日本経済新聞は、NTT docomoが携帯事業者として第3位に転落すると報じました。上場以来初の事態となります。
これは2015年3月期の連結業績のうち、営業利益が6500億円前後にまで減少することによるもの。SoftBankの営業利益は1兆円、KDDIは7300億円。
原因としては、NTT docomoが導入した新料金プラン「カケ・ホーダイ&パケあえる」が挙げられています。これは自社・他社・固定電話に対しての音声通話料を無料にする、完全通話定額制と呼ばれるもの。従来は743円(税別)、934円(税別)だった基本使用料ですが、新料金プランの基本料は2700円(税別)に値上げされています。通話料を節約せずにたくさん電話をしていたユーザーにとっては、通話料を安く済ませられる可能性があります。
このような値上げは、完全通話低額を売りにして、ユーザーを高額な新料金プランに誘導することで、ユーザー全体からの利益を増やす狙いがあります。この狙いのもと、ドコモは新料金プランへの移行に躍起です。旧料金プランの新規受付を終了した上で、ユーザーの機種変更時、新料金プランに変更しなければ月々サポートを付与しないように割引適用条件が変更されており、ユーザーは新料金プランを選ぶしか無いような改悪が進んでいます。契約数1000万人突破は当然と言えます。
通話をたくさんする通話ヘビーユーザーが得をして、あまり通話しないユーザーが損をする。ざっくり言えば、それが今のドコモの新料金プランです。あまり通話しないユーザーは、新料金プランに切り替えても損をする、いわば搾取されるので、旧プランを維持します。しかし得をする通話ヘビーユーザーや法人ユーザーは、安くするために当然新料金プランに切り替えます。つまり搾取する側の人間だけが先に移ってしまい、それを支える、搾取される側のユーザーがまだまだ新料金プランに切り替えていません。そのため、今回のドコモの減収に繋がり、3位転落の観測が強まっているわけです。完全通話定額制を提供するにはお金がかかりますからね。
このため、通話ヘビーユーザーを支えるべく、あまり通話をしないユーザーの皆さんが新料金プランを契約して、多くの電話代を支払ってくれれば、この減収に歯止めがかかる、ということになります。
ドコモユーザーの皆さんがこのまま機種変更すれば、この構造は変わりません。ユーザーは他社・MVNOを選ぶのか、それともこのまま残留するのか。これからの展開に注目です。