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なぜ代替素材を採用しないのか。Ankerが新型リチウムイオン電池「NLB」を発表、過酷な釘刺し試験をクリア

 釘を刺しても燃えない新型電池。

 Ankerは新製品発表会を開催。リチウムイオン電池「Neo Lithium-ion Battery(NLB/ネオリチウムイオンバッテリー)」を発表しました。

 Ankerはモバイルバッテリーの安全性を「高品質なバッテリーセル」「燃えにくい筐体」「バッテリーマネジメントシステム(BMS)」の3要素で支えると整理。このうちセルを担うのがNLBという位置づけです。

 近年は半固体電池やナトリウムイオン電池など、リチウムイオン以外の代替素材を採用したバッテリーも他社から登場しています。

 「なぜAnkerはこうした代替素材を採用しないのか」という問いに対し、同社は現時点で3つの課題が残ると認識を示しました。

 1つ目は実証実験の蓄積です。「セルの安全性」と「モバイルバッテリーの安全性」はイコールではないとの考え方を強調。安全性はバッテリーセルの素材だけで決まるものではなく、筐体や制御まで含めて総合的に高める必要があると説明します。リチウムイオン電池が世界中で積み重ねてきた検証データに比べ、代替素材はまだ実証が十分でない領域があるとしています。

Anker、釘を刺しても燃えない新型リチウムイオン電池「NLB」を発表

 2つ目は使用環境と廃棄のルールで、航空機への持ち込みが制限されるものや、処分ルールが整っていないものもあると指摘します。3つ目はサイズと重さです。代替素材は同じ容量でもサイズが大きく、重くなりがちで、毎日持ち運ぶモバイルバッテリーの利便性に直結すると説明。

 これまでトレードオフになりがちだった「安全性」と「利便性」を、どちらも妥協せず高い次元で両立させる。その答えとしてAnkerが選んだのが、代替素材ではなく、リチウムイオン電池を磨き上げたNLBだといいます。

 NLBは主に3つの技術で構成。1つ目は不純物の排除です。発火の原因となる磁性異物や微量金属を徹底的に取り除き、正極に含まれる磁性異物の含有量を「150ppb(10億分の1)以下」に抑制。電解液に含まれる水分やフッ化水素も厳しく制限し、発火の原因を抑えたのだとか。

 2つ目は経年使用時の劣化低減です。リチウムイオン電池は充放電を繰り返すほど負極の表面に「デンドライト」と呼ばれる樹の枝のような結晶が成長しやすくなり、これがセパレーターを貫通すると内部ショートの引き金となります。NLBは負極の表面処理を根本から見直し、リチウムイオンがスムーズに移動できるようにすることでデンドライトを大幅に抑制。電解液の配合も最適化し、300回の充放電を重ねてもリチウムの析出を大きく抑えられる設計としています。

 3つ目は厳しい試験。金属の釘をセルに刺して強制的に内部ショートを起こす「釘刺し試験」を100%クリアしたと説明します。

 さらに1.4トンの重さに耐える耐圧試験、過充電試験、耐熱試験(135℃)といった条件も満たし、落下・圧力・高温など日常で起こりうるアクシデントに幅広い耐性を備えるとしています。

 ハードだけでなく、ソフト面の制御も進化。新たに開発したBMSは、搭載するすべてのバッテリーセルを1つずつ秒単位で個別に監視し、それぞれの電流・電圧・容量を常時チェック。軽微な異常では数値が正常に戻ると自動復帰する「一時保護モード」、重度の異常では充放電機能を完全に無効化する「永久ロック」を発動します。

 筐体には世界各国のさまざまな安全規格・認証に対応し、厳しい耐火試験をクリアした高難燃性素材を採用。万が一の際も火が外に広がりにくい構造としています。NLBで発火の原因を減らし、BMSで異常を検知・記録・遮断し、難燃性筐体で火を封じ込める。この3つの層が連動することで、製品全体として最高水準の安全性を実現するといいます。

 NLBを採用した製品も早速登場します。第1弾となるのが、Qi2認証を取得した「Anker Nano Power Bank(MagGo, Plus)」です。Ankerは自社のモバイルバッテリーにおいて、自社独自の安全基準に基づき史上最高の安全性を実現したモデルと位置づけています。

 NLBの採用は今回の一部製品から始まり、今後ほかの製品にも段階的に広がっていく予定です。当面は従来品とNLB採用品が併存しますが、来年のしかるべきタイミングで、日本では切り替えていく考えだとしています。

 なお、質疑応答によれば、NLBは充電使用サイクルや電池寿命に関しては既存方式と変わらないとのこと。あくまで安全性と品質を向上させた点が今回の変更点だと説明しました。

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