badly. Very, very badly.(原文ママ)
アメリカのIDGが運営するPCWorldが、Windows on Armのx64エミュレーションの速度を計測。しかしながら「ひどい。非常に、非常にひどい」結果となったようです。
Windows on Arm(WoA)とは
Windows on Armとは、その名の通りArmプロセッサで動作するWindowsです。似たような取り組みとしてはWindows8/8.1相当のWindows RTや、Arm M1 Macで動作するmacOS Big Surがありますね。Windows RTは圧倒的に不評で全く普及しませんでしたが。
12月10日、Devチャンネル向けにx64エミュレーションが可能になるプレビュービルドが公開されました。一般ユーザーが利用できるのはもう少し後ですね。
これまで、Windows on Armを搭載するPCではArm64用に作成されたアプリ、またはx86アプリしか実行できませんでしたが最新のWindowsソフトの大半を占めるx64にも対応とのことで、期待する声もあったのですが……。
そもそも、Windows on Armに対応しているCPUはSnapdragon 8cx/8cx gen2などと、MicrosoftがQualcommと共同開発したSQ1,SQ2のみであり、搭載されているノートパソコンも現状ほとんどありません。正直、MicrosoftはArmに本腰を入れていないようにも感じますね。
エミュレーションの性能測定
PCWorldが今回行ったx64エミュレーション速度測定は、x64で動作するベンチマークソフトやゲームなどを動作させて、SQ1を搭載するSurface Pro XをMacBook Air(M1)や同価格帯のインテルCPU搭載ノートPC(Core i5 1035G1搭載、以下「Pavilion」)と比較したものです。
Geekbench 5
Geekbench 5のCPUマルチコアの計測では、MacBook Airが7454点だったのに対し、Pavilionは2864点、Surface Pro Xは2734点という有様です。思わぬところでM1の性能が際立っていますね。
Cinebench R23
次にCinebench R23です。このベンチマークソフトはM1 Mac向けには最適化されていますが、SQ1やSnapdragon向けには最適化されていません。
マルチコアのスコアではMacBook Airが6838をマークしていますが、Surface Pro Xは1604となんと四倍近くの差を付けられています。
さらにSurface Pro XのシングルコアのスコアはPavilionにも3倍弱の差を付けられている上、シングルコアの性能だけで見ればデスクトップ向けCPUの最廉価、Celeron Jレベルの性能ということになります。
x64アプリの動作性能がCeleronと同じというのは、ちょっと耐え難いものがあります。
HandBrake
最後は動画エンコードソフトHandBrakeでの計測です。このテストでは共通の4K動画を1080p/H.265にダウンコンバートして出力するのにかかった時間を計測するものです。そのため、かかった時間が少ないほど良い性能であるということになります。
MacBook Airでは1415秒=23分の時間で処理を終えましたが、Surface Pro Xは9571秒=二時間半も要しています。MacBook Airは、Surface Pro Xの実に6.7倍もの高速処理。
Intel Core-i5のPavilionが4067秒=1時間7分かかっていることから、Surface Pro Xが特段遅くて、MacBook Airがものすごく早かったと言えます。
総評
もともと、Armを搭載するメリットであった「消費電力の少なさ」「LTE接続」という点が近年のProject AthenaやIntel Evo プラットフォームにより追いつかれてしまっている。当然のことながら、Windowsのx64エミュレータはまだプレビュー版であり、それについての正確な批評はまだできないが、今後の開発がWindows on ArmとM1 Macの大きな差を埋めることは信じがたい。Windows on Armに奇跡が起きなければ、未来は厳しいものにみえる、とPCWorldは締めくくりました。
今後CPUの主軸がArmに移るか否かはMicrosoftのx64エミュレータの完成度にかかっている……といったところでしょうか。いずれにせよ、Microsoftにはもっと頑張ってもらいたいところです。