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iPhoneに物理キーボードを追加する「Clicks」レビュー。完成度の高さに感服

 Clicks Technologyより、Clicks for iPhone 16 Proを提供していただきましたので紹介します。

 本機はiPhoneをまるで往年のBlackBerryかのようにスタイリッシュに変形、機能を拡張する保護ケースです。接続方式はBluetoothではなくUSB Type-C。

 驚くべきはその打鍵感。この手の小さなキーをスマホで使うための外部キーボードのガジェットは大体玩具のような作りですぐに飽きるのですが、本機は幾多の物理QWERTY端末を使ってきた筆者でさえも納得の仕上がり。最高峰であるBlackBerry Key2にこそ及ばないかもしれませんが、それに引けを取らない、極めて高次元の打鍵感。前モデルと比べると、傾斜もつき、キーストロークはごく僅かに短くなっているように見受けられましたが、よりクリッキーで上質な打ち心地。はっきり言って完全に玩具ではなく道具の域です。

 なぜなら、中の人がガチだからです。海外のBlackBerry端末に最も精通したブログメディアCrackBerryのKevin氏が共同創始者となっているClicks Technology。他のテック企業で働いていたメンバーも開発にジョイン。同じく共同創始者はF(x)Tech、BlackBerry勤務者。レトロガジェットにも造詣が深いYouTuberのMr Mobileも加わるなど、完全にわかっている面子が開発しているという圧倒的な安心感があります。

 Kevin氏曰く、以前に幅広い初心者向けとして柔らかいものも試したが、今回は硬さを重視したといいます。開発機の変遷を見ても、かなり硬めのクリック感のものも導入して試行錯誤した様子が伺えましたが、そうした努力の結果、製品版では柔らかすぎず硬すぎず、多くの物理QWERTY愛好家も納得できるであろう絶妙で確かな打鍵感を実現しています。

試作。押し間違いを防止してキー同士の隙間を確保。硬さや打鍵感は時系列で変遷。

 細かい部分にも気を配っており、たとえばスペースキーも短すぎても長すぎてもいけません。ちょうどいいところを目指さないといけません。特に長すぎるとボタンを2個搭載することになってしまい、打鍵感等が損なわれがちだからです。そうならない最適なサイズのスペースキーに。

 また、暗くても打てるキーバックライトは、最適な配置と個数で6個、これを光漏れしないよう設計。これが均等ではなかったり光漏れしていると安っぽい玩具のようになってしまうため、流石です。

 iOSといえば日本語入力時の変換はいまひとつですが、物理キーボードを外部接続した時の挙動は、意外なキーコードを認識してくれるなど実は真っ当です。筆者はiPhoneをUSB Tyep-Cで自作キーボードと有線接続してテキストマシンとして使ったりしています。なので、今回の親指物理QWERTYは最高です。指の筋肉が覚えてます。

 BlackBerry Key2のような縦方向に狭い画面だと、エディター等のメニューの表示に余裕がなくなる場合もありますが、iPhoneの画面そのものなのが良いですね。利用中、ソフトウェアキーボードを格納できるので、広々とした画面で快適に文字入力できます。

 また、Ctrl+C/V/A/X/Zも利用可能で、コピペが簡単にできます。テキスト入力マシンとして嬉しい機能ですね。123キー+CMDキーで、WASDを矢印キーとして使うことも可能です。

 Shift+英字で大文字を入力する際、必ずしも同時に押下する必要はなく、Shiftを離した後も保持されるので、時間差があってもOK。これは123キーとの組み合わせて、キー右上に印字された記号を入力する場合にも同じです。長音符号もこれで左親指だけで入力できます。往年の物理QWERTY端末を使ってきた人にとってはお馴染みの挙動ですが、iPhoneでそれができるのは感動もの。

 「海の向こうのオタクが作った物理キーボード製品」としては本当に限りなく完璧に近いのですが、日本語話者にとっては不満な部分も少しあります。たとえば長音符号は特に日本語入力での利用頻度が高いので、独立したキーを用意すべきです。いらないキーを長音符号に置き換える設定を可能にするアップデートを行うべきだと思います。もっと自由に置き換え可能にして、ctrl/shift/123キー等を右下にも配置可能にしてみたり、Spaceキーの左右をLANG1 / LANG2※に置き換えたりといった、高いカスタマイズ性を確保していけば、日本語入力環境は段違いによくなるはずです。

※トグルではなく強制日英切り替えする、Macのキーコード。最近はWindowsでも変換/無変換キーにデフォルト機能で割り当て可能。Mac/iOS/iPadOSだけではなく、Windowsと、Android標準IMEのGboardの最新版は、LANG1/LANG2を認識する。まあ、流石にそこまでやってくれる物理QWERTYスマホではこれまで無かったので過度に期待すべきでもないが。

 何より、まるでiPhone自体が全く別の製品になってしまうような、一体感のあるデザインは特にツボです。

 メーカーの中の人がiPhoneを大好きなのか「iPhoneにそっくりなAndroid端末」みたいなものも出ていますが、個人的にはそもそもiPhoneの外観がそれほど好きではないので、あまり乗れません。もっと成し遂げたい製品企画に忠実な機能性や機能美を追究してほしいです。iPhoneの外観ではなく、Appleのエコシステムや連携性、USB Type-C以降の拡張性が好きです。

 そんな中、出てきた本機はまさに筆者の考えに完全に一致します。拡張性を活かし、iOSはそのままに、まるでiPhoneではないかのようなデザインへと刷新してくれる。待ち望んてきた製品です。

 MagSafeも利用可能で、毎日難なく利用できそうです。

 けっこう重量バランス悪そうにも見えますが、少なくとも16 Pro用で両手で使うにおいては、垂直に近い角度を少し心がけると、許容範囲で慣れられそうです。ただ片手操作は、バランス以前に安定保持したままだと端まで届きにくく、筆者は明確に無理ですね。

 また、持ち運びの時にポケットに入り切らないので、どうやって持ち運ぼうか思案中です。座った時に腰骨につっかえる感じを我慢してポケットに入れて使っていますが、キーボード部とiPhoneの間の付け根の剛性も少し気になりますし、カバンなどに入れるほうが良いでしょう。

 電池持ちへの影響もありそうですが、課題を乗り越えてでも使いたいと強く感じさせる出来の良さなので、筆者は新型iPhoneが出るまでずっと使う予定です。

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