11月11日の発表会にて、ASUSの新しいスマートウォッチZenwatch2が発表されました。以下の2モデルが本日11月13日発売となりました。
一足先に実物を入手し、しばらくの間、駆け足で色々テストも行いましたのでレビューしたいと思います。筆者はAndroid Wear端末などスマートウォッチを数本所有していますので、簡単な比較も行っています。
正直な第一印象
デ、デカイ。これが第一印象でした。お借りした機種は、49mmのブラックの紺の本革ベルト。日頃のスマートウォッチが38mmのApple Watchということもあって、腕の半分を覆うかのような大きさにびっくり。
ラウンドしていますが四角いのでとりわけ大きさが際立ちます。この大きさは超高級時計か、ジョーク時計にしかないですね。一時、デカ時計フェイスブームがありましたが……。日本人男性がギリギリ付けられるサイズかと感じました。展示会でのスタッフさんはスーツだったので似合ってましたが、巨大です。時計としては。
スペックとハードウェア
仕様としては、Snapdragon400、内蔵4Gストレージ、実行メモリ512MB、Bluetooth4.1、ジャイロまでは、昨年の初代ZenWarchと同じ。新たにWi-Fiに対応したので、接続ポイントがあれば自宅にスマートフォンを忘れても通知だけは受け取ることができます。
表面は、本当にわずかにカーブを描くGorilla Glass3。マルチタッチは2点。感度はよく、カーブもあってスワイプなどの操作は快適です。
ただ、画面は中心で外部ベゼルエリアがデカイです。黒い画面に白い表示だと周りが目立ちます。黒い文字盤だとあまり気になりません。本機種の良くないポイントです。
AndroidWear端末は全体にバイブが弱いです。試着の時にアラームなどを試用して、確認したほうが良いですよ。
ステンレス製のボディは適度に高級感があり、バンドも安っぽくありません。ストラップは器具なしで取り外し可能。留め具をポッチで外すタイプ。デカイんですけど、サイドがえぐられているのと薄いのでつけ心地は悪くないです。
また49mmでは一般時計用の22mm時計バンド、45mmでは18mmが使用できます。
とはいえ、後に愛用していた初代Moto360と比べると、これは46mmでした。のでAndroidWearは基本的に大きかったんですな。
さらに初代Zenwatchと比較して、ハードウェアの向上点は、バッテリー持続時間、そして磁石式の充電ケーブルになったところです。初代のような忌々しいクレードルを持ち歩く必要はありません。急速充電にも対応です。アメリカでは2日と書いてある電池持ちですが日本では1.5日とされています。まあ、Ingressでもやらない限りは充分かと思います。また、防水、防塵性にも対応しています。
さらに初代にはなかったクラウンボタンも備えます。残念ながら回りませんが、スリープ解除に押せばいいのは楽ですね。
ハードウェアスペックは初代と同じながらも、Android 5.1にバージョンアップしたせいか、チューニングが最適化されたのか、動作の良さは手元にある初代LG GやMoto360などと比べると雲泥の差。それなりにAndroidWearも快適になってきたなぁ。と実感しました。
思えばAndroidWearは出てからまだ1年半。急激なハードの進化は望めないのかもしれません。
モデル、オプション、価格
この大き過ぎる49mmモデル(WI501Q)の他に、女性向けに45mmモデル(WI502Q)がラインナップされています。違いは画面解像度とバッテリで、純粋に大きさの違いです。ブラック、シルバー、ローズゴールドの各3色に合わせた革バンド、メタル、メタルメッシュを組み合わせた6モデル。市場が盛り上がってないところに一気に6モデルを発表するところにASUSの本気を感じます。
大きさに関わらず、革モデルが2万9800円、メタルバンドが3万6800円(いずれも以下含め税抜価格)。なおメタルバンドは11月下旬、ローズゴールドは12月の発売予定です。色による価格の違いはありません。
まだ、同時発売はスポーツバンド2980円だけですが、メタルバンドが一万円強、皮革バンドが約4000円で発売がアナウンスされています。他社と比較してもリーズナブルに楽しめそうですね。
本体価格は海外に比べて割高ですが、すでに出荷されている欧米では45mmの方が、製造上のコスト高という理由で、プライスが上なのでお買い得なのは小さい方です。あと女性に限らず取り立てて巨大時計がいいという方以外は無条件で小さいのを勧めます。アメリカでの安価さを見ると少し高いかな、と思いますがサイズ違いを同じプライスで出してきたのは、日本のマーケティングが頑張ったのだと思います。
でも小さいと言っても45mmだって結構存在感がありますから、実物を試着してみることをオススメしますよ。
バッテリー比較
Moto360とのバッテリー比較を行いました。1年前の製品なのでバッテリーのへたりもあると思いますが参考値まで。
両者Verは5.11を100%充電し同じスマートフォンとペアリング。通知など同じ動作を8時間行いました(仕事の合間ですが……。)一時間に20件ほどのメール、および他アプリの通知、一時間に一度のマップ操作。一時間に2度ほど音楽を二曲再生のリモコン操作。
8時間後の結果は、Moto360が55%残。Zenwatch2は74%でした。
バッテリー容量サイズの違いはありますが、実用上はZenWatch2の方が電池の持ちが良いといえます。
iOSとペアリングしてみた
公式にはG Watch UrbanからサポートされたAndroidwear for iOS。現在日本で正式対応しているのは、同機も含め、ファーウェイ、ASUSの三機種です。
さて、これで何が出来るかというと基本的にアプリ内蔵のWatchFaceのきりかえ、Google関係のサービス。そして、通知。
通知に関してはiOSで通知されるものは、全部来ます。電話の着信も。部分的にはGoogleの音声呼び出しもできます。Google関連のサービスも連携します。
AndroidWearの特徴である、時計盤の交換が限定的なのは残念ですがiPhoneユーザーで通知さえ来れば良い、という方には検討の価値はあると思います。何よりAppleWatchより安価ですし。
ZenWatch2は買いなのか?
(スマートウォッチとしては)ある程度ヒットしたAppleWatchを受け、しばらく動きに乏しかった印象のあるAndroid Wear陣営も、HUAWEI Watch、そしてタグホイヤーの参入、Moto360 2ndの日本発売アナウンスなど、にわかに活気づいて来ました。
しかし、筆者は違和感を持っています。それはその価格についてです。HUWAEIは5万以上から、タグホイヤーは15万越え、そしてMotoもまた5万は越えてくると思います。
もちろん、それぞれケースの素材など理由はあるのですが。それにしても高すぎる。バッテリーによって数年しか寿命のないガジェット、そして現状で最も役に立つのは通知。画面も丸いか四角いかを除いてほとんど同じです。
また、Apple Watchですらキラーアプリがまだないので、使いこなす方法も人によって未知数。ZenWatch 2はマーケットとしてその間をうまく突いてきました。バンド交換可能でガジェットすぎないビジネスにも使える見た目、三万前後でこのようなスマートウォッチはありません。(Sony SmartWach 3があるではないか?という意見があるかもしれませんが個人的にはガジェットに寄り過ぎていると思います)
スマートフォンが大型化する中、ポケットに収まらなくなりました。せめて通知が分かるスマートウォッチは必要な人には実用的だと思います。
3万も安くはありませんが、国内のそれなりの時計、腕時計の売れ筋は2、3万です。装飾品でもある時計はデザインは重要ですが、といってもケースがどんだけ良くてもAndroid Wearの中身はほぼ同じです。
できるだけ安く、そしてガジェットぽくなく、普通にオンオフに使える、使わなくなってもそこまでお財布に痛くない。まるでSEIKOやCITIZENのそこそこのビジネスウォッチ、エレガントウォッチを使っている方で、それほどのコストは使いたくないユーザー。そんな方にはベストな選択肢の一つではないかと思います。
ただ、iOSの方は値段を除けばAppleWatchよりフルには使えないのをご承知いただいた上でですが。とりたてて高級ではない実用スマートウォッチ、それでいてデザインが悪いわけではない。そんなエントリー、ミドルモデルとしては唯一の製品だと思います。試着して気に入れば、買いだと思います。
他、ASUSについて様々な取材をしてきましたので、別途リポートしたいと思います。