ROG Allyレビュー。120Hz駆動でRyzen Z1 Extreme搭載の最強携帯ゲーミングPC すまほん!!

 ASUSより携帯PC「ROG Ally」を一定期間お借りしたのでレビューします。

 本機は7型FHD液晶を搭載した携帯ゲーミングPCです。重量は約608gとこの手の端末にしてはかなり軽量で、携帯性も高いです。画面はタッチパネル。

 白基調のデザイン。表面はシボ加工のようなサラサラとした質感で比較的良好。背面に給気口、上部に排気口を備えます。

 携帯ゲーミングPCの中には端末の上部と底部両方に端子を備えるものがありますが、本機は上部のみ。

 インターフェースは3.5mmイヤホンジャック、microSDカードスロット、ROG XG Mobile端子、USB 3.2 Type-C。その横には音量ボタンが並びます。本機の性能を活かして画面出力して利用することも可能です。

 なおmicroSDリーダーは高温での利用が続くと不具合が出るなどの報告もあり、アップデートでの改善がなされる見通しではあるものの、注意が必要です。また、ROG XG Mobile端子の純正eGPU接続を想定しており、ThunderboltやUSB4による社外製eGPUを想定していない点も弱みです。

 指紋認証は上部の電源ボタンと兼用。

 ベンチマークスコア的にはモバイルPCとしては極めて高い数値を叩き出します。いずれもTurboモードTDP25W(非給電・内蔵電池のみ)で計測。 AMD Ryzen Z1 Extremeとほぼ同一のRyzen 7 7840Uを搭載したAOKZOE A1 Proと性能は互角。

  ROG Ally
Ryzen Z1 Extreme
AOKZOE A1 Pro
Ryzen 7 7840U
ONEXPLAYER2
Ryzen 7 6800U
AYANEO Air
STANDARD
Ryzen 5 5560U
CHUWI MiniBook X
Celeron N5100
3DMark TimeSpy 2944 3009 2699 952 346
3DMark Wildlife 14118 15436 14956 4829 2390
VRMark v1.3
Orange Room
3273
平均71.35fps
3346
平均72.93fps
未計測 1258
平均27.42fps
489
平均10.66fps
VRMark v1.3
Cyan Room
2560
平均55.80fps
2634
平均57.42fps
未計測 826
平均18.00fps
328
平均7.15fps
VRMark v1.3
Blue Room
714
平均15.56fps
732
平均15.97fps
未計測 201
平均4.37fps
70
平均1.52fps
PCMark10 5957 4854 5219 4757 2371
Cinebench R23
マルチコア
12705 12779 10948 4491 1854
ドラクエX
最高/全画面/FHD
11891 7909 9582 5876 3272
FF XV ver1.3
標準/全画面/FHD
3542
普通
3599
普通
3531
普通
1283
動作困難
544
動作困難

 シーケンシャルリードは4306MB/s、シーケンシャルライトは1832MB/sとストレージの読み書きも高速です。

 左スティックでスクロール、右スティックでマウスポインターにてWindows PCとしての基本的な操作も可能。たとえばAYANEO Air Standardでもこうした仕組みはあるのですが、反応はいまひとつ緩慢な印象。ROG Allyではスティックの品質の高さと性能、120Hz液晶により、スクロールもマウスポインターの追随も非常に滑らか。ゲームのみならず一段上の高い操作感を得られます。極上。

 このフォームファクタでは、機体の初期設定やゲームインストールには難儀するかもしれませんが、Bluetooth接続によりマウスやキーボードを使うことも可能なので、これらを接続して快適に初期設定を終えた後に、持ち出して利用するというスタイルが最も良いでしょう。

 なおBIOSアップデートには充電器が必要となるので、アップデートがある場合は予め自宅で行ってから持ち出すのが肝要です。

 「Armoury Crate」から各種設定が可能。キーマッピングやスティックの反応閾値、振動調整等を細かく設定可能。さらにランチャー「Game Library」からSteamやEA Playなど各ゲームプラットフォームを横断してタイトル表示し、好きなゲームを簡単に起動。ゲーム中等にコマンドセンターを呼び出すことでTDP制御や輝度調節も適宜できます。

 ゲーム中、背面ボタン+Aボタンを押下するとスクリーンショットを撮影することができます。

背面ボタン

 撮影した画像は、Armoury Crateボタン(画面のすぐ右側にある2個のキーの下)を押して、メディアギャラリー内から確認や共有が可能。実際のファイルの保存先はマイビデオのキャプチャフォルダ内です。AYANEOにもこういうボタン割り当てでのスクショ撮影とギャラリー機能がありますけど、やっぱりあると便利ですよね。キーボードのない携帯ゲーミングPCとなると尚更です。

 当初、Steam側のBig Pictureモードから起動しているのに、各タイトルはゲームパッドを認識しない事象がありましたが、これはコマンドセンターボタン(画面のすぐ左側にある2個のキーの下)を押し、コントロールモードを「デスクトップ」から「ゲームパッド」に切り替えることで解消できました。

 Strayはグラフィック設定を各種「高」でFHD時、フレームレートは30台。低でHDでは50弱~70台を推移します。Forza Horizon 5もHDで80程度。より軽いタイトルではさらなる高リフレッシュレートも狙えます。

 重たいタイトルであるサイバーパンク2077は、ASUSが出している数字によれば、最低fpsが45、最高fpsが65。実際に低画質設定レイトレーシングなしでHD解像度で遊んでみましたが、近い数字ではあったもの、40fpsを切る場面も散見されました。これは筐体の発熱状況や、TDPの差異(本記事では一般的利用を想定し最大TDP25WのTurboで運用、急速充電に接続時のみTDP最大値30W)も影響していると思います。

 BattleField2042では、最大64人のAI戦(ブレークスルー ソロ)にて検証。重たい作品として有名ですが、発売後しばらくの更新でいくらか軽量化も進んでいます。流石にFHD高設定では厳しいですが、低画質設定でHD解像度にて50台後半から70ちょい。接敵した状況でも快適に動作しました。BF伝統の戦車・航空機も含めた最大128人の対人戦(コンクエスト)での拠点攻防における多数の敵味方が入り乱れる激戦ではさらなる低下は予想されるものの、良好な数値だと思います。

 操作もコントローラーに最適化されているので、キーマウのPCユーザーでも機種転換は容易。ただし、ささやかなAimアシストがあるとはいえ個人的には対人戦は厳しいと感じたので、戦闘車両の操縦や工兵、支援に徹するか、そもそもAI戦を主軸に遊ぶのが良いでしょう。本作は未所持武器装備の解禁には、その武器での殺傷回数の基準をこなす必要があるので、出先でAI戦で暇を潰しながら武器装備を解禁していき、きたるべきデスクトップPCでの対人戦に臨むというのが遊び方として非常に適合していると思います。

 スピーカーはDolby Atmosで臨場感、立体感に優れています。外出中の利用を考えるとあまり使う機会はないかもしれませんが、寝る前にプレイする時には使えそうです。外出中に重宝するのがイヤホンジャック。ノートPCやUMPCなら今どき無線イヤホンで十分ですが、ゲームをするなら話は別。敵の発砲音が遅れるような環境では話になりません。遅延なく有線イヤホンで没頭しましょう。

 電池持ちはTurboモードTDP25Wで運用して、1時間~持ってもせいぜい1時間半。サイバーパンクをプレイすると56分で90%減少しました。重たい大作ゲームでは1時間程度で限界が来ると考えておきましょう。通勤時間が長いなど外での利用時間の長い人は、モバイルバッテリーを忍ばせておく必要がありそうです。

 急速充電のおかげで公称1時間36分で満充電。急速充電は通常、一直線で駆け上がるのではなく、途中から電池を労るようその充電速度を緩めますので、実際は1時間もすれば8割以上の充電は完了します。プレイ中でも付属急速充電器で充電は可能ですので、自宅で利用するという人には、こうした電池消費が早い問題は問題とならないかもしれません。

 ASUSの携帯ゲーミングPC初号機としては良くできた機種で、120Hz駆動画面やこの高性能ぶりは流石。現時点で市場に出ている携帯ゲーミングPCの中では最も高性能で高駆動だけあって、いま買うなら選択候補最筆頭です。

 しかしながら電池持ちは課題で、自分の利用状況をもとに、問題にならないのか、モバイルバッテリー等で対策する必要があるのかを見極めた上で検討するのが良いでしょう。本機の系譜はこのまま携帯性重視で薄型軽量を追究しつつ、大容量電池の8型モデルなんかも投入してくると、バランスのとれた魅力的な製品群として愛されていくのではないでしょうか。

オンラインストアでZenfone/エイスース製品を買う [AD]
ASUS Store

こんな記事も読まれています

携帯ゲーミングPC「AOKZOE A1 Pro」。Ryzen 7 7840U搭載で好敵手「ROG Ally」とガチンコ勝負

AOKZOEAOKZOE A1 PROレビュー携帯ゲーミングPC

「AOKZOE A1 Pro」を、株式会社天空より一定期間貸与していただきました。本機はOSにWindows 11を採用した携帯ゲーミングPCとなります。本機の構成はCPUはRyzen 7 7840U、実行メモリはLPDDR5X 32GB、ストレージはSSD M.2 PCle 4.0×4 2TB、65Wh(17100mAh)電池。国内販売SKUは不明ですが、海外では実行メモリは32/64GB、スト...

携帯ゲーミングPCの新星「AOKZOE A1」レビュー。

AOKZOEAOKZOE A1レビュー携帯ゲーミングPC

UMPC/携帯ゲーミングPCを取り扱う株式会社ハイビームより、AOKZOE A1を一定期間貸与していただいたのでレビューします。AOKZOEは新興の中国企業。どう読むのか見当もつきませんでしたが、日本代理店によれば「エーオーケーゾーイ」だそう。クラウドファンディングによる出資を募っていましたが、正式に日本で製品版を販売する流れに。レビュー機はストレージ1TBモデルで、初期設定後の空き容量は912G...

AMD、携帯型ゲーム機に最適化した「Ryzen Z1」チップ発表。

AMDAMD RyzenRyzenRyzen Z1

AMDは、ハンドヘルド型PCに最適化された高性能プロセッサの「Ryzen Z1」シリーズを発表しました。Zen4世代の技術を用い、長いバッテリー駆動時間や高い性能をアピールします。Ryzen Z1シリーズは、無印モデルとRyzen Z1 Extremeの2種類を用意。無印モデルのCPU構成は6コア12スレッド、Z1 Extremeは8コア16スレッド。詳しい周波数は明かされていません。消費電力(T...

ソニーの見守りGPS「amue link」本体価格と月額利用料を大幅値下げ。

amue linkSony

ソニーネットワークコミュニケーションズは、2020年12月に発表された小型GPS見守り端末「amue link」の本体価格および月額利用料の改定を発表しました。これまで提供されてきた、3年間の利用料金を端末代金に含めた3年買い切りプランの提供を終了し、新たに端末代金と月額利用料を分けたプランを用意。新しい料金形態では、端末の市場推定価格は5980円、月額利用料は748円に。またNURO 光契約者向...

ONEXPLAYER 2 Pro国内投入。AMD Ryzen 7 7870U搭載、発売日は8月19日

One-NetbookONEXPLAYER 2 Pro

テックワンが、8.4型UMPC「ONEXPLAYER 2 Pro 国内正規版」を8月19日に発売すると発表しました。予約は本日より開始、価格は15万7000円から18万8000円、8月17日までの予約者には本体価格から5%の割引および専用カバーキーボードがプレゼントされます。新製品には、AMD Ryzen 7 7870U CPUとAMD Radeon 780Mグラフィックスを採用、最大32GBメモ...

𝕏もフォローしてね

PCレビュー」についての他の記事

重量451gでこの高性能!小型PC「AYANEO AIR 1S」レビュー

AYANEOAYANEO AIR 1SUMPCレビュー携帯ゲーミングPC

携帯ゲーミングPC「AYANEO AIR 1S」を株式会社天空より一定期間貸与していただいたのでレビューします。本機は11月11日発売の最新機種です。携帯ゲーミングPC、高性能とは言えデカい機種が多くて悩ましいのですが、画面サイズは5.5型。けっこう小さくてまるでWindowsの入ったNintendo Switch……と感動を覚えるのではないでしょうか。Switchと比べてもベゼルが狭く、小型にま...

VAIO Z長期利用所感。納めた炭素税の価値は

VAIOVAIO Zレビュー

VAIO株式会社の新しい旗艦モデル「VAIO Z」を、2021年の発売当時、40万円台に手購入し、これまで愛用してきました。本記事の写真は原則として購入当初に撮影したもの。筆者はこれまで頻繁にノートPCを買い替えてきましたが、2022年は買い替えませんでした。これはVAIO Zに愛着が湧いてしまったことが一番の要因です。愛着の湧いたその最たる理由が、やはりデザインです。炭素繊維、カーボンによるほぼ...

GPD WIN Mini正式発表。親指物理QWERTY、小型軽量で高性能Ryzen搭載

GPDGPD WIN MiniUMPC取材記事

株式会社天空は、GPDの最新PC「GPD WIN Mini」を正式発表しました。2023年12月末発売予定。その小型軽量ぶりから「ポケコンの夢、ふたたび」を謳います。発表会にはGPD代表のWade氏も登壇しました。GPDとはGame Pad Digitalの略。7年前からゲームパッド搭載のPCを開発してきました。2016年に登場した初代GPD Win、初代の粗を改善しドラクエXユーザーに愛されたW...

約590gでRyzen 7 7840U搭載「ONEXFLY」、TGSにて実機展示中

Jack WangOne-NetbookONEXFLY

テックワンは、発売前の携帯ゲーミングPC「ONEXFLY 国内正規版」をTGS2023で展示中です。 ちょうどライバルのAYANEO展示ブースの隣ONEXFLYは重量約590gながらもRyzen 7 7840U、LPDDR5X 32GB実行メモリを標準搭載します。国内発売日は10月14日予定。さらにONEXPLAYER 2 Proも試遊可能となっています。TGSではASUSのROG AllyやAY...

「ぼくのかんがえた最強のmylo」ことAYANEO Slideが展示される

AYANEOAYANEO SlidemyloTGSレビュー

携帯ゲーミングPCメーカーAYANEOは、TGS2023にて「AYANEO Slide」を展示しました。6型FHD画面、Ryzen 7 7840Uを搭載。スライド式の物理キーボードを備え、画面が屹立するギミックが面白いです。変態!!変態!!変態!!変態!! pic.twitter.com/uGi0Tk64B8— すまほん!! (@sm_hn) September 22, 2023黒 pic.twi...

おしゃれで超高性能15.6型120Hz有機EL!「ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition」本日発売

ASUSASUS Vivobook S 15 OLED BAPE EditionBAPEVivobook S 15 OLED取材記事

ASUS JAPANは、15.6型ノートPC「ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition (K5504VA)」を正式発表しました。本体カラーはミッドナイトブラックとクールシルバー。本機は、薄型軽量でスタイリッシュなデザインのハイパフォーマンスカジュアルノート PC「ASUS Vivobook S 15 OLED K5504VA」のコラボモデルの位置付け。コラボ先は19...

ちょうどイイ、どころじゃない!「Artist Pro 14(Gen 2)」レビュー

Artist Pro 14(Gen 2)XP-PENレビュー液タブ液晶ペンタブレット

XP-Penさんより液晶ペンタブレット「Artist Pro 14(Gen 2)」を提供していただいたのでレビューします。やっぱり色々入ってるぞXP-Penは! 付属品その中でも目を引いたのが、見慣れない拡張デバイス。え、これめっちゃ良くね?後で使おっと。PCとの接続は、USB Type-Cの「フル機能」が対応です。私のPCのUSB Type-Cは……フル機能じゃなかったらしく、接続できず。私のP...