ロイター通信は、中国のスマートフォンメーカー大手ファーウェイが、2023年末までに5Gスマートフォン市場への復活を目指していると伝えました。
同誌が中国のスマートフォン市場に関する調査会社3社から得た情報によると、ファーウェイは、中国の半導体大手SMICや自社の半導体設計ツールを用いて、中国国内で5Gチップの製造を開始する予定であるとのこと。
ファーウェイを巡っては、2019年にトランプ政権下で行われた、米国による対中禁輸措置の影響で、スマートフォンの製造に不可欠な多くの部品や製造機器の輸入が困難に。同社が開発していたKirin SoCは製造できなくなったほか、代わりのSoCも、5G非対応のSnapdragonが採用されています。
昨年のファーウェイは、同社の命綱でもある4G端末の販売が行き詰まり、業績が低迷。ただ、中国国内での市場シェアは、2023年第1四半期に約10%まで回復しているとのことで、ここから復活する起死回生の一手として5Gを重要視している模様。
市場調査会社の情報によると、ファーウェイは今年にも、SMICのN+1プロセス(14nm)で5G対応チップを製造し、5Gに対応したフラッグシップ端末の製造を開始。2024年に販売する可能性が高いとのこと。
同社は、2023年3月に、14nmプロセスで製造されたチップ向けの半導体の設計作業を自動化するEDAソフトウェアの開発で画期的な進歩を遂げたと発表しています。このEDAをSMICのN+1プロセスで使用することで、7nmプロセス相当のチップを製造できる可能性があります。ただし、歩留まり率は50%を下回ると考えられ、市場に出荷できるのは200万から400万台に留まる見込みです。
中国国内におけるチップの製造能力が高まることは、同社にとって5G対応チップの製造はもちろん、Kirin SoCの復活など多くのメリットがあり、SMICと連携して開発を急いでいるものと考えられます。今後のファーウェイを巡る動向に注目したいところですね。