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「修理する権利」法案、アップルのロビイングで延期に。

 欧米で高まる「修理する権利(Right to Repair)」。これをアメリカで体現する州法が、Appleのお膝元であるカリフォルニアの州議会で2019年2月に提出されました。

 この法案1163は、メーカーに公正な価格で公式の部品、診断ツール、修理マニュアルを、中小企業や消費者に提供することを強制する画期的なものでした。

 こうした法律は他の20の州でも検討されているにも関わらず、カリフォルニア州では提出者のSusan Talamantes-Eggman議員によって取り下げられ、法案提出は2020年に延期されるとのこと。

 Motherboardによれば、Appleがカリフォルニア州議員との会談にiPhoneを持ってきて「消費者がリチウムイオン電池に穴を空けて自分自身を傷つける可能性がある」とロビイングしたといいます。この件は、修理する権利に好意的な海外メディアからは「消費者に優しい」と皮肉られています。

 iFixitの共同創設者Kyle Wiensは、iPhoneのバッテリーに穴を開ける可能性についてThe Vergeに訊かれると、笑いながら「ありえる」と認めつつも、「めったに起こらないことだ」、そして「iPhoneで怪我をしているのは、画面がひび割れて指が切れてしまう人だけだ」「何百万人もの人がiFixitガイドを使ってiPhoneの修理成功しています」といいます。

 Appleのロビイングの他にも、CompTIAや大手メーカー、そしてVerizon、AT&T、T-Mobileといった携帯キャリア関連の業界団体が、議会のプライバシーおよび消費者保護委員会のメンバーに、立法に反対する書簡を送っていたとのこと。

 AppleやCompTIAは「独自のガイドやツールによってハッカーはセキュリティ保護をより簡単に回避でき、消費者だけではなく全てのネットユーザーに危害を加え得る」と主張したと、Motherboardは伝えています。専門家は、こうした主張は明らかに誇張しすぎていると指摘しています。

 消費者団体US PIRGのNathan Proctor氏は「スペアパーツやマニュアルに、安全性とセキュリティの問題があるというのは明らかに馬鹿げている」「何百万人もの人々が独立修理技術者に機器を修理してもらっている」と、Motherboardに語っています。

 Susan Talamantes-Eggman議員は法案成立への後ろ盾が危ういことを延期の背景として語っており、あくまで法案の成立には意欲を示しており、今後数ヶ月のうちに委員会のメンバーと協力してカリフォルニア州で法案実現のための必要な支援を確保していくと述べています。

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