
元凶は実行メモリとストレージ。
2026年に出てくるスマホは、かなりの確率で「去年よりちょっと高い」が当たり前になるかもしれません。
その背景には世界的なメモリ不足があります。DRAMとNANDフラッシュの契約価格は2025年にかけて大きく上昇し、2026年もさらに5〜7%程度は部品原価が積み増しになるという予測が出ています。スマホの部材コストに占めるメモリとストレージの比率はすでに2割前後まで上がっていて、今後はそれを超える見通しとされます。
なぜここまで値上がりしているかというと、AIデータセンターの爆発的な需要が、サーバー向けの高性能メモリやHBMを優先させているからです。サムスンが一部メモリ価格を秋から最大60%引き上げた、といった報道もあり、2026年にかけて構造的な品薄が続くと見られています。そのしわ寄せがまずPCやサーバー、そして少し遅れてスマホに来る、という流れです。
特に打撃を受けるとみられているのが、世界で一番台数の多い「安めのスマホ」です。TrendForceの分析では、300ドル以下のエントリーモデルでは、実行メモリと内蔵ストレージの在庫が通常の8週間から3〜4週間まで減り、2026年には販売価格がおおよそ10〜20%程度上がる可能性があるとされています。
たとえば海外では、200ドル前後(1ドル=約157円とすると約3万1000円台)のモデルが、数千円分値上がりしてもおかしくない計算です。そう、ついでに日本の場合は、為替の動向にも左右されるので、尚更不安になりますよね……。
しかも最近のスマホは、ミドルレンジでも8GBクラスの実行メモリと256GB前後の内蔵ストレージが「標準スペック」になりつつあります。かつての4GB/64GB構成と比べると、単純に使うチップの容量が増え、その一つ一つが高くなっているわけです。メモリを減らせばコストは下がりますが、動作の快適さや売り文句に直結するため、メーカーとしても簡単には削れません。結果として、「元凶は実行メモリとストレージ」なのに、その元凶をいじれず本体価格を上げるしかない、というジレンマに陥っています。
実行メモリや内蔵ストレージが多いモデルほど、今回のメモリ高騰の影響を強く受けやすいので、そこにしっかりお金を払うのか、それとも一世代前の型落ちや容量控えめモデルで節約するのか、意識して選ぶと良さそうです。「本当に自分に必要な容量はどれくらいか」を考えるのが、スマホ代を抑える一番の防御策になりそうです。




















