モトローラは、バルセロナで行われているMWC2023にて、「Moto Rizr」とするコンセプトスマートフォンを展示しました。同社は以前にも、フィーチャーフォン時代の名機である「RAZR」のコンセプトを引き継いだ折り畳みスマホの「motorola razr」シリーズを販売していますが、このRizrも同じようなコンセプトです。
Moto Rizrは画面を縦方向に伸縮できるコンセプトスマートフォン。フィーチャーフォン時代のMotorola Rizrは日本未発表のスライド式携帯電話で、一般的なガラケーと異なり画面とテンキーがほぼ平行である点が類似していることから、まっすぐにしか伸びないローラブルスマホの名前として起用されたのでしょう。
Motorolaはこのコンセプト自体を以前よりちょくちょくお披露目していましたが、この度「Rizr」という名称をつけたうえ、現地で実際に触れるようになりました。Rizrは本体下部で画面を巻き取るローラブルスマホで、最もコンパクトな状態でアスペクト比15:9の5型サイズにまで小型化し、最大まで伸ばすと22:9の6.5インチのスマホへと大型化します。横幅はさほど大きくないため、小さくすれば容易にポケットに入ります。
ディスプレイはBOE製。折り畳みスマホは主にヒンジとその周辺のディスプレイが弱点ですが、ローラブルスマホでは「折り目」が存在しないため画面にへこみなどが生じない一方、巻き取る構造上、まともな画面保護フィルムは使えず、またエッジディスプレイの「画面が割れやすい」という弱点をさらに増幅させてしまう面もあるため、ローラブルスマホがフォルダブルスマホに比べて耐久性に優れているかどうかは未知数なところがあります。
画面は物理ボタンを押すことによって自動で伸縮。動画を再生する際に自動でアスペクト比を変化させることも可能です。本体背面は巻き取ったディスプレイをサブディスプレイとして使用することができ、折り畳みスマホなどと同じく、高画質な背面カメラで確認しながら撮影することや、また独特な「サブディスプレイに笑った顔を表示させる」という、ある意味写真館で子供の視線をカメラに集めるのと同じような機能も用意されています。
画面上部のスピーカーとインカメラはそのままの状態では見えず、もっともコンパクトな状態からさらに画面を巻き取ることにより表面に出てきます。OPPO Find XやMi Mix 3など、かつて見かけたポップアップ式のカメラを彷彿とさせますね。
本体重量は210gと、Galaxy Z Flip4より重ため。
問題なのはバッテリーで、コンセプトモデルとはいえたったの3000mAhしか搭載していないようです。Galaxy Z Flip4は3700mAhで、Rizrが採用するタイプのローラブルスマホでは極端に薄い領域があるため、バッテリー容量の少なさは多少仕方のないところではありますが、伸縮に都度モーターを使う必要があるRizrと、バッテリーのリソースを一般的なスマホと同じように使えるGalaxy Z Flip4などとはかなり差が開きそうです。
今回のRizrはあくまでコンセプトモデルであるため、このままの形で販売に至ることはまず考えられませんが、すでに最初のローラブルスマホのコンセプトが発表されてからかなり時間が経過しており、ローラブルスマホに限らずそろそろ何らかの形で製品化されてもおかしくはないよな、と思うところではあります。