できません。他社のスマートフォンだと、たとえばダイナミックレンジの広い場面や夜景で、タッチした箇所を中心にダイナミックレンジを設定し、露出を下げたり白飛びを抑えたりといったことが可能な場合があるのですが、Xperiaではそれができません。

 色温度を細かく設定できます。

 なお、「開発者ろくに使ってないだろ」と思わせられる不条理な部分もしばしば。さてISO感度を最大限まで上げました、よし、ISO Autoに戻そう。そう思った時にどうすればできるのでしょう?

 なんと、左方向に6回も7回もフリックし続けてオートに戻します。何の拷問ですか?

 専用機ならともかくタッチパネルの大画面が使えるのですよね、選択可能な数字が大きい場合には様々な解決手法があると思いますし、たとえば、この左右の不便なダイヤルの外に、常時Autoのオン/オフボタンを置くだけでも簡単に解決できる話です。

 このように非常に使いにくいと感じる場面が多々あります。ただソニーとしてはαのサブ機として、報道関係者向けに売りたいようなので、発表会取材等で何度も使用してみました。

 まずホワイトバランスの取り込み設定ができるのは役立ちます。ここはα、専用機譲りで素晴らしい点ですね。

 XperiaのPhoto Proはレンズ切り替えを意識させるためなのか、あえて不便な仕様になっています。レンズ切り替えを保持する仕組みはアリだと思いますが、本機の場合、24mmと85mmの画角の間が離れすぎているため、85mmよりも手前の望遠倍率で使うメインカメラのデジタルズーム域では保持されないので、結局カメラを再度起動した時の画角変更が必要になることは多いです。こうした変更時、通常の他社のスマートフォンカメラなら、24mmから85mm以上の望遠倍率への移行時や、85mmから手前に変える場合、ちょっとピンチイン/ピンチアウトするだけで済むのですが、Photo Proの場合、レンズ切り替えのためのタップをいちいち挟む必要が出るので、プレゼンターとの距離の関係上などから、こうした「ペリスコープ望遠がギリギリ必要になるかならないか」の状況では極めて使いにくいと感じました。

 とはいえ、他社のスマートフォンカメラは「ちょっと寄るだけで勝手に超広角のマクロモードに切り替えてしまう」など、おせっかいすぎて鬱陶しく感じることも多いです。そういう時には、やはりカメラアプリの極北のようなPhoto Proも良いな、と感じることもあるのは事実。Photo ProのBASICモード以外でも、ピンチイン/アウトでシームレスにレンズ切り替え可能な設定項目を用意してもらえると、解消できるのではないかと思います。もしこの発想のままPhoto Proアプリを突き通すのであれば、せめて中間望遠レンズを搭載して欲しいところ。

 ちなみにHDR時は連写が制限されてしまいます。また、連写時に、バックグラウンドで保存処理等が走るので、次の連写に移れずプレゼンスライドを取り逃がすことがありました。Xperia 1 IVで多発していた発熱によってカメラアプリが落ちるような事象は、一度だけ起きました。

 従来機種より良くなっているとはいえ確実性に不安があるので、最近は本機を使用していません。しかしそのように酷使さえしなければ、多くの場合はちゃんと動いてくれるはずです。

 また、動画を録画したいシーンに出くわした時、いちいちPhoto Proを閉じて動画録画アプリ「Video Pro」に切り替える必要があるのは単に面倒です。αでもそんなかったるい体験はないと思います。今のところ、αの良いところだけを取り込めばいいのに、そうはなっておらず、専用機のダメなところを輸入してしまっているアンバランスさを感じます。シンプルなUIで露出・色温度・シャドウを変更できるなどまとめているPixelや、とっつきにくいが専用機を扱っている人には使いやすく項目が豊富なマニュアルモードを備えるGalaxyや中華ハイエンド端末の方が、スマートフォンカメラの体験としては総合的には優れていると思います。

 そもそもペリスコープ望遠は豆粒1/3.5型でレンズの品質もそれほど良くはないのか、しかもハードウェアで殴るXperiaでハードウェアが弱いのですから特に期待すべきものはありません。

デフォルト設定でズームは画質が悪いので必ずAI超解像ズームをオンに

 CinemaProという映画を撮影できる素晴らしいアプリがありますが、なかなかメンテナンスされていません。Blackmagic Cameraアプリのようにユーザーの作成したLUTを適用可能にするなど、テコ入れがそろそろ欲しいところです。

 望遠カメラがややいまいち、Photo Proが誰向けなのかよくわからなくなっているという課題は依然としてあるものの、次世代撮像素子を先んじて搭載したハードウェア・光学性能の暴力と、優れた音響は特筆に値します。大手三社向けだけではなく公開市場版も同時発表、それほど間を空けずに投入し、消費者に選択肢を提供しているのも素晴らしい。

 いまハイエンドスマートフォンに迷った時、ソニーセミコンダクタソリューションズと、SME出身音響エンジニアの素晴らしい仕事が支える本機は、積極的に候補に入れるべき有力な一台です。薄型筐体に注がれたソニーの個性が存分に堪能できるはずです。

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