HUAWEIの新型折りたたみスマートフォン「HUAWEI Mate X3」を購入しました。 ” 世界最薄 ” を謳う一台で、厚みはわずか約5.3mm。端末重量だと、iPhone 14 Pro Maxより軽いみたいです。
実際にしばらく使ってみたので、レビューをお届けします。
HUAWEI Mate X3をざっと紹介
まずはMate X3がどんな機種なのか、軽くご紹介します。この折り畳みスマホ、マジで強いです。
- 開くと約7.85インチ、閉じると約6.4インチの折りたたみスマホ
- どちらの画面もリフレッシュレート120Hz
- 開いたときの厚みは約5.3mmで、重さは239g
- SoCはSnapdragon 8+Gen1搭載
- カメラは「5000万画素メイン」「1300万画素超広角」「1200万画素ペリスコープ望遠」
- バッテリー容量は4800mAh。最大66Wの急速充電に加えて50Wのワイヤレス充電に対応
- カラーバリエーションは全5色
- 5G非対応、Googleサービス利用不可
こちらがMate X3本体。今回はグリーンを選択しました。背面にはレザーが使われており、深緑の色合いと合わさって大人びた印象を受けます。
カバー側画面(サブディスプレイ)は約6.4インチ有機EL。リフレッシュレートは120Hzでタッチサンプリングレートは240Hzです。LTPO式の可変リフレッシュレートとなっており、状況に応じて自動でリフレッシュレートを変えてくれます。最低1Hzまで落としてくれるので、バッテリーの節約に貢献してくれそうです。
800万画素のパンチホール型インカメラを搭載しています。
開くと約7.85インチのディスプレイが登場。メインディスプレイにもパンチホール型インカメラが搭載されており、右上に姿が確認できます。
前モデルのMate X2ではメインディスプレイにインカメラはありませんでしたが、今作から搭載に。メインディスプレイのインカメラを使うシーンは筆者としてはほぼないため、取っ払ってくれたほうが嬉しかったですね。
サブディスプレイはアスペクト比が一般的なスマホと変わらないので、非常に扱いやすいです。ベゼルは非常に狭く、ヒンジ部分もスッキリしているので「これ折りたたみスマホなの?」と思ってしまいます。
Mate X3で一番驚いたのが「圧倒的な薄型ボディ」です。
約5.3mmという厚さは凄まじい薄さ。薄すぎて曲がらないか心配ですが、造りがしっかりしているので、ぐらつくことはありません。
手持ちのiPhone 13 miniと比べるといかに薄いかわかります。薄さで言えばXiaomiの折りたたみスマホ「Xiaomi MiX Fold 2」も変わらないのですが、Mate X3は30g以上軽いのです。持っていると8インチ近いタブレットとは思えません。
今までGalaxy Z Fold4を使用していた筆者には、全く新鮮な体験でした。これを味わってしまうと、正直、他の折りたたみスマホが霞んで見えますね。
Mate X3では自由に角度調整が可能です。前作のMate X2では、一応一定の角度を保持できるものの、ちょっとでも力を入れようものならば、すぐパタンと倒れていました。Galaxy Z Fold4と同程度の角度調整ができるので、格段に便利になっていますね。
閉じたときの隙間はありません。ここらへんは前作同様。Galaxy Z Fold4では隙間がかなり目立ちますが、構造上、強力な角度固定を両立するためにはある程度やむを得ません。
ところが、Mate X3はIPX8の防水に加え、角度調整まで自由にできるときました。技術的には他メーカーの一歩先をゆくHUAWEI。先日発表された「Galaxy Z Fold5」では、ようやく隙間がなくなりましたが、Mate X3のような薄さは実現できていません。
半開き状態だと、対応しているアプリでは最適化表示がされます。下半分にコントロールバーを表示すれば、任意の時間に移動したり、10秒送りや再生/停止などがサクッと行なえます。YouTube、Hulu、NetFlix等の動画コンテンツを試してみましたが、解像感の高さや低音の効きが非常に良く、イヤホンを使わなくとも十分満足です。
大画面を生かしたコンテンツ消費がとにかく楽しい。KindleやGoogle Map、Amazon Prime Videoなど、約7.85インチの大画面だとスマホでは味わえないコンテンツ体験ができます。
Googleサービス無し、中国国外での運用は難儀
現在展開されているHUAWEIのスマートフォンは、Googleサービスが非搭載です。APKファイルでのインストールでも利用不可。
基本的には、HUAWEIのアプリストア「AppGallery」から使いたいアプリをインストールするのですが、YouTubeやGoogle Mapなど、Google関連アプリは排除されています。AppGalleryはGoogle Playと比べると圧倒的に品揃えが悪く、お世辞にも使いやすいとは言えません。
ただ、グローバル版のMate X3では「Lighthouse」なるアプリが動きます。Lighthouseを導入することで、Googleモバイルサービス(GMS)が動作するようになるので、Mate X3でもGoogle MapやYouTubeなどのアプリが使えるようになるのです。
Lighthouseの導入はかなり簡単にできます。AppGalleryを起動し、地域設定をマレーシアなどの国に変更すればインストール可能。
筆者は実際に入れてみましたが、Google アカウントのログインは問題なく行え、Google関連アプリの起動もできました。アプリ通知の受け取りも良好です。
ただ、Google Playはインストール出来ないので、アプリの追加は「Aurora Store」などのサードパーティ製ストアを使用するほかありません。
それによる弊害でGoogle Fitなど開発者サービスを使うアプリは使用不可。
Lighthouseの導入で利便性はかなり向上しましたが、快適にGMSが使える端末と比べると不満点が非常に多いです。目をつぶれば使えないこともないですが、そこまでするとスマートフォンのあるべき使用スタイルから逸脱してしまうと感じます。
HUAWEI Mate X3のカメラ性能
Mate X3のカメラ構成は以下のとおりです。
- 5000万画素(メイン、f/1.8)
- 1300万画素(超広角、f/2.2)
- 1200万画素(望遠、光学5倍ズーム、f/3.4)
以下、作例をご紹介します。
彩度の調整がかなり強めに入るので、メリハリが効いた一枚に仕上がります。同じく再度補正が強いGalaxyに比べると若干控えめです。
料理の写真との相性は抜群。F1.8の明るいレンズのおかげで、ちょっと暗めの店内でもキレイな写真に仕上がります。
夜景モードはかなり白飛びを抑えてくれます。低照度においてはたまに補正がうまく行かないこともあるので、場面に応じてオートと夜景モードを使い分けたほうが良さそうです。
光学5倍ズームを備えており、折りたたみスマホの中でも望遠性能は高め。
Galaxy S23 Ultraのような光学10倍対応のスマホと比べると、10倍ズーム以降の粗さが気になります。補正で頑張っている感が強く、拡大すると少々残念。ぱっと見の印象は悪くはないので、極度な望遠性能をを求めない日常利用では問題ないでしょう。
総評
前作のMate X2を触ったときも、筐体の薄さと軽さ、カメラ性能の高さに心震えましたが、Mate X3ではそれ以上に感動したのを覚えています。思わず笑っちゃうくらいビルドクオリティは高く、できるならガシガシ使っていきたいですが、障壁になるのはやはり「Googleサービス非対応」。
Lighthouseの登場で格段に使いやすくはなりましたが、それでもまだ多くの問題点を抱えます。また、端末の価格自体も非常に高価で、日本から手に入れる場合は25~30万円は覚悟したいところです。
とはいえ、創意工夫で使いづらさを克服でき、一味違うスマホを追い求めるならそれだけの価値がある端末だと思っています。