韓国経済新聞(The Korea Economic Daily)が報じたところによると、米国際貿易委員会(ITC)は、中国のディスプレイ大手BOE製の有機EL(OLED)パネルに対し、14年8ヶ月にわたる米国への輸入禁止を命じる予備判決を下しました。これはサムスンディスプレイが2023年10月にBOEを営業秘密の盗用で提訴したことに伴う措置です。
今回の予備判決は「限定的排除命令」であり、BOEとその関連会社7社がサムスンディスプレイの営業秘密を不正に利用して特定のOLEDディスプレイモジュールや部品を米国内で輸入・販売したことが、米国関税法に違反すると認定しました。最終的な評決は11月に下される予定ですが、米中間の貿易摩擦が続く中、業界関係者の間ではこの判決が覆る可能性は低いと見られているのだとか。
判決が確定した場合、BOEとその米国子会社による新しいOLEDパネルの販売や在庫の販売、さらに関連するマーケティング活動が、米国において約15年間にわたり禁止されることになります。
OLED市場において、サムスンディスプレイはBOEと激しい競争を繰り広げており、特にAppleのiPhone向けパネル供給がその中心です。証券業界によると、BOEはiPhone向け小型OLEDパネル市場で、今年第2四半期に22.7%のシェアを確保し、LGディスプレイの21.3%を上回っていました。
サムスンディスプレイに有利な判決が出るとの期待から、韓国のディスプレイおよび部品関連企業の株価は水曜日に一斉に急騰。LGディスプレイの株価は22.5%上昇し1万3290ウォンで取引を終え、サムスンディスプレイにOLED材料を供給するDuksan Neoluxは24.6%高の4万6600ウォンに達したそうです。
アナリストは、今回の決定がAppleのiPhoneのような完成品には適用されないため、BOEの市場シェアに即座に影響を与える可能性は低いと分析しています。しかし、中長期的にはApple、Dell、HPといった大手メーカーがBOE製パネルの採用に慎重になることが予想され、韓国のディスプレイ関連産業に恩恵をもたらす可能性があるとしています。