楽天モバイル株式会社は2025年9月30日、携帯各社の相次ぐ料金値上げの動きのなかで「値上げせず」と表明しつつ、ネットワークの品質向上に関する取り組みを発表しました。
登壇した基地局設置統括部 バイスオフィスマネージャーの大前氏は、「つながりやすさ強化宣言」を掲げ、東京エリアを中心に5G基地局の増設や駅構内の電波対策を加速させる方針を明らかにしました。
同社は、契約者数が930万回線を突破し、ユーザー1人あたりの月間平均データ利用量が31.2GBに達するなど、データ通信需要が拡大している現状を踏まえ、ネットワーク品質のさらなる強化に乗り出します。具体的な取り組みとして、特に人口が密集する東京都心の山手線沿線エリアにおいて、5Gを中心とした新規基地局の開設を推進。4Gの基地局も併せて増設することで、通信が混雑しやすい時間帯や場所での「つながりやすさ」を改善していくと説明しました。
また、既存基地局についてもアンテナの調整や増設を行い、継続的な最適化を図っていくとのことです。
多くの人が利用する駅構内の通信環境改善も重点施策として挙げられました。渋谷、新宿、池袋といった主要駅の構内において5Gを含めた対策を強化するほか、東京以外の主要駅でも順次対策を進めていく計画です。
さらに、都市部の利用者が多い地下鉄駅構内での対策も進行中で、すでに東京メトロでは全167駅中約60%、大阪メトロでは全117駅中約70%の対策が完了しており、残りの駅についても着実に整備を進めていると報告しました。
ソフトウェアの更新による基地局あたりの接続可能ユーザー数の増強や、地下の飲食店など電波が届きにくい場所への小型基地局の設置、大規模イベント開催時の移動無線車の配備(前年比2倍のイベントで実施)など、多角的なアプローチで品質向上に取り組んでいることを紹介。
ユーザーアンケートでは、77.8%の利用者が「以前よりも通信環境が改善した」と実感しているとのこと。また、ユーザーから寄せられる電波改善に関する要望の件数も年々減少傾向にあるとのことです。
大前氏は、品質改善において現地での電波調査や体感評価を通じて対策を講じており、顧客からのさらなる品質フィードバックを求めました。
しかし1000万を超えたらさらに許容上限に近づくはずで、果たして耐えられるのか?
これに対して三木谷会長は、楽天モバイルの基地局のソフトウェアアップグレードは常に行っており、それによって1基地局辺りのユーザーも増やせるが、やはりそうはいっても集中している地域は基地局数を増やす必要があり、増やしている。干渉問題もあって5Gの出力をフルパワーで出せてない場所が関東地区にあり、関係各所と調整していく考えを示しました。
また、5G SAを展開できていない楽天モバイルがApple Watchの5Gに対応できていない問題について、三木谷氏が回答。5G SAはキャパシティにも効いてくるので優先度高く開発中、ソフト更新によって来年中に実現予定。
iPhoneがeSIM専用になったことで、他社では障害や混乱も起きていましたが、早くからeSIMに取り組んでいるの楽天モバイルは特に問題なしとのこと。
ぶら下がり取材の中で三木谷氏は、Open RANやクラウド、OSSに対する世界の需要は強まっており、ソフトウェアを輸出するプラットフォーマーとしての大きなビジョンを示しました。
都市部品質低下については、全体的にはそうしたことはないものの、渋谷のハチ公前のような都市部の一部のコンジェスチョン(通信の混雑)が起きている場所については、早急な対策が必要と課題を認識。また、また、地下鉄のエリアの5MHz幅を20MHzにアップグレードは2026年春までに行うとしており、今後の通信品質向上が期待されます。