古いiPhoneのCPU性能を制限する「Appleタイマー」の存在が発覚。ついに続々と集団訴訟へ

 iPhoneを使い続けると、性能が低下することが判明。大きな騒動となっています。

異常に処理性能の低下したiPhone、バッテリー交換で処理性能が倍近く?と話題に

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 海外掲示板Redditにて、iPhoneの性能低下についての議論が沸き起こりました。

 iPhoneの異常な処理速度低下に悩まされていたユーザーが、ベンチマークテストを実施すると、かなり処理性能が低いという結果に。しかし電池交換後、Geekbenchでのベンチマークスコアが倍近くになったとのこと。体感での動作感も大きく向上したとのことです。

 当然そんなことがあるはずないと否定のコメントも入ったものの、「自分も電池交換後にベンチマーク結果が向上した」という同様の報告が次々と多数寄せられ、スレッドのレス数は数百に。どの報告も古いiPhone、特にiPhone 6 / 6Plus / 6s / 6sPlusに集中しているようです。

 これらのiPhoneでは、バッテリー残量が50~60%で電源が落ちるという問題が発生し、Appleがバッテリー無料交換プログラムを実施したことがあります。この時、想像以上に影響を受けるiPhoneの台数が多かったので、iOS 10.2.1をリリースし、ソフトウェアでの問題解決も図られたのです。この件との関連も疑われました。

 また、正常なiPhoneにおいても、電池残量が少なくなった時、CPUクロックが制限され動作が緩慢になり、ベンチマークスコアも低下します。バッテリーの出力電圧の低下を検知し、クロックを意図的に制限しているのでは、との推測もなされました。

Geekbenchのグラフ公開で憶測は確信へ

 ネットユーザーの憶測に過ぎなかった事象の検証を公表したのがGeekbenchの公式ブログ。iPhoneとiOSのバージョンごとにベンチマーク結果がどうだったかの集計結果をグラフにして公開しました。

 iOS 10.2.0のiPhone 6sは、ベンチマーク結果にばらつきはありません。全て2500あたりでスコアが出るほど安定しています。

iPhone 6s - 10.2.0

 これに対し、電池問題を解消したとされるiOS 10.2.1では、2500以外のベンチマークスコアの機体が多数現れます。

iPhone 6s - 10.2.1

 さらにiOS 11.2ではこの傾向が顕著に。どうやら電池の状態によって、Appleはパフォーマンスを5段階ほど低下させていくようだとの説が濃厚になります。

iPhone 6s - 11.2.0

Apple、性能制限の存在を公式に認める

2017-11-03 04.42.43

 こうした噂から議論が巻き起こり、ついにAppleはTechCrunchに対して公式コメントを送りました。

 それによると、リチウムイオン電池は古くなると出力電圧が低下し、シャットダウンが起きることがあります。これを防ぐため、パフォーマンスを抑制させる処理を行っているとのこと。

 Appleの目標はあくまでデバイスの寿命を延ばすことでユーザー体験を向上させることにある、と主張しています。

 そのような処理がなされているとAppleが認めたデバイスは以下の通り。

  • iPhone 7
  • iPhone 6s
  • iPhone 6
  • iPhone SE

Appleに対する集団訴訟が提起

iphone-7-iphone-6s

 こうしたパフォーマンス制限を、ユーザーは望んでいないし同意もしていないとして、米ロサンゼルス在住のiPhone 7ユーザーであるStefan Bogdanovich氏とDakota Speas氏が、集団訴訟を提起。Appleに対し損害賠償とパフォーマンス制限の停止を求めています。

 制限の目的はApple公式コメントにあるようなユーザー体験向上などではなく、新機種に買い換えさせることを強要するものであると主張。制限についてはその存在自体が開示されておらず、そもそも契約違反に当たるとしています。

 訴訟を提起した両氏は、ユーザーにこの集団訴訟に参加するように呼びかけています。

 さらにこれとは別の訴訟を、米国在住の5人のiPhoneユーザーも提起。Appleが消費者保護法に違反する欺瞞的で不道徳で非倫理的な行為を行ったとして、損害賠償を求めています。この騒動は今後も大きくなっていきそうです。

Appleはユーザーへの説明責任を果たすべき

 昔、1年のメーカー保証期間が終わると同時に正確に故障する「SONYタイマー」などという都市伝説がありましたが、これではもはや「Appleタイマー」です。

 パフォーマンスの低下を受け入れることで、電池が持ち予期しないシャットダウンを回避できるという仕様は、必ずしも間違っているとは言い切れません。

 しかし、どの程度利用したら、どこまでCPUクロックが低下するのか?その場合、どの程度の電池交換費用が発生する可能性があるのか?購入時点で消費者に説明する責任がAppleにあると思います。それを行わず、黙って制限していたのですから、当然Appleの企業姿勢には問題があると思います。

 今後の訴訟の推移を見守りたいところです。

続報:Appleが謝罪

2017年12月28日追記:Appleが謝罪しました。