フランスのパリで発生した、自称「イスラム国」による同時多発テロを受けて、世界最大のSNSであるFacebookは、フランス市民への共感とテロへの抗議の意思を表明できるよう、ユーザーが自分のアイコンをフランス国旗に合成する機能を追加しました。
設定方法は、この機能を利用したユーザーのアイコン変更通知投稿の末尾に、以下の様な「パリ市民の安全と平和を願うプロフィール写真を設定しよう」とのメッセージが出るので、指示に従い、既存の投稿写真の中から選択するだけ。簡単に合成することが出来ます。
FacebookのCEOであるザッカーバーグMark Zuckerberg氏もアイコンを変更済みです。
現在の世界秩序は、ウェストファリア条約以降、明確な国境線と領域を持つ近代主権国民国家によって成立しています。いわゆる「イスラム国」を自称し、「カリフ制国家」を標榜する集団は、この原則を破壊するものです。パリ同時多発テロは、全ての国家にとって衝撃であり、脅威であると言えます。
アメリカ最高裁の同性婚合憲判決時にも、Facebookはレインボーアイコンへの変更機能を提供していましたが、世界にとって共通のトピックについてささやかな意思表明のできる機能を、素早く提供するFacebookの企業姿勢には、私は共感します。
ただし人々が怒りのあまり、テロへの反対を表明するのみならず、排外主義に走ることについては強く戒めなければなりません。イスラム教徒が、移住先の国で差別的な待遇を受けるほど、ムスリムにとって理想的な政治体制とも言われるカリフ制を看板に掲げる自称「イスラム国」に惹きつけられかねません。それは自称「イスラム国」の思う壺です。
パリの同時多発テロを機会に、怒るだけではなく、今後どうすべきかを冷静に考えることが世界の諸国民にとって真に求められているのだと思います。