NTT docomoは、スマートフォン購入時に受けられる通信料からの割引「月々サポート」の適応条件を変更しました。9月1日以降、従来の「Xi総合プラン」を維持する場合、機種購入によって受けられるはずの月々サポートを受けられなくなります。旧プランの申し込みが8月で終了となるのは既報通りですが、今回の変更は機種変更にも影響があります。
条件として挙げられているのは「データS / Mパック」「らくらくパック」「シェアパック10~30」などとなっており、従来の7GB/月のLTEプランはこの中にはありません。機種購入時に新プランを選択しない場合、数万円の月々サポートが失われます。月々サポートは、機種や時節によっては数万円の割引が受けられるため、「旧プランを維持したまま、同じキャリアを使い続けよう」というユーザーにとっては大きな打撃となります。(個人的には通信料の割引は不要で、定価が安い方が嬉しいですが、残念ながらNTT docomoの機種は、SIMフリーの海外版と比べて割高ということも多々)
また、これらの新しいパケット通信プランは、いわゆる「完全通話定額制」の基本料金プランへの変更が必要となるため、ユーザーは2700円の新しい基本料金プラン(税込みで2916円)への変更が必須となります。
月に2GB・5GB程度なら、パケット通信量の単価で考えれば以前よりも値上がりしており、さらに通話定額まで値上がりとなれば、毎月大して音声通話を使っていないユーザーにとっては負担増となります。かといって現行の機種を使い続けるにも限界があります。
NTT docomoが完全通話定額制を発表した時、当時の記事には「各社とも同じようなプランで追随し、悪いところほど真似をし、最終的に横並びになる」「競合他社も、通話定額を基本使用料と抱き合わせにし、NTT docomoのように異常に高額な基本使用料を設定するなどして、囲い込んでくる」と書きましたが、残念ながらその通りになっています。(ちなみに筆者は、完全通話定額制自体は否定しません。大手3社が足並みを揃え、完全通話定額制を等しく誰にも、不要なユーザーにまで押し付けることに反対する立場であり、個人的にはWILLCOMが契約必須の『基本料金』ではなく『オプション』として提供している完全通話定額の『スーパー誰とでも定額』を契約しています)
今後、あまり通話をしないユーザーは、通話ヘビーユーザーに搾取されることになります。(つまり搾取する側の通話ヘビーユーザーもいるので、NTT docomoの新プラン契約者数が伸びているのは当然のことです) こうした問題が起きているのは、キャリアが端末の販売を握っているのが一因です。キャリアの意に沿うサービスやアプリをユーザーに使わせる、その手段がキャリア販売の端末です。
3社横並びの完全通話定額制と、新しい料金体系から逃れるには、Y! MobileやMVNOといった、大手3社以外の各社のサービスも検討していく必要がありそうです。また、機種の買い替え候補を、中古市場やSIMフリーモデルから選択することで、キャリアを通さずに機種を買い換えられるため、旧プランを維持することもできます。消費者はより賢く、たくましく買い物をしていく必要があると言えます。