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さらばiCloud?容量たっぷりおうちクラウド、UGREENのNAS「DH4300 Plus」レビュー

 スマホの写真やPCの動画、皆さんどこに保存してますか?

 雑多に保存してたり、外付けHDDやクラウドにバラバラ……という人、多いと思います。UGREEN「DH4300 Plus」は、そんなデータを全部まとめておける4ベイNASです。低価格ながらも結構しっかりした機能が魅力です。

 最近はiPhoneを持ち出すことが増えたのですが、iCloudは(Windowsなど他社製品も含めたマルチデバイスでは尚更)使い使いにくく、Google Driveのアプリは最新APIへの対応をサボってるせいでスリープやバックグラウンド中のアップロードが止まるなど、使い勝手が悪いです。さらに保存容量が増えれば増えるほど、月額の支出も増えていきます。年間でそこそこ良いガジェットが買えるくらいの金額になります。

 そう、そこでNASです。自分の家のネットワークに、スマホやPCの保存領域を置いてしまうのです。HDDは4つ積むことが出来ます。価格も公式ストアの通常価格が税込おおよそ5万9880円で、それほど高くありません。

 本体はやや背の高いキューブ型。長さ155×幅155×高さ215.7mmで、一般的な4ベイNASより一回りコンパクトにまとまっています。色は落ち着いたグレー寄りのブラックで、正面には電源ボタンとステータスLED、NFCタッチ用のマーク、そしてUSB Type-Cポートのみという非常にミニマルな顔つきです。

 背面には2.5GbE LANポートが1つ、USB 3.2 Gen1 Type-Aが2つ、4K出力に対応したHDMI、そして電源端子を搭載します。前面のType-Cと合わせて合計3ポートのUSBがあり、外付けSSDのバックアップやUPS接続にも対応できます。

 DH4300 Plusは、3.5インチまたは2.5インチのSATAドライブを4台まで積めます。

 今回チョイスしたのは8TBを4つです。

 まずはHDDを4ベイに装着し、LANケーブルでルーターにつなぎます。電源を入れたら、セットアップへ。スマホで本体のNFCマーク部分にタッチすると、UGREENのNASアプリに誘導。ここからそのまま初期設定も可能ですし、PCからの初期設定も可能。

 フタは磁石で固定する仕組み。前面にはNFCロゴがあり、スマホからのセットアップも可能。

 そんなわけで、セットアップを開始。筆者は大画面でセットアップしたいので普通にPCを用いたので、NFCいらないんじゃないかなと思いましたが、普通にスマホアプリのインストールに飛べて、あったらあったで楽でした。

 セットアップ中は特に難しいことはないですが、HDDの構成選択画面で、RAID5がおすすめとの文字が。確かに、予備HDDを1つで、残り3つのHDDに記憶できるので、より大容量の構成にでき、容量効率もコスパもよくて魅力的です。

 ただし「HDD1台までなら壊れても平気」という安心感が、油断にもなります。4ベイNASでRAID5を組んでいて、再構築中など、2台目が故障してボリュームごと死亡、データをまとめて失うという事例もあります。RAIDはあくまで冗長化。

 では実際にどう組むか。RAID6かRAID10のどちらかで迷いました。どちらも4台中2台ぶんを冗長に回す構成なので、有効容量は約16TBと同じ。ただし「どう壊れても耐えられるか」「どんな使い方をするか」で性格がまったく違います。

 RAID10はいちばんイメージしやすくて、2台ずつペアを組んでミラー(丸コピー)し、その2組を束ねてストライピングする方式です。同じ内容のHDDが常に2台あるので、片方が壊れてももう片方からそのまま読み出せるし、リビルドもほぼ「丸コピー」で済む。ランダムアクセス性能も高く、様々な重たいデータや細かいファイルをバンバン読ませる用途には向いています。その代わり、同じペアの2台が同時に死ぬとアウト、という弱点があります。

 一方RAID6は、「コピー」ではなく「答え合わせ用の情報」を2台ぶん持つ方式です。複数台のHDDに分散して書いたデータから、数式(パリティ演算)で「足りない1台ぶん」「足りない2台ぶん」を逆算できるようにしておくイメージ。実データ+パリティを合わせて4台にばらまいておくことで、どの2台が同時に壊れても式が解ける=データを復元できる、というのがRAID6の強みです。書き込み時やリビルド時に計算コストはかかりますが、4ベイ構成でも「任意の2台までOK」という安心感はかなり大きいところ。

 今回のUGREEN NASは、写真や動画、各種アーカイブなどをどっさり放り込む倉庫として使う想定です。多少書き込みが重くなっても、どの2台が同時に壊れても踏ん張ってくれるRAID6のほうが安心して運用できると判断しました。

 RAID構成が決まったら、あとはボリュームの作成とファイルシステムの選択です。UGREENのウィザードでは、まず「このストレージプールを何GBに割り当てるか」というスライダーが出てきますが、今回はシンプルに、RAID6で確保できる容量をまるごと「ボリューム1」に割り当てました。

 次に悩ましいのが、ファイルシステムとして「ext4」と「Btrfs」のどちらを選ぶか。ext4は昔からある鉄板のファイルシステムで、速度も出やすいです。対してBtrfsは、若干のオーバーヘッドがあるものの、共有フォルダ単位でのスナップショットやコピーオンライト、データ整合性チェックなど、NASらしい便利機能をフルに使えます。速度よりも安全に振り、Btrfsを選択してみました。

 現在はまだ繋いでませんが、外付けHDDもNASに接続予定。このように守りを固めておけば、あとは存分にデータを詰め込んで、トラブルが起きたときに「まあ最悪どこか1段が壊れても何とかなるだろう」と笑っていられる程度には安心して付き合えるはずです。

 なお初期設定時には8TB×4だけあって相当な時間が必要で、11時間ほど掛かりました。NAS側が勝手に処理してるだけで、その間にPC側で何かすべきことは特になし。

 UGREEN NASyncシリーズは基本ソフトウェアとしてLinuxベースの「UGOS Pro」を採用しており、ブラウザからアクセスする管理画面は比較的わかりやすいUIでした。ストレージプールやボリューム、共有フォルダの作成もウィザード形式で案内されます。ユーザーごとの権限設定や、家族用の共有フォルダなども簡単に切り分け可能です。

 SoCはRockchip RK3588Cという8コア構成のチップを採用し、メモリは8GB搭載。ハイエンドサーバー級とまではいかないものの、写真バックアップやファイル共有、メディアサーバー用途といった、家庭用NASとして想定される処理で困る場面はほぼなさそうです。性能が高いのは、複数端末から同時アクセスした場合の処理低下が少ないので、家族で使う場合にも良いです。

 設定でSMBを有効化してWindowsのファイラーからファイルを転送できるようにしてみました。Btrfsでデータチェックサム、スナップショット対応など安全性を重視したことで、オーバーヘッドが少し増えてext4よりわずかに重いか?と思ったのですが、一眼で撮影した写真をNASに送ってみたところ、110Mb/sほど。速度はファイラーやNASの画面右上の表示から確認できます。1GbE理論値125MB/s辺りがボトルネックになるから速度はこんなもんですかね。

 とはいえもう少し高速な読み書きは狙いたいので、2.5GbE対応のWi-Fiルーターを購入しました。届き次第、そちらとの組み合わせはまた別途レポしたいと思います。たぶん200MB/s以上の速度は出るでしょう。

 14.5TBの大容量で余裕があります。散逸したデータ、重要なデータをPCからぽんぽん放り込めるのは良いですね。PC側はWebブラウザから管理画面にアクセスし、共有フォルダを作ってドラッグ&ドロップでコピーするだけです。

 さて、スマホからもファイルを放り込んでみます。iPhone Airからファイルを転送してみましたが、快適でした。iPhoneのバックグラウンドや消灯でも止まらずに同期。途中で外出して途切れたりしても、家に戻れば続きからの再開は容易。

 なお、一般的にAndroidアプリよりもiOSアプリの方が出来が良いことが多いのですが、iPhoneのGoogle Driveだけは同期が頻繁に止まりまくるので、Androidアプリの方が完全に上です。結構ここがストレスだったのですが、UGREENのNASはiPhoneアプリでも使いやすいので助かります。

 とはいえ、いちいち手動でバックアップするのも面倒なので、NAS側にインストール可能なアプリから、写真バックアップを有効化も可能。バックアップアプリと写真アプリを入れて有効化すると、スマホのカメラロールを自動でDH4300 Plusに送り込めます。

 なお、モバイルデータでのバックアップも設定は可能です。

 また、屋外からのNASへのアクセスも可能。「コントロールパネル → デバイス接続 → リモートアクセス」を開き、「UGREENlinkリモートアクセスサービス」を有効化。UGREEN クラウドアカウントでログインしたスマホアプリから、自宅NASへのアクセスが可能。月額課金のクラウドサービスへの依存度を下げることが可能になってきます。

 総じてUGREEN「NASync DH4300 Plus」は、「月額のクラウド料金を抑えつつ、写真や動画をしっかり守りたい」人にとっての普通に使えるコスパの良いNASです。相応のスペックで家族利用にも耐えます。クラウド頼みの環境にモヤモヤしている人こそ、一度NASによる「自宅クラウド」的選択肢を検討してみる価値は大きいはずです。

項目 内容
製品名 UGREEN NASync DH4300 Plus
分類 4ベイNASキット(ストレージ別売)
OS UGOS Pro(Linuxベース)
SoC Rockchip RK3588C(Cortex A76×4+A55×4、NPU内蔵)
実行メモリ 8GB LPDDR4X(オンボード固定、増設不可)
システム用ストレージ 32GB eMMC
ドライブベイ 3.5インチ/2.5インチ SATA HDD/SSD×4
最大ストレージ容量 120TB(30TB×4)
対応RAID Basic、JBOD、RAID0、RAID1、RAID5、RAID6、RAID10
ネットワーク 2.5GbE LAN×1
USB端子 前面 USB 3.2 Gen1 Type C×1、背面 USB 3.2 Gen1 Type A×2
映像出力 HDMI×1(4K 60Hz対応)
その他機能 NFCワンタッチ接続、スマホアプリ対応、AIアルバム機能
本体サイズ 155×155×215.7mm
重量 約1.5kg(ストレージなし)
保証 2年
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