
筆者がこれまで使っていたのは、Keychron K3 V2というミニマルな無線キーボードです。見た目に惹かれて購入したものの、3年ほど使い続けた結果、バッテリーがかなり劣化し、数日に一度は充電が必要な状態になっていました。

Keychron K3 V2
ちょうど買い替えを考えていたタイミングで、Xで見かけた「Cornix LP」という分割無線キーボードに一目ぼれしました。分割キーボードには以前から興味があったものの、キー数が極端に少ないモデルが多く、正直ハードルが高そうで敬遠していました。しかし、Cornixは価格も2万円台と比較的手頃で、何よりデザインが自分好みだったため、購入しました。
今回は、Cornix LPを1カ月ほど使ってみた率直な感想をまとめていきます。
そもそも分割キーボードとは?
分割キーボードとは、左右に物理的に分かれた構造を持つキーボードのことです。一般的な一体型キーボードと違って、左右のキーセットを自由な位置に配置できるため、肩幅に合わせて自然な姿勢でタイピングが可能になります。これにより、肩こりや手首の疲れといった身体的な負担を軽減できる可能性があります。

中央にスペースができるため、トラックパッドやノートを置くといったデスク活用の自由度も広がります。レイアウトも、カラムスタッガード(縦方向のずれ)やオーソリニア(格子状)といった指の動きに合わせた配列が多く、運指の矯正に役立つ場合があります。
ただし、価格帯がやや高めであることや、キー数が少ない分レイヤー操作が前提になるなど、導入には少し準備が必要です。分割キーボードに手を出したものの、結局なじめなくて元に戻った人を筆者は何人も見ているため、一癖あるジャンルのキーボードといえます。
Cornix LPの外観と第一印象
Cornixを触ってまず感じたのは、しっかり作られているという点です。筐体はアルミ削り出しで、軽量ながらも剛性感があります。表面はサンドブラスト仕上げで光沢は控えめ、指紋も付きにくく、実用面でも扱いやすい印象です。

親指まわりのパーツにはアクリルが使われており、内部の基板がうっすら見える構造になっています。好みは分かれるかもしれませんが、メカ感があって個人的には気に入っています。正面から見ても主張が強すぎない点も好印象です。

サイズは想像以上にコンパクトで、片手で持てるくらいの軽さです。両手分でも600g程度なので、モバイル用途でも問題ありません。ロープロファイル(一般的なキースイッチよりも高さが低く、薄型設計)の採用により、見た目は非常にスッキリしています。

全体としては無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインが魅力です。分割キーボードには自作前提の製品が多く、ケースや配線周りにDIY感が残るものも見られますが、Cornixは完成品としての仕上がりが高く、市販品と比べても遜色ない品質だと感じました。
Cornixを使って感じたメリット
肩を開いて自然な姿勢でタイピングできるようになる
最初に感じた変化は姿勢の違いです。従来の一体型キーボードでは肩が内に入りがちで、無意識に猫背になっていましたが、Cornixは左右のユニットを好きな位置に配置できるため、自然と肩を開いた状態でタイピングできます。
正直、分割キーボードにしてから疲労感が劇的に減ったという実感は今のところありませんが、以前のKeychron K3 V2に戻してみると窮屈に感じる場面が明らかにありました。猫背にならずに長時間打てるのは確かな変化ですし、背中への負担も減っているはずなので、もっと長期間使用して検証すれば違いは現れるのかもしれません。

テンティング機能で手首の負担が減る
Cornixにはテンティング(傾斜)機能が標準で備わっており、左右のキーボードに角度をつけられます。筆者は12度に固定して使用していますが、手首にかかる無理なひねりが減り、より自然な姿勢で入力できるようになりました。

傾斜は6・12・18・24度の段階で設定でき、足回りの剛性も高いため、角度をつけた状態でもガタつきはほとんどありません。かなり大きな角度を好む方もいますが、筆者は12度がしっくりきます。

12度
レイヤー操作に慣れると入力効率が上がる
Cornixは、いわゆる40%キーボードに分類され、キー数はわずか48個です。数字キーすら物理的に存在しません。最初は戸惑いましたが、寿司打(タイピング練習サイト)で毎日30分ほど練習し、2〜3週間でタイピング速度が戻りました。
キーマップはVialというツールで編集します。どのキーに何を割り当てるかを視覚的に設定でき、記号や数字、マクロの配置も簡単に変更できます。


特定のキーを押している状態だと打てるキーが変わる
数字や記号の入力は、最初の大きな壁です。しかし、慣れてしまえば「どこを押せば何が出るか」が自然と指になじむようになりました。特に親指のホームポジションにレイヤー切り替えキーを配置すると、手の移動量を最小限に抑えられるため、効率が上がります。
一般的なキーボードからの移行は不安が伴いますが、慣れると「実は40%キーボードが最適なのではないか」と感じるほどしっくりきます。キーが少ないことで手の移動が減り、長時間でも疲れにくくなる利点は実感できます。
また、Cornixはキースイッチの交換にも対応しており、好みに合わせてスイッチを入れ替えられます。筆者は静かなオフィスで使うには打鍵音がやや気になるため、静音タイプのキースイッチに交換して使用しています。

持ち運びやすく、モバイル用途にも向いている
片側約280gと軽量で、2ユニット合わせても600g未満です。サイズもコンパクトなので、MacBookと一緒に持ち歩いても苦になりません。分割キーボードの多くは有線接続ですが、Cornixは無線接続に対応しているためケーブルが不要です。モバイル機と接続すれば、外出先でもすぐに文章を書き始められます。
特に屋外で作業する人にとっては、「配線が不要」「コンパクト」「ワイヤレスでも安定接続」という3点を満たしているだけで、持ち出すハードルが下がります。出先のちょっとした空き時間にすぐタイピングに移れるのは想像以上に便利でした。

総評
分割キーボードデビューには、Cornix LPは適した製品だと感じます。
手に届きやすい価格帯であり、アルミ筐体の高い質感、テンティング機構、スケルトンの美しいデザインと、見た目も使い勝手も申し分ありません。打鍵感も軽快で反応が良く、所有感も高い製品です。

一方で、打鍵音はやや高めで、静かな環境では気になることもあります。静音スイッチへの交換やキーキャップの素材変更などで自分好みに調整する余地がある点も、この製品の楽しみの一つです。
Cornix LPを使い始めてから、キーボード沼に片足を踏み入れた感覚があります。最近ではキーボードとマウスの移動が面倒に感じる場面も増え、トラックボール内蔵型など、ポインティングデバイスを内蔵した分割キーボードにも興味が湧いています。
将来的に理想のレイアウトを追い求めて自作に手を出す可能性もありますが、それも含めて楽しめる入口的な製品だと言えるでしょう。
Cornix LPの購入方法
Cornix LPは、いくつかのルートで購入できます。
おすすめなのは、開発元が運営する JezailFunder Japanの公式ショップです。タイミングによって受注生産の予約を受け付けており、申し込めば数カ月後に手元に届くことが多いようです。即納ではありませんが、確実に手に入る方法として安心感があります。
そのほか、秋葉原の遊舎工房でも不定期に取り扱いがあり、タイミングが合えば店頭やオンラインで購入できることもあります。また、メルカリやYahoo!フリマなどのフリマアプリに出品されることもありますが、相場はやや高めの傾向です。
購入を検討している方は、まず公式ショップの予約情報をチェックしてみると良いでしょう。




















