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SwitchBot AI Hubレビュー。お前が誇るべきはAIだけじゃない、いろいろ詰め込んだ画期的な司令塔

 SwitchBotより「SwitchBot AI Hub」を提供していただきましたのでレビューします。

 この製品、「AI」と名乗るだけあって、日本のスマートホーム市場ではまず見かけない機能を備えているのはもちろん、これまでのSwitchBotでは替えの効かない機能をいくつも持っています。

 ただ、正直に言うと一癖も二癖もある製品で、万人向けとは言いがたい。それがどういう意味かは、読み進めていただければ分かっていただけるはずです。他のレビューとは違う視点で、数か月使い込んだ感想を正直にお伝えします。

外観

 まず開封から。外観はこれまでのSwitchBotにはなかったような、黒を基調とした筐体に金属質のボディ、上部にはすりガラスで高級感を演出しています。

 筆者がこれまで触ってきたSwitchBot製品でダントツに質感が高い印象です。ただし、AI Hubはユーザーの目につくところに置く必要が基本的になく、さらに赤外線リモコン機能も持ち合わせていないため、置き場所の最適解は棚の中。いまでは埃をかぶりつつ、誇りをもって家を見守ってくれます。

 本体側面にはmicroSDカードスロット。これは接続したカメラの映像録画や、後述するHome Assistantを利用するために必要で、最初から16GBのSDカードが付属しています。このほか給電用のDCアダプター、映像出力や録画に利用できるUSB Type-C端子が2つ。最大16TBのHDDあるいはSSDに接続し、大量の録画データをローカルに保存できます。

 セットアップはSwitchBot製品らしく拍子抜けするほど簡単で、電源を入れてアプリの案内に沿ってWi-Fiパスワードを入力するのみ。SwitchBot製品として初めて5GHz帯にも対応しました。

AI+機能:映像を「理解する」カメラ

 本製品の最大の目玉が、AI+機能です。搭載しているチップは、ローカルでChatGPTのようなAIを動かすほどの処理能力はありませんが、顔認識や物体検出はローカルで完結します。

 AI+の仕組みはこうです。ローカル側であらかじめ登録したイベント(人の検出、動物の検出など)が起きたら、そのイベントと画像をクラウドに送信し、クラウド上のVLM(視覚言語モデル)がその画像の内容を言語で説明、必要に応じてオートメーションを発動する、という流れです。思ったよりクラウド、あるいはLLMのパワーに頼っている、ある意味豪快な解決方法です。

 各カメラには「見守り担当」「警備担当」「ペット担当」「全般」という役割を割り当て可能。「見守り担当」なら「人が倒れている」「高所に登っている」といったイベントごとに検知設定ができ、「ペット担当」ならご飯を食べているかどうかまで把握できます。「全般」に設定すると、テキストで自由なキーワードのトリガーを定義することも可能です。

 実際に試してみました。筆者は一人暮らしなので、見守るべき家族も、目を離したら何をするか分からないペットもいません。苦肉の策で「作業中は昼白色に、休憩中は電球色に切り替える」オートメーションを試してみましたが、これは微妙でした。

 作業と休憩の違いを判別すること自体はできるのですが、イベントが起きるまでのタイムラグにばらつきがあり、明かりが意図しないタイミングで切り替わって気が散る、という構造的な問題がありました。

 とはいえこれはユースケースが悪かっただけで、本来の用途である家族の見守りやペット管理で使えば、従来のモーションセンサーとは次元が違う体験になるはずです。顔から人物を識別することができるので、「誰かが動いた」ではなく「おばあちゃんが横になった」がトリガーになる、それがこの機能の本質です。

 AI+機能には「AIまとめ」という機能も含まれています。仕組みは単純明快で、カメラが1日を通じて検出したイベントのログを、VLMがまとめてテキストで要約してくれるものです。「犬は午前中はリビングで駆け回っていた」「午後はソファで休んでいた」といった具合に、録画を一本一本見返さなくても1日の出来事が把握できる、という触れ込みです。

 ただ、これもまた筆者の環境では残念な話になります。スマートドアホンを諸事情で試すことができなかったため、筆者宅のログはひたすら「リビングキッチンの空間に、若い大人が立って作業している様子が確認されます」「男性がキッチンから廊下へと歩いている様子です」の繰り返しです。1日の終わりに「今日も立ったり歩いたりしていた」とAIに告げられても、そうですねとしか言えません。これは機能の問題ではなく、完全に環境の問題です。見守るべき家族やペット、あるいは玄関カメラが揃ってこそ真価を発揮するのは間違いないでしょう。

 なおプライバシー面においては、VLM処理はAWSの日本リージョンで行われており、ユーザーのデータがモデル学習に利用されることはないとしています。カメラ画像をクラウドに送ることへの抵抗感は人によって異なると思いますが、透明性としては及第点ではないでしょうか。

 AI+機能は有料のサブスクリプションサービスで、月額2980円(初回1ヶ月無料)。本体価格3万9980円と合わせると、初年度は高く見積もって7万5740円という投資になります。これが高いと感じるかは、何を見守るか・何のためのカメラかによって大きく変わります。

地味にありがたい「ローカルオートメーション」

 AI Hubの機能の中で、意外にも日常の使い勝手に直結するのがローカルオートメーションです。

 SwitchBotのオートメーションには、Bluetooth経由で直接デバイスを操作する方法と、クラウドを経由する方法があります。前者は爆速ですが、Bluetooth非対応のデバイスを含めたり複数台を同時に動かしたりしようとすると、どうしてもクラウドを挟む必要がありました。このクラウド経由の処理が、AI Hubでは本体内でのローカル実行に対応しました。従来比で最大4倍の処理速度向上とのことで、「ドアを開けた瞬間に電気がつく」というような、タイムラグが気になるオートメーションが格段に快適になります。

 現時点では対応デバイスに制限があり、すべてのオートメーションがローカル化できるわけではありません。筆者の主な使い方では「外出時にすべてのデバイスをオフにする」シーンに対応デバイス外のものが混在していて、ローカル化にはまだ一歩届かず、恩恵を享受できていない状況です。ただこれは今後のアップデートで対応デバイスが増えていく話でもあり、現状の完成度として批判するものではないでしょう。

Home AssistantとFrigate統合で無限に「遊べる」環境を

 AI Hubが持つ、個人的に最も驚いた機能がこれです。Home Assistant CoreとFrigateという2つのソフトウェアが、本体に内蔵されています。

 Home Assistantは、メーカーの壁を超えてさまざまなスマートデバイスを統合管理できるオープンソースのプラットフォームです。SwitchBotだけでなく、Philips HueやGoogle Nest、あるいはAPIを持つありとあらゆるデバイスを一つの環境で管理でき、複雑な自動化もYAMLで柔軟に書けます。「Aブランドのセンサーが反応したらBブランドの照明を点ける」といったことがメーカーを跨いで当然のようにできるのが強みで、世界中のスマートホーム愛好家が使っており、カスタム統合やコミュニティの情報も非常に充実しています。

 従来はHome Assistantを動かすために、Raspberry PiやNUCのような小型PCを別途用意し、OSをインストールしてセットアップする、という手間が必要でした。スマートホームに興味はあっても、その入口のハードルで挫折した方も多いはず。何を隠そう筆者も、一昨年に試そうとして挫折しました。それがAI Hubでは本体に最初から入っており、SwitchBotアプリ経由でセットアップが完結します。

 そしてFrigateは、カメラ映像をローカルでリアルタイム解析するオープンソースのNVR(ネットワークビデオレコーダー)です。クラウドを使わず本体内のチップで人・ペット・車両などを識別し、そのイベントや画像データをAPIで取得できます。AI HubのAI+機能も、内部ではFrigateが映像解析の下支えをしています。

 この2つが1台に収まっており、かつ動かすだけの処理能力(6TOPS AIチップ)を持っているのがAI Hubです。Home Assistantを簡単に動かすことができる「Home Assistant Green」はいつの間にか値上げし、Bluetoothすら搭載されない最低構成でも2.4万円。そう考えると、AIチップを載せて定価3.9万円(そして大抵割引されている)AI Hubに価値はあると言えそうです。

 なお、使用中に一度、Frigateが突然動作を停止したことがありました。調べてみると、付属の16GB microSDが録画でいっぱいになっていたのが原因でした。通常は古い録画から自動削除されるはずのところ、何らかの理由でそれが機能していなかったようです。microSDカードを取り出し、Recordingsフォルダを削除することで解消しました。ストレージ管理まわりはまだ改善の余地がありそうで、定期的に確認するか、大容量のmicroSDか外付けHDDを最初から用意しておくことをおすすめします。

スマートホームDIYの「スターターキット」として

 Home AssistantとFrigateが使えるということは、公式が想定していない使い方を自分で作れる、ということでもあります。筆者はこの環境を使って、いくつか自分向けのシステムを構築しました。

 一番シンプルなのは「帰宅時にドアを開けた瞬間に電気をつける」もの。これ、意外と出来ないんですよね。Google HomeやSwitchBotアプリからだと、「帰宅時に点灯」はできても「帰宅してドアを開けたタイミングで点灯」はできない。ドアを開けたタイミング、というのがミソでして、単に帰宅時とするとスマホの位置情報から判定するので、帰って数十秒後に光るか、逆に早く反応しすぎて「あれ、電気つけっぱなしだった?」と焦ってしまう問題が生じるのです。Home Assistantがあることで、設定の自由度と他社デバイスとの組み合わせが格段に広がります。

 もう少し凝ったことをしたくなると、Frigateのカメラ画像をローカルAIに渡して言語化し、その結果をGoogle Homeのスピーカーに合成音声でキャストするシステムも作りました。「誰かが帰ってきた」「郵便が届いた」といった出来事をリビングのスピーカーに喋らせることもできます。Google Homeへのキャスト部分は、Home Assistantがあることで構築がずっと簡便になりました。これ、Home Assistantなしでやろうとすると結構しんどいのです。

 そして、この2つを組み合わせた「寝坊防止アラーム」は毎日使っています。ローカルAIにカメラ画像を解析させて、ベッドで寝ていないか・ソファで二度寝していないか、寝ている限りしつこくスピーカーから声掛けし続ける、というシステムです。

 普通のアラームは止めれば終わりですが、これは「起きたかどうかをAIが判断する」のでごまかしが効きません。メーカーが製品として実装することはおそらく永遠にないであろう、完全に自分向けのニッチな機能ですが、こういうものを「ハードウェアをゼロから揃えなくても」作れる環境ができているのが、AI Hubの隠れた価値です。

 SwitchBotが意図した使い方でなくとも、API・MQTT・ローカルネットワークを通じてHome AssistantやFrigateのデータを引っ張ることができる。想像力と時間がある人にとっては、相当に「遊べる」製品です。

OpenClawとの組み合わせでさらに先へ

 さらに、最近登場したOpenClawという存在がこの環境をもう一段階おもしろくしています。OpenClawはGitHubで7万近いスターを持つオープンソースのAIエージェントで、Home AssistantのMCP(Model Context Protocol)サーバーと連携することや、直接APIをたたくことで、AIがオートメーションの作成・デバッグ・提案を自然言語で行えるようになります。

 従来、Home Assistantのオートメーションを組むにはYAMLを書くか、GUIで条件を積み上げていく必要がありました。それがOpenClawを使うと、「夕方6時になったら気温に応じてエアコンを設定してリビングの照明も暖色にして」とチャットするだけで、AIが必要な設定を考えて実行してくれます。うまく動かないときは「さっきの自動化が動いていないんだけど」と伝えれば、ログを確認してデバッグもしてくれます。

 OpenClaw自体はAI Hub上でも動かせることを確認しています。ただ、OpenClawはそれなりの処理リソースを使うため、AI Hub上での動作は正直なところ若干もったいない使い方でもあります。別のマシンから接続して使う方が快適ですが、「まずHome Assistantが動く環境を用意したい」という点でAI Hubはスタート地点としての役割を果たしてくれます。

 AIがオートメーション設計を手伝い、カメラがAIの目になり、スピーカーがAIの声になる。そういう「AIが統合されたスマートホーム」を始める選択肢として、Home AssistantとFrigateが入ったAI Hubは、今のところ手頃な入口のひとつです。

総評

 SwitchBot AI Hubは、SwitchBot製品の中でも間違いなくトップクラスに尖った製品です。本体3万9980円にAI+サブスクリプションの月額2980円(年間3万5760円)という価格は、スマートホームの入門としてはかなりの投資で、しかもカメラやSwitchBotデバイスがある程度揃っていないと真価を発揮しません。そもそも本体には赤外線リモコン機能がないため、エアコンなど赤外線家電を使い続けるならHub 2やHub 3との併用が必要です。既存のHubシリーズの上位互換ではなく、別カテゴリーの製品だと理解しておく必要があります。

 AI+の見守り機能にしても、想定されているユースケース(家族の見守り・ペット管理)をがっちり持っていない一人暮らしには、月額2980円を払い続ける動機を見出しにくいのが正直なところです。

 一方で、Home AssistantとFrigateが最初から動いているというポイントは、スマートホームを極めたいと考えている人にとって相当な価値があります。従来はRaspberry Piの調達・セットアップから始まっていた世界が、SwitchBotアプリの延長線上で入門できるようになるのですから。筆者のようにSwitchBotが意図していない使い方でも遊べてしまうのも、この製品の大きな魅力です。

 「家族やペットの見守りをAIに任せたい」か「スマートホームをAIと一緒に自分で作り込む遊び場が欲しい」。このどちらかに当てはまるなら、間違いなく検討する価値のある製品です。家、あるいはAIが「視て、考えて、動く」スマートホームへの入口として、一歩踏み込む準備ができている人に向けた製品です。

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