「wena 3」レビュー。万人向けではないが、唯一無二にして究極の浪漫 すまほん!!

 組み合わせれば、機械式腕時計がスマートウォッチに進化する!

 Sonyの新規事業プラットフォーム「First Flight」から誕生したwenaプロジェクト。「wena wrist」最新モデルにして、ユーザーが熱望してやまなかったSuica対応を果たしたウェアラブル端末「wena 3」を購入しましたのでレビューします。

「wena 3」レビュー

開封・時計への装着

 本機は、腕時計のバンド部分にスマートウォッチ機能を内蔵した製品。化粧箱内には本体、充電コネクター、ケーブル、各種説明書。

 光学式心拍センサーなど各種計測計を内蔵。充電は、ちょうど心拍センサー部分に充電コネクターを覆い被せるような形になります。若干硬めですが慣れるとスムーズ。

 今回チョイスしたのは「wena 3 leather」のブラック。

 「wena 3 metal」の場合、コマ調節に専用工具が必要で、時計修理店に持ち込むほうが楽。しかし「wena 3 leather」の場合、付属のバネ棒外しのみで作業は完結。特にお店に行く必要もありませんでした。

 レザーバンドをバネ棒を通すと、きっちり固定され、グラつきはありません。裏を這わせる形になりますので、シースルーバックの時計などは裏を遮ってしまうので注意。時計を裏から眺めたい人は「wena 3 metal」を選択しましょう。

 スマホ側にwenaアプリをインストールすることで接続、管理できます。後述するようにセットアップにはかなりクセがあるのですが、同梱の取扱説明書と本記事を読めばクリアできると思います。

待望のSuica対応

 やはり最も注目すべきは、Suicaへの対応です。初代からファン待望の機能。心配していたFeliCaの感度も、かなり良好。これは嬉しすぎる!

 腕時計は左手に付けるものですが、改札通過は可能。ただApple Watchなら手の甲を向け逆手にして楽に通れるのに対して、wena 3だと順手のままなので、改札通過時のフォームには少し身構えます。自分はwenaアプリから画面表示を右手用に変えています。お好みに応じてどうぞ。

 wena 3アプリ内から初期設定もチャージも可能。モバイルSuicaではなくSuicaで、チャージはGoogle Pay経由。

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 Garmin Watchなどもそうですが、Suicaの初期チャージ限度額は5千円で、一度チャージして2週間ほど使えば上限が2万円まで引き上げられます。

 Suica以外の、Edy, iD, QUICPayといったその他決済は、従来のiOS専用おサイフリンクアプリからの初期設定が必要。自分はとりあえずEdyを設定。Android端末とwena 3をペアリングして利用しています。

新たに鍵の解錠も

 今回、新たにソニーの100%子会社「Qrio」のサービス「Qrio Lock」に対応。鍵の解錠/施錠に対応します。

 Qrio Lockはスマホアプリ版とは別に、Qrio Keyという物理リモコン版も存在します。このQrio Keyとして、wena 3を登録可能。

 画面上から簡単に解錠できます。

 わざわざ鍵としてのみ機能するだけのリモコンを持ち歩くのはアホくさいので、腕時計にその機能を統合できてしまえるのは嬉しいです。いちいちスマホ版Qrioアプリを開く必要もなくなりますし、スマホの電池が切れた時や、位置情報による自動ロック解錠が動作しなかった時にも、さっと腕を触るだけで解錠できるので、手軽です。

 こうしたIoT鍵は、ひとつのオプションに依存することなく、複数のオプションを用意して安定運用するのがセオリー。その中のひとつとしてwena 3は便利です。

時計とwenaの良い関係

 やはりwenaの醍醐味は「歴史ある伝統的な機械式腕時計を現代化できる」という極大級の浪漫が得られること。アナログガジェットとデジタルガジェットの禁断の融合。エモすぎ。

 「アナログ腕時計が好き、でもスマートウォッチも好き、かといって両方つけるのはダサい」という腕時計愛好家の悩みを解消する、最高のソリューション。時代は変わっても、お気に入りの「初任給・ボーナスで買ったあのブランド高級腕時計」「デザインが好きでたまらないクォーツ式腕時計」「親の形見の大事な機械式腕時計」、あれもこれも、便利に使い続けることができるんです。時計オタク!全員買え!

 ちなみに時計と組み合わせるにあたって磁気帯びが気になりそうなところですが、歴代wenaシリーズは、振動モーター付近の磁界は一般的に問題のあるラインを十分下回っており、特に問題は生じないはずです。

ソフトウェア

 wena側の基本的なユーザーインターフェイスはシンプル且つよく練られていて、十分だと思います。黒基調で統一されているのもよし。ホーム画面に3つまで項目のショートカットを置けるので、自分は時刻は腕時計で確認するので削除し、Suica、Edy、Qrioを表示。電源ボタン長押しでAlexa起動を割り当てています。

 手の甲を上にするタイミングで正確に画面が表示されます。それでいて1週間以上持ってくれる圧倒的な電池持ち。歩けば歩くほど使える機械式腕時計と、長時間駆動のwena 3のシナジー。良い。

 通知機能は、本当に通知するためだけのもので、wena側から個別通知の削除などの動作を行うことは出来ません。予定も同様。あくまで通知/予定の管理と閲覧はスマホ側から行うと割り切る必要はありますが、自分は特にそれで困っていません。

 バイブレーションが若干安っぽいかもな、という気はします。wenaアプリからバイブの時間を短く設定していますが、もう少し短くできるといいと思います。なお、机上に置いた際にバイブが鳴るとうるさいので、鳴らないよう設定できるのは良い点です。

 後述するように、計測は精度がいまいちで、ソフトは荒削り。「腕時計が主、スマートバンドが従」ならwena 3を買うべきと言えるのですが、特に腕時計へのこだわりがない人で、wenaの電池持ちに魅力を感じない場合は、他のスマートウォッチの方がいいかもしれません。Apple WatchGarminもSuica対応です。

海外スマホとwenaの良い関係

 そう、決済をwenaで行えるということは、もはやスマホ本体にはFeliCaを内蔵する必要性が薄れるということ。「タブレットで改札通る浪漫がわからねえのか、ふざけるなよ」と個人的には不満も感じている、国内版もFeliCa非搭載となっている折り畳み式の我が愛機「Galaxy Z Fold2」ですが、そんな不満も吹き飛ばせます。最高。

 ていうか、重いしデカイ折り畳みスマホをいちいちポケットから出して決済・改札通過するより、腕時計でサッとやる方が絶対スマート。

 FeliCa搭載有無に関わらず、グローバル端末やローカライズしきれていない国内向け端末を選べるので、持ち歩けるガジェットの幅が広がるということ。これもwenaの大きなメリットと言えます。

「wena 3」でつまづいた点や解消法など

 本機は初代から引き続きコンセプト・ハードウェア設計に光るものがあり、新たな機能を迎えて進化しているものの、ソフトウェアは荒削りな印象も残るのが最大の欠点です。

 以下、自分がつまづいた点を列挙しつつ、解決策も書き記したので、ぜひ参考にして下さい。

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Sonyアカウント

 Sonyアカウントでログインが可能なのですが 何度やってもログインできず。wena3のログイン画面からパスワードリセットをかけられるので、そこからリセットをしても、ログインできず。試行しすぎたためかアカウントロックが掛かってしまいました。

 wena公式より教えてもらったのですが、そのままwena3にMy Sony IDではサインインできず、まず「My Sony IDとソニーグループのアカウントとのサインインID共通化」が必要とのこと。他にも同じ事象で困っている方もいたので、こちらを参考にやってみてください。

 また、試行しすぎてアカウントにログインできなくなる場合もあり、一度別のネットワークで再度ログインするとうまくいく場合もあるといいます。

 ほかには、Apple IDやFacebookアカウントでも登録/ログインが可能。Apple IDでやったところ、かんたんにアカウントを作れました。

Suica

 Suicaは、AndroidでもiOSでもすんなり発行/チャージできます。このとき、Google Payが必要になります。Google Payを経由してクレジットカードでチャージする形になるでしょう。ここはまあ問題ないと思います。

 おサイフケータイ内のモバイルSuicaではなく、あくまでSuicaであり、定期券やグリーン券には非対応。

 個人的には定期は使っていないですし、JREポイントや新幹線には対応可能なので、十分かなと思っています。

決済

 問題はおサイフリンクアプリですね。Suica以外はiOS版しかないおサイフリンクアプリが必須。ここが一番の難関。

 おサイフリンクから利用できる決済サービスは少なめ。一部にはうまく新規登録できないサービスや、来年春にサービス終了が謳われているものも。自分はQUICPayが使いたかったのですが、モバイル向けQUICPayは自分の利用しているカード発行元が非対応。色々厳しいかなといった印象。

 そもそもおサイフリンク自体が、iOSと接続するFeliCaジャケット向け。コレが登場してしばらくして、iPhone 7がFeliCaを搭載したことで、時代の徒花になったもの。それを流用しているので、今いろいろ至らない部分が出てしまうのは仕方ないというわけ。この辺りを刷新したwena 4が出てくれるよう、応援するしかないですね。

 自分は、とりあえず楽天Edyを紐付けました。登録も問題なし。チャージ手段も複数あります。おサイフケータイ対応のAndroidスマホにかざして、チャージするなんて方法もありますよ。SuicaとEdyで運用していく予定です。

追記:楽天Edyの「利用でポイントを貯める」と「故障/盗難/紛失時の残高移行」を使うためには、おサイフリンクでの初期設定・チャージ以外に、おサイフリンクから「ポイントを貯める」を実行する必要があります。これを忘れると、Android派はwena3の初期化が必要になってしまうので、必ず忘れずに済ませておきましょう。(これで筆者はまたwena3を初期化した)

ペアリング

 決済系初期設定にiOSが必要ですが、それが終われば、Androidがメイン機の自分にとってiOSは用済み。

 しかしwena 3はマルチペアリングに対応しておらず、Androidスマホにペアリングし直しができません。wena 3を一度初期化をする必要があります。

 もちろんEdyなどの電子マネーは、wenaのソフトウェアを初期化しても、FeliCa内の設定・残高は残っていますので問題ありません。

 この時、ペアリングにクセがあるかもしれないと感じました。1台以上で接続してしまっている時などは、初期化直後でも、うまく新規ペアリング出来ないことがあったりします。

 コツとしては、接続するスマホ以外のBluetoothを切る、そして新規ペアリング予定の端末では、wena3関連の接続設定を予め消しておくこと。ここを心がけておけばペアリングできます。

 Garminなどのスマートウォッチは複数台接続しても問題なく利用できるので使いやすいと感じます。wenaもマルチペアリングに対応していってくれるといいのですけどね。

Alexa

 AlexaのAmazonアカウントにログインするシーンで、アカウントが存在しないと言われて困ったのですが、よく見たらwena3が求めているのはAmazon.comのアカウントでした。個人輸入経験者なら常識ですが、Amazon.comのアカウントとAmazon.co.jpのアカウントは別扱い。このため、持ってない人はAmazon.comのアカウントを新規登録しましょう。

 当初、言語設定をwenaアプリから日本語にしても英語でしかAlexaを利用できませんでしたが、Alexaアプリをインストールして言語や現在地を指定すると、無事使えるようになりました。通知アラーム・タイマー・リマインダー機能は後日アップデートにて対応予定なので、今のところAlexaは天気予報ぐらいにしか使っていません。

 スマホ側を再起動すると、wena 3へのAlexaの再接続が必要になるようで煩雑。常用するにあたってここはブラッシュアップが欲しいです。

Qrio Lock

 Qrio Lockアプリでの登録は、wena 3をQrio Key扱いで登録することになるので、「家に近づいたら解錠」などの機能は利用できません。あくまでwena 3上の画面を操作して解錠。

 自分はGPSを用いたスマホアプリでの自動解錠/施錠をそれほど信用していないため、腕を触るだけで解錠/施錠できるだけでも、財布に入れている鍵を出し入れする手間を省けるので、十分便利だと思っており、ここは期待通り。

活動量計

 活動量計は精度がやや低いように感じられます。特に睡眠時間計測は現時点でまともに機能していません。毎日睡眠時間が3時間ぐらいと誤認識されているので、計測中にスリープ状態に入ってしまっているのでしょうか。

 また、活動量計の同期も、アプリを起動して同期ボタンを押す手間が煩わしいです。

 現時点ではライフログ関連はまだ未完成。アップデートによる修正を待ちたいところです。追記:バージョン1.52JPにて睡眠時間検知が改善、精度の向上を確認しました。

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その他

 バネ棒をつける時や、wena 3にバンドを装着する時は難儀しました。マニュアルを読みながら慎重にやりましょう。難しいと思ったら、時計修理屋に頼るのは一つの手です。

 他に留意すべきは「mamorio(紛失時に時計を捜索する機能)は後日アップデートで提供」といったところ。

総評

 真に価値があるからこそ、難解さや煩雑さが惜しい。これではダメです。

 そこを改善して、もっと幅広い層に受け入れられて欲しい。心からそう思います。特にSuica以外の決済部分は、次期モデルでの抜本的改善が必須の課題と言えます。

 現時点の「wena 3」は、まだマニア向けを脱しきれていないのが弱点だと思いますが、逆に言えば、こうした設定の複雑さや粗さを乗り越えられるだけの熱量を「wena 3」に感じることのできる時計愛好家や、浪漫に共鳴できるグローバル端末愛好家といったコアなオタクは、ぜひ挑戦するべきです。乗り越えられれば、諸々を割り切ることができれば、腕時計をつけるのが本当に楽しくなります。

 整備して大事に使えば数十年動き続けられる機械式腕時計。wenaも末永くプロダクトを出し続けていってもらいたいと思います。

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