EU新法案「プリインストールアプリ削除可」「自社サービス優遇禁止」、違反すれば超高額罰金。AppleやGoogleなど大手企業に影響大 すまほん!!

 EU(欧州連合)は、主にインターネットビジネスを行う企業に対する新たなデジタル法案を発表しました。これについてワシントンポストや9to5Macが伝えています。

法案の概要

 今回EUが発表した法案は「デジタルサービス法」と「デジタル市場法」の2つで、インターネット上での企業活動に関するルールを定めています。これらの法案の内容は大きく2つに分けられます。

他社サービス妨害の禁止

 まず1つ目は、競合他社サービス妨害の禁止です。具体的には、プラットフォームの提供者が自社のサービスを優先的に宣伝することを禁止しています。

 例えば、Amazonが販売する商品をAmazonサイト内で優先的に表示したり、ライバル商品の検索順位を意図的に下げることはこれらの法案に違反します。プラットフォーム提供者が、競合他社サービスへの平等なアクセスを許可することによって、小規模事業者にも大企業と等しいビジネスチャンスを与えることができます。

 また、この競合他社サービス妨害の禁止は、iOSやAndroidなどのスマートフォンにも影響しており、法案では端末内に初期搭載されたアプリケーションを削除できるようにする必要があるとしています。

 現時点でAndroidデバイスに初期搭載されている「Googleアプリ」やiOSデバイスの「メッセージ」アプリは基本的に削除できません(Googleアプリに関しては機種やメーカーによって異なる場合がある)。EUは、これらのアプリが「ユーザーの選択を阻害している」として、削除可能にすることを求めています。

ユーザー保護

 2つ目は、サービスを利用するユーザーの保護です。各サービスの提供者は、自社が運営・提供するサービスの利用者に対して安全性を確保する必要があります。例えばサービス内に違法・または有害なコンテンツが投稿された場合、報告に基づいて速やかに削除する義務が課せられます。

対象となる企業

 これらの法律による規制の対象となるのは、大小問わず以下に該当する企業です。

  • ネットワークプロバイダー企業
  • ネットショッピングサービス、アプリストア、SNSサービス、その他のネット販売サービスを提供する企業
  • EU内人口(約4億5000万人)のうち利用者がその10%以上(4500万人)以上に達するサービスを提供する企業

 最後の項目に関しては、明らかに大企業を規制するための条件です。また法案の文章内には、「利用者がEU人口の10%以上に達するプラットフォームに対しては監視を強化する」との記載もあります。EUは大企業による市場の独占的支配に対して以前から厳しく取り締まっているため、今回の法案も特に大企業に焦点をおいたものになります。

違反した際の制裁

 これらの法律に違反した場合には、企業に対して全世界での年間売り上げの10%という高額な罰金が課せられます。

 また、違反の内容によっては追加の措置や非金銭的措置(事業の強制売却など)が課される場合もあります。ワシントンポストによりますと、「全世界での年間売り上げ10%」は、Amazonの場合280億ドル(日本円で約2兆9000億円)にも達するとのこと。具体的な数字が出てくると恐ろしいですね。

各企業の反応

 この法案に対して、米大手各企業は声明を発表しています。

 Googleの政府・公共政策担当、カラン・バティア氏は、「これらの法案は少数の特定企業を対象にしており、中小企業による新製品の開発を困難にする」とした上で、消費者や企業の利益につながる新たな規則を引き続き提唱すると述べました。

 また、FacebookのEU担当、AuraSalla氏は、ツイッターで「インターネットの長所を保つためにより良い方向へ進んでいる」として、法案に賛同する声明を発表しています。

 Appleは声明を発表していませんが、Amazonの広報担当は、最近Appleが「全ての企業に対して同じ規則が適用される」ことを求める声明を発表したことを指摘しています。

これらの法律にGAFAは特に影響を受けるだろう

まとめ

 これらの法案をまとめると、「デジタルサービス法」はユーザーの安全のための法律、「デジタル市場法」は企業による公正かつ公平な競争のための法律といえます。特にデジタル市場法に関しては、独占禁止法に関わる部分が多く見られます。AppleのEpic Gamesとの法廷闘争が代表例に挙げられるように、GAFAを筆頭とする大企業が、多くの国で独占禁止法に関する調査を受けている現状も鑑みると、大企業に対する締め付けは今後世界各国に広がる可能性があります。

 全てユーザーがいて成り立っているサービスですから、最終的に利用者の利便性が向上するような結末になってほしいものです。