
メモリ価格、前期比でほぼ2倍の衝撃
サムスン電子とSK Hynixが、2026年第2四半期のDRAM供給価格を大幅に引き上げる方向で顧客に通知し、価格交渉に入ったそうです。ソウル経済新聞が伝えています。AI需要の急拡大を背景に供給不足が深刻化しており、調査会社GartnerはDRAMとSSDを含むメモリ価格が2026年末までに130パーセント上昇すると予測しているといいます。
Counterpoint Researchの価格トラッカーを引用したWCCFTechによると、2026年第1四半期(2月時点まで)の推計では、PC向けメモリ価格が前四半期比で90パーセント超、サーバー向けは98パーセント超に達する見込みだといいます。
NAND Flashも、PC向けが約100パーセント、サーバー向けが約90パーセントの上昇幅で、第2四半期にも平均15〜20パーセント程度の追加上昇が見込まれるとのことです。TrendForceも、1Q26の従来型DRAM契約価格が前四半期比で90〜95パーセント上昇、NAND Flashが55〜60パーセント上昇と予測しており、急騰傾向は複数の調査で一致しています。
AIアクセラレータに用いるHBM(広帯域メモリ)は、同じ容量を作るのに必要なウエハーリソースが通常のDRAMの3〜4倍程度に膨らむともいわれます。
「HBM」は「High Bandwidth Memory」の略で、DRAMチップを何層にも積み重ねてデータの通り道を極太にしたメモリのこと。AIの学習や推論では膨大なデータを一気に読み書きする必要があり、通常のDRAMでは帯域が足りないためこのHBMが使われます。製造には通常のDRAMより格段に手間がかかるので、HBMを作れば作るほど汎用DRAMが足りなくなるという構図です。
HBM向けに前工程や後工程のリソースが集中するほど、汎用DRAMの供給余力は細りやすくなります。ソウル経済新聞は、サムスンの現状の供給能力が増え続けるDRAM需要の約60パーセントしか満たせていないという業界関係者の話を伝えており、AI向け半導体への生産シフトが価格急騰の大きな要因になっているようです。
ソウル経済新聞によれば、NVIDIAやAppleといった大口顧客は四半期または半期単位で数量や価格レンジを定める形で交渉し、納入時の市況を反映して最終価格を調整する仕組みだそうです。一方、中小の顧客は従来、月次の市況を反映した契約が中心だったとのことで、契約更新の局面で値上がり分が直撃しやすいといいます。前回契約に比べて2倍以上の価格を受け入れないと供給枠を確保しにくいケースもあるのだとか。
WCCFTechが紹介したCounterpoint Researchの分析では、コスト圧力を抑えるために端末1台あたりのメモリ搭載量を削減したり、価格転嫁しやすいプレミアムモデルに注力したりする動きも出ているようです。メモリコストの上昇を製品価格に転嫁しづらい中小メーカーは採算の悪化した製品から撤退を迫られる恐れがあり、調達力の格差が製品ラインナップの淘汰に直結しかねない状況です。
ソウル経済新聞によると、主要3社のDRAM生産能力は前年比で横ばい、もしくはSK Hynixでも7パーセント程度の増加にとどまる見通しだといいます。業界関係者は来年分の供給枠がすでに売り切れているとも語っており、逼迫は短期では解けにくいとの見方が強いようです。WCCFTechも正常化は2027年半ば以降から2028年ごろになる可能性があるとしており、スマートフォンやPC、サーバーなど幅広い製品カテゴリに及ぶ値上げの波は、当面続きそうです。




















