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Pixel Fold 初印象。良くも悪くもグーグルピクセルらしい荒削り初号機

 本日発売のGoogleの折り畳みスマホ「Pixel Fold」を購入しました。直販ECサイト「Google Store」で販売されているモデルで、価格は25万3000円。ベゼルはかなり太め。

 折り畳みスマホに挑戦しようとする消費者が気にするのは折り目。各メーカーは折り目が目立たない、付きにくいよう努力しています。折り畳みスマホは何台も使ってきましたが、その多くは大きめの化粧箱で開いた状態で入っており、少なくとも開封時には折り目がついていない、目立たないように配慮していますが、なぜか本機は小さな箱に折り畳んだ状態で入れられているため、開封時にいきなり折り目がついて目立つような状態だったので驚きました。先行研究不足が伺えます。

 閉じた状態から開く際、他機種と比べると180度付近から180度まで開ききる時の抵抗や違和感をやや感じます。他機種よりも横長である上に角度固定可能なヒンジというのは要因としてはあると思います。

 箱出し時の折り目に関しては配慮不足だとは思いますが、どのメーカーの製品も使い込むほど折り目は多かれ少なかれついていくものですので、Pixel Foldを使い込んだ時に折り目がどうなっていくのかという点に注目したいところです。

 公称値283gと非常に重鈍ですが、ただ持った印象が「激重」というほどでも無いのは、幅が広く分散されるためだと思います。そうは言っても最新折り畳みスマホと比べるとやはり重いです。

 縦に長過ぎず幅は広く、閉じた状態での使い勝手は独特で、これを好きな人はいると思います。ただその際に片手操作性には難があり、これは大きさと重量に起因します。小型化するかOPPO Find N2のように軽量化するかが次世代機では求められそうです。

 音量ボタンと指紋認証センサー兼用電源ボタンの位置が一般的な機種とは逆になっており、電源ボタンも上の方にいっており、使いにくく感じますが、使い込むとある程度慣れていくところかなとも思います。

 画面は横長です。ブラウザのPC表示に向いています。

左上:Pixel Fold, 右上:Xiaomi MIX Fold2, 左下:OPPO Find N2, 右下:Surface Duo 2

 画面の実効サイズはそれほどでもないため、Xiaomi MIX Fold2には劣ります。OPPO Find N2を使っていて横方向に物足りないと感じていた人にはちょうどいいかもしれません。

上:Pixel Fold, 下:Xiaomi MIX Fold2(水平時)

 性能は以下の通り。

 問題は対応アプリ。Twitterすら中央表示。他機種では強制全画面表示があるのにそれもないため、不便です。無意味な領域が広がり、せっかくの画面サイズを活かせません。

 利用者としてはただただ不便ですが、Google Pixelがこのような横長大画面・折り畳みのフォームファクタで登場したということは、アプリ開発者がこれに対応するよう促す効果が期待できるため、こうした通常のスマートフォンの枠外のフォームファクタの他社製品の魅力を底上げするリファレンス的なモデルとしての役割を担い得ます。この機体そのものに如何なる評価が下されるかはともかく、Android陣営としては意義がある試みだと言えます。

 マルチウィンドウは便利です。下部のバーを上に引っ張るとアプリランチャーが出てくるので、そこからアプリを上に引っ張ると並べられます。前述の全画面化できず無意味な領域が広がるアプリは、マルチウィンドウで運用することになりそうです。なお、マルチウィンドウの際には各画面が窮屈に感じがちでしたので、フォントサイズや表示サイズは小さく変更するのが肝要です。

 音響面では、スピーカーは若干緩く暖色にも感じます。OPPO Find N2ほど極端な音の偏りもありませんし、Xiaomi MIX Fold2のような解像感の低さやキレの悪さが気になる低域もありません。もちろんまだ初日なので聴き込むと印象が変わってくる可能性はありますが、現時点では折り畳みスマホの枠の中だけでいえばフィーリングは比較的良好には感じます。IPX8防水対応であり、規格上想定されていないので推奨はしませんが、筆者はお風呂に持ち込んで動画や音楽を流すのにも使ってみようと思います。

 カメラは三眼。他社ではダイナミックレンジの狭いと感じる場面でも、プレビュー画面からゴリゴリで広いダイナミックレンジを発揮しているのはさすが計算写真学(コンピューティショナルフォトグラフィー)の先駆者Pixelだけあって面白いです。

 ダイナミックレンジは必ずしも広ければいいというわけではなく、あえて狭くすることで味わい深い写真も撮れるので、このあたりの塩梅や状況ごとの広狭で各社苦悩している様子も伺えますが、わりと振り切っていて良いですね。必ずしも伝統に囚われず未来に果敢に挑戦しているPixelは魅力的に映ります。

伝統的カメラに引っ張られることなくオート静止画内に使いやすい露出/コントラスト/色温度/片手で操作可能な望遠倍率変更のスライダーを収めており、スマホカメラの中でも傑出したUI

 とはいえ折りたたみスマホでは軽視されがちな望遠域は、ソフトウェアだけでは限界があるので、光学性能も高めて限界突破。折り畳みスマホの中では優れた結果を残します。

 サクサク撮れて使い勝手は総じて良いと思います。

 日本国外に目を向ければXiaomi MIX Foldシリーズ、Vivo X Foldシリーズ、OPPO Find NシリーズもあるのでPixel Foldはそれほど魅力的ではありませんが、日本国内では競合はGalaxy Foldシリーズと、バグだらけで画面の中央も寸断されたSurface Duo2しかないため、縦長なGalaxy Foldシリーズをあまり好ましくないと感じた日本国内の利用者にとっては、FeliCa対応もあってそれなりに魅力的な選択肢になり得そうです。

 角度固定もできてスタンドいらずの特徴と、望遠カメラと、文字起こし録音機能を考えると、取材活動を生業としている記者・ライターならばGalaxy Foldシリーズよりも優位となる可能性はあります。

 良くも悪くも、ソフトウェアに秀でたものを持ちながらもしばしばハードウェア品質は高くないPixelの折り畳み初号機らしい出来栄え。現時点では前述した職種の人間かギーク、アプリ開発者が手に取るようなニッチなものではありますが、シリーズ化すれば一般人にも推奨できるようなクォリティーへと高まっていきそうなポテンシャルは感じますし、そうなれば安くなるでしょう。たとえば既にGmailなども横長大画面に適合した2カラムとなりYouTubeも折りたたみに対応したUIとなっていますが、そのようにPixel Fold浸透によって環境が揃っていけば、結果としてAndroid採用メーカーも変わったフォームファクタの機種を出しやすくなっていくでしょう。

 やはり買ってみた上で、色々ケチのつく機種だとは感じるものの、それを覚悟で応援買いをする価値はあるだろうとも思います。筆者の知るエンジニアはiPhoneやGalaxy Z Foldシリーズのユーザーが多いように感じますが、界隈でもPixel Fold購入の声もチラホラ聞きますので、開発者やこの荒波をも楽しめるギークにはおすすめしたいです。

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